時事記録 就職活動のために

10/31/2006

損保不払い 大手6社、第3分野で4365件

 損害保険大手6社は31日、医療保険など「第3分野」と呼ばれる保険商品の保険金不払いに関し、金融庁の報告命令に基づく調査結果を発表した。01年7月?今年6月の5年間で、第3分野での不払いは6社で4365件、12億2100万円にのぼった。損保業界は9月に自動車保険などを巡る損害保険でも26社で31万件、総額186億円の不払いが発覚している。契約者軽視とずさんな支払い体制が改めて浮き上がり、悪質な損保会社は金融庁の厳しい処分が避けられない見通し。

 第3分野は、第1分野(生命保険)、第2分野(損害保険)の保険商品に分類されない医療保険や所得補償保険など。医療保険や所得補償保険は病気などにかかると保険金を受け取れるが、加入時に病歴などを正確に申告する義務(告知義務)がある。損保各社は告知義務違反を見つけた場合、医師を含む第三者の意見を仰がなければならないのに、社員が勝手に不払いを決めていた。また、告知義務に形式的に違反しても、保険金が支払われる場合があるのに不払いとしていた。

 ニッセイ同和損害保険を除く損保大手5社のトップは同日、相次いで会見。石原邦夫・東京海上社長は「先般の支払いもれに続き、改めて深くおわびします。消費者保護の対応が十分でなく、信頼回復に向け全力を尽くします」と陳謝。社長自身を含めた役員処分を行う方針を明らかにした。他社も社内処分の方針を示したが、全社のトップとも自らの進退については言及を避けた。

 第3分野の不払いについて、三井住友海上火災保険とあいおい損害保険が大半の支払い手続きを終え、4社は早急に支払い手続きを進める方針。

 大手6社を含む損保48社は31日、金融庁に調査結果を報告した。

岐阜裏金 キーパーソン逮捕で新たな局面

 岐阜県庁の裏金問題で、業務上横領容疑で逮捕された元県職員組合副委員長、木下三千男容疑者(49)は逮捕前の取材に対し、組合口座から引き出したとされる裏金約1000万円について「私的に使ってはいない」と断言、自分を告発した県への批判を繰り返していた。ところが、県警の事情聴取には一転して容疑を認めたという。県などの調査では明らかにならなかったさまざまな問題が今後の捜査でどこまで解明されるのか。裏金の経理を担当した“キーパーソン”の逮捕で、裏金問題は新たな局面に入った。

 木下容疑者は97年10月から6年間にわたって県職員組合の役員を務めた。組合関係者らによると、経験の豊富さから組合内では一目置かれる存在で、元組合委員長でもある藤田幸也元出納長ら県上層部とも交流があった。

 関係者らの話では、会計をはじめ組合の事務を取り仕切るのは通常、書記次長の仕事だが、木下容疑者は00年10月に書記次長から副委員長に昇格した後も事務を仕切っていたという。ある関係者は「おかしいと思っていた」と話す。「面倒見がいい」との評価がある一方で、「残業はせずに、よく飲みに行っていた」と話す関係者もいる。

 木下容疑者は逮捕前の今月下旬、2回にわたって毎日新聞の取材に応じ、私的流用の疑いについて「捜査の段階で違うと立証していく」と強く否定していた。口座から引き出した点についても「委員長の指示がなければ引き出せない」と前組合委員長から指示されたことを示唆していた。

 また木下容疑者は、逮捕容疑になっていない残りの500万円が入金された「岐阜県職雅(みやび)会」名義の口座について、県などの調査に対し「選挙資金用に作った」と説明。「200万円と約300万円は前委員長の指示で引き出した」と証言している。しかし、前委員長は取材に「でまかせだ」と全面否定。後任の書記次長も「(雅会口座の)存在自体知らなかった」とするなど、木下容疑者の証言と食い違いを見せている。

 さらに、藤田元出納長が組合に集約を依頼した際の状況について、木下容疑者は「『組合で使える金を渡すから』ということだった」と述べ、組合活動費などへの流用を藤田元出納長が容認していたと主張。だが弁護士の第三者機関の報告では、藤田元出納長本人はこのやり取りを否定している。

 ◇木下容疑者の自宅を家宅捜索…岐阜県警

 岐阜市御望の木下容疑者の自宅には31日午前5時ごろ、岐阜県警の捜査員約10人が家宅捜索に入った。近所の住民らが不安そうに見つめる中、捜索は約3時間にわたって行われ、捜査員が次々と段ボール箱を運び出した。近所の女性は「人柄のいい男性だったので信じられない」と驚いた様子。木下容疑者と親しかったという男性は「1人だけ責任を負わされた格好ではないか。取り調べですべてを話し、幹部の責任まで全容を解明してほしい」と話した。

ソフトバンク 「通話、メール0円」法律上問題ない

 携帯電話の新料金プランを「通話料、メール代0円」と広告宣伝したソフトバンクは31日、公正取引委員会から景品表示法違反(有利誤認)の疑いなどで調査を受けたことを認めたうえで、「弁護士と相談して(広告を)行っており、法律上問題ないと考えている」との見解を示した。広告は当面継続する考えだ。

 ソフトバンクによると、同社の法務担当が30日、公取委で料金プランの全般を説明した。

 自社間の通話やメールが無料になる新料金プランの広告宣伝について、NTTドコモやKDDI(au)は、「フェアなやり方か」「不当表示の可能性がある」と指摘していた。

失神ゲーム 新たに男子中学生2人逮捕 埼玉県警

 埼玉県新座市立中3年の男子生徒(14)が胸を圧迫して気を失わせる「失神ゲーム」によるいじめでけがをした傷害事件で、県警少年捜査課と新座署は31日、新たに14歳の3年男子2人を傷害容疑で逮捕した。共に容疑を認めている。これで逮捕者は5人に。

 調べでは、2人は同学年の男子3人=傷害容疑で逮捕=と共に10月12日午前11時45分ごろ、校内の男子トイレで、生徒にゲームを強要して約3分間失神させたうえ、目を覚まさせるため腹などを殴り1週間のけがを負わせた疑い。先に逮捕された3人の話から2人も暴行に加わっていた。

在日外国人 総人口の1.2% 戦後最高に

 総務省が31日発表した05年10月の国勢調査の確定値で、日本に住んでいる外国人の人口は155万5505人で、1920年の調査開始以来最多を更新、総人口に占める割合は戦後最高の1.2%。最高は00年の前回調査の131万545人だったが、更に18.7%増えた。49.9%が東京、大阪、愛知、神奈川、兵庫の5都府県に住む。

 調査対象は、外交官などを除き、日本に3カ月以上居住している外国人。国籍別では(1)韓国・朝鮮46万6637人(2)中国34万6877人(3)ブラジル21万4049人の順。前回比で韓国・朝鮮は11.9%減、中国は37.1%増、ブラジルは13.6%増。

10/29/2006

学徒隊動員 沖縄戦の「鉄血勤皇隊」編成、県が主体的役割

 太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された学徒隊「鉄血勤皇隊」の編成に当たり、沖縄県が旧日本軍と覚書を結び、学徒名簿を軍部に提出するなど主体的な役割を担っていたことが28日、米公文書で分かった。覚書は、防衛召集の対象年齢を下回る14?16歳の男子を戦場に送ることを当初から想定しており、学徒動員に対する教育・行政当局の責任を問い掛ける内。

 ◇軍と覚書、学徒名簿提出…米公文書で判明

 鉄血勤皇隊は千数百人が動員され、半数以上が戦死。元隊員の証言により、1945年3月の召集以降の活動は知られていたが、編成に至る過程は分かっていなかった。複数の沖縄戦専門家は「学徒隊編成の作戦命令の内容を記した文書の発見は初めて。」

 林博史関東学院大教授(現代史)が米国立公文書館で、沖縄守備軍だった第三二軍の作戦命令などを英訳した米陸軍文書を見つけた。教授は「兵役年齢に達しない生徒が超法規的に動員されていた」と分析。

 沖縄侵攻作戦を担当した米第一〇軍が英訳した「鉄血勤皇隊の編成ならびに活用に関する覚書」は、沖縄県と第三二軍の合意内容を記載。「各学校ごとに鉄血勤皇隊を編成し、軍の緊密な協力下で軍事訓練を施し、非常事態となれば直接軍組織に編入し戦闘に参加させる」としており、当初から学徒の戦闘活動従事を前提に、行政当局と教育現場が連携した。

 さらに覚書や添付文書によると、14?17歳の学徒に対し召集に備えた書類を作成するよう命じており、島田叡知事(当時)が学校を通じて集めた学徒の名簿を軍に提出し、それを基に動員する手順を明記。兵役を命じる防衛召集は当時、17歳以上が対象だったが、覚書は「14歳ならびにそれ以上で、通信訓練を受けている者を除く全学徒を同隊に編入。」

 45年7月6日に英訳された同年3月3日付の第三二軍の作戦命令「甲第一一〇号」によると、当時の牛島満司令官(陸軍中将)が、学徒に軍事訓練を施し米軍上陸に備えるよう命じた。覚書は、命令が出される直前に作成された。

 ▽鉄血勤皇隊 太平洋戦争末期の沖縄戦で、沖縄県の師範学校や中学校などの男子学徒と教師で編成された学徒隊。旧日本軍の部隊に学校ごとに配属され、通信、情報伝達、食糧調達などの業務のほか、戦闘も命じられた。女子学徒は看護要員として動員され、学校別に「ひめゆり学徒隊」「瑞泉学徒隊」などと呼ばれている。ひめゆり平和祈念資料館(沖縄県糸満市)によると、沖縄県全体で少なくとも男子学徒1513人が動員され810人が戦死、女子学徒は505人動員され189人が戦死。

 ▽「鉄血勤皇隊」の編成過程に関する文書を発見した関東学院大の林博史教授(現代史)の話 学徒たちの戦場での体験は多くの関係者によって語られてきたが、鉄血勤皇隊編成の経緯はこれまでよく分からなかった。編成方法や訓練実施などを詳細に定めた旧日本軍と沖縄県の覚書など、その空白を埋める史料が残っていたことは驚きだ。

 今回の史料から、県知事が学徒隊編成の責任を負っていただけでなく、学校とともに生徒の名簿を作成して軍に提出するなど、兵役年齢に達していない生徒の軍事動員を積極的に担ったことが明確になった。超法規的な召集は行政と教育機関の協力なしには実現しなかったはずだ。

 これまでは行政当局が軍の被害者のように語られてきた傾向があるが、軍と行政、教育機関が一体となって子どもを戦場に駆り立てていった戦時体制の在り方にも注目すべきだ。沖縄県は米国での公文書収集活動を打ち切る方向のようだが、貴重な資料はまだまだ埋もれており、沖縄戦の実相を明らかにするためにも収集を継続すべきだ。

 ▽沖縄戦に詳しい保坂広志琉球大教授(社会学)の話 旧日本軍の命令書は大方処分され、米軍が入手し翻訳したものが残っているが、学徒隊に関するものは過去に見つかっていなかった。今回の文書発見により、軍だけではなく、行政の長である県知事が学徒隊の動員に大きく関与していた。文書は軍と県当局が組織的に学徒を戦闘員として動員する意図を明確に示している。子どもをコントロールするために教師も動員するなど手法も巧妙。

10/28/2006

毎日社説:北海道日本ハム プロ野球も「地方の時代」に

 プロ野球日本シリーズは、札幌に本拠地を移して3年目の北海道日本ハムが4勝1敗で中日を降し、44年ぶり2度目の日本一に輝いた。

 1勝1敗で札幌ドームに舞台を移した第3戦以降、連日4万人を超える大観衆がスタンドを埋め、その9割方が日本ハムの熱烈なファンだった。満員のファンの後押しが日本ハム選手に力を与えたことだろう。

 かつてプロ野球の球団がなかった北海道は、圧倒的に巨人ファンが多い土地柄とされてきた。いまも巨人ファンは多いのだろうが、シーズン終盤から続く札幌ドームの満員のスタンドや、瞬間最高73・5%に達した優勝決定時のテレビ視聴率(札幌地区、ビデオリサーチ調べ)を見ると、わずか3年ですっかりファイターズカラーに塗り替わったという印象だ。

 プロ野球コミッショナー事務局は94年に国内14都市で電話アンケートを実施し「好きな球団」を尋ねた。日本ハムは、プロ球団の本拠地がある東京、大阪など5都市で0・9%、球団のない札幌など9都市では0・6%と、ロッテ、オリックスと並んで最低レベルだった。本拠地移転前の北海道での日本ハムの認知度はその程度と想像できる数字だ。

 日本ハムは04年から北海道に本拠地を移し、球団名に「北海道」をつけて地域に密着した球団作りに着手した。入場時間に応じた割引チケットの販売、選手たちの学校訪問や野球教室など、東京ではできなかったさまざまなアイデアを実行に移していった。地道なファンの掘り起こしは「新天地」だからこそできたことでもあったのだろう。

 人気者の新庄剛志選手の加入も北海道のファンを引き寄せる大きな力となったようだ。突然の引退表明を含め新庄選手の意表をつく数々のパフォーマンスは、これまで野球に見向きもしなかった層を球場に呼び込む効果があった。

 巨人戦のテレビ視聴率の低下は相変わらず歯止めがかからない。今年は9・6%(関東地区)と初めて平均視聴率が10%の大台を割った。西武の松坂大輔投手をはじめ日本の主力選手が相次いで大リーグを目指し、国内のプロ野球の空洞化が進む懸念もある。

 こうした逆風の下でも、工夫次第で新たなファンを球場に呼ぶことができることを昨年の千葉ロッテに続いて日本ハムも北海道の地で実証した。ロッテ・バレンタイン監督、日本ハム・ヒルマン監督と、いずれも外国人監督のもとで思い切った改革が行われたのは、果たして偶然なのだろうか。

 プロ野球はいま、巨人中心の「中央集権」から「地方の時代」に移りつつある。プロ野球だけではない。高校野球では駒大苫小牧が一昨年、昨年と全国制覇し、今年の都市対抗野球は秋田県にかほ市(TDK)が初優勝した。

 プロ野球の球団がオーナーの所有物だった時代はとっくに終わった。「ファンあってのプロ野球」に向け、12球団はさらなる改革を競い合ってもらいたいものだ。

毎日社説:分権推進法案 道州制を目指した具体論を

 国と地方の役割分担を見直すための地方分権改革推進法案が27日、閣議決定された。7人の有識者による委員会を内閣府に設置し、10年に分権一括法の制定を目指すという今後の段取りと基本理念を示した法案だ。

 法案には盛り込まれなかったが、政府は並行して道州制導入の検討も進める。かねて私たちは地方に権限と責任を与え、今の都道府県より広域的な道州の下で独自性を発揮した方が国全体に活力が生まれると主張してきた。国の仕事が絞られれば中央省庁のダイナミックな再々編にもつながる。道州制が具体的な政治日程に乗ってきたことを歓迎したい。

 分権の原点といえる地方分権推進法が成立したのは95年。関連する475本の法律を改正し、国が行うべき事務を自治体に代行させていた「機関委任事務」を廃止するなど一定の成果を上げた。今回はそれに次ぐ大きな改革となる。

 政府は法案が成立すれば、来春、首相が任命する地方分権推進委員会を発足させて議論を開始。委員会が勧告する指針に基づき、関連法案を一括して改正する一括法を制定する方針だ。道路や河川の管理など、国と地方の仕事の仕分けの見直しや、国から地方にどこまで財源を移譲するかなどが当面の主なテーマとなる。

 しかし、95年改革の際には、国から地方への権限移譲に中央官庁が激しく抵抗し、ほとんど中央官庁が同意したものしか実現できなかった経緯がある。国と地方の税財源を見直す先の三位一体改革も、省庁の抵抗で中途半端に終わった。このため安倍晋三首相をはじめ政治のリーダーシップがカギを握るのは言うまでもない。

 一方、これとは別に佐田玄一郎行政改革担当相の下には、「道州制ビジョン」の策定を目指す懇談会を設置する。分権委員会と一体化されなかったのは、(1)まだ道州制導入に国民的コンセンサスは得られていない(2)道州制導入決定を待っていては、具体的な権限移譲の論議が先送りされる可能性がある??などが理由という。

 ただ、道州制ビジョン策定は安倍首相の自民党総裁選での公約だ。権限や財源の移譲を先行して検討するとしても、将来は道州制に移行するという前提で議論を進めてもらいたい。首相自身もどんな「国のかたち」を目指すのか、もっと語るべきである。

 一括法制定は全国知事会などの要望に沿ったものでもある。しかし、肝心の地方側の発言力がうせているのが気になる。「戦う知事会」をアピールした全国知事会前会長の梶原拓・前岐阜県知事のおひざ元の岐阜県庁では裏金問題が発覚、佐藤栄佐久・前福島県知事は収賄容疑で逮捕された。

 国民の間には「やはり地方には任せられない」という空気が広がりつつあるのを地方側は深刻に受け止めるべきだ。人口と面積で配分額を決める新型地方交付税や、財政の悪化した自治体への再建法制など課題は目白押しだ。よりよい地方分権を進めるため、地方側の体制立て直しも急務となる。

千葉教諭自殺 「校長のパワハラ許せない」遺族が会見

 千葉市立中学の教諭、土岐文昭さん(50)が9月に自殺した問題で、妻聖子さん(47)ら遺族が28日、同市内で会見し、「校長の過剰な圧力、大声での叱責はパワーハラスメントだと考えている。一生許すことはできない」と声を震わせ話した。遺族は近く、公務災害申請をする。

 遺族側の報告書によると、土岐さんは4月に赴任した中学で、校長(58)から「役立たず」などと度々大声で叱責され、精神的ダメージを受けていた。8月末、職務を優先させるために教頭昇任試験を受けないと校長に伝えたところ、「辞表を書け」「おれに恥をかかせる気か」などと怒鳴られたという。直後に「抑うつ、疲弊状態」と診断され、9月6日、同市内で飛び降り自殺した。

 聖子さんは「人の命と人権を大切にしなければならない学校で二度とこんなことが起きてほしくはない。真相を究明してほしい。」

 一方、市教委は28日、「調査結果が出る時期は未定」と話し、自殺原因について明言を避けた。週明けにも療養休暇中の校長、教職員を対象に対面調査を実施。

WTO 中国の海賊版対策が不十分、日米欧などが提訴へ

 日米欧など主要国は、中国の海賊版・模倣品対策が不十分で、世界貿易機関(WTO)の協定違反に当たるとして、今週にもWTOに提訴する方向で最終調整に入った。知的財産権をめぐる問題でのWTOへの提訴は初めて。

 まず米国が提訴し、日本や欧州は協議に参加する形を取る。中国では、不正コピーしたCDやDVD、コンピューターソフト、偽ブランド品などの製造・販売が日常化しているとされる。近年は中国当局も取り締まりに力を入れているものの、摘発された場合の刑事罰が甘いなど、制度的に不備な点が多い。正規品が売れなくなるなどの被害は世界に及び、日本企業の損害額は年間9兆円にも上ると試算されている。

 WTOの知的財産権に関する協定では、国際的な保護のルールを定めている。日米欧は中国がこの協定に違反しているとみており、罰則や取り締まりの強化を求める方針だ。提訴後、日米欧は中国と60日間協議を行う。そこで解決できなければ、紛争処理小委員会が設置され、審理が行われることになる。

英国 イスラム女性ベール着用問題、波紋なお続く

ストロー前英外相が火をつけたイスラム女性のベール着用問題をめぐり、英イスラム団体の指導者らがこのほど「政治問題化させる論議を避けよ」との共同声明を発表、着用是非論争がイスラム社会への偏見助長につながることに警戒を示した。オープンな議論か、それとも社会の「傷口」拡大を避けるべきか。異文化・異宗教に寛容な英国社会だが、ベール問題の波紋はなお続いている。

 イスラム女性が両目以外の全身を覆うベールを着用することを、ストロー前外相が今月初め寄稿で「対話の障害になる」と問題視。ブレア英首相も17日の会見でベールが「分断のしるし」だと語り、英国はどんな困難な問題でも「立ち向かって論議する」ことが必要だと同調。

 今月中旬には、ベールを着用したまま語学の授業をして停職となった女性補助教員による処分撤回訴訟の判決が英中部であった。宗教差別ではないとして訴えは退けられたが、女性は「(ベール姿の)イスラム女性はエイリアンではない」と法廷闘争を続ける意向を表明。ブレア政権の閣僚が訴訟の取り下げを暗に求め、ベール論争は過熱した。

 英国イスラム評議会やイスラム人権委員会など主要団体トップや英国各地のイマム(イスラム伝道師)ら27人は、25日公表した共同声明で「今日はベール、明日はあごヒゲ、次はスカーフとなりかねない」と警戒を示す一方で、ベールの着用の是非は「イスラムの学問的論議にゆだねよ」と強調した。

 英国のイスラム女性80万人中、両目以外を覆うベールを着用する人は5%未満とされる。公立学校でのイスラム女子生徒のスカーフ着用が禁止されているフランスなどとは違い、英国にはイスラム女性の宗教服を禁じる全国ルールはない。

 イスラム団体は、ベール問題がイスラム過激主義者や反イスラムの保守派に利用されることを懸念しており、それが論議沈静化を促す声明につながったとみられる。

 英人種平等委員会のフィリップ委員長は、ベール論争が過熱すれば「暴動の引き金になりかねない」と警告。保守党のキャメロン党首も「政治家がわれもわれもと論争に群がるのは危険だ」と語る。今は「自由な議論」より「社会の安定」を重視する空気が強い英国だが、多文化主義を掲げてきた労働党の投じたベール問題の一石は、英国社会の変化の兆しとみることもできる。

携帯電話 ソフトバンクが受け付け停止…申し込み殺到で

 携帯電話のソフトバンクモバイルは28日、新規加入や解約の受け付けを同日午後5時45分に停止。この日はポータビリティー制度が始まって最初の土曜日となり、利用者の動向が注目されていた。同社によると、「予想外割が好評で、顧客情報を管理するコンピューターシステムの処理能力を超える申し込みが殺到したため。」通常は店頭の営業が終わる午後8?9時ごろまで受け付け。また24時間受け付けのインターネットを通じた申し込みも取扱いを停止。

 ソフトバンクによると、同社への乗り換え申し込みが午後から急増。午後4時半過ぎ、KDDI(au)とNTTドコモに「手続きができなくなった」と連絡し、携帯電話の移行手続きを止めた。

 番号継続制度による申し込みだけでなく、既存のソフトバンクの顧客が新しい料金プランに変更する申し込みも多かった。未処理データを順次処理し、29日は通常通り受け付ける予定だが、申し込みが殺到すれば、再び停止する可能性も。

10/27/2006

職場放棄職員 奈良市が懲戒免職処分

 奈良市環境清美部の男性職員(42)が休暇と休職を繰り返し、5年間で8日しか出勤の問題で、同市は27日、この職員を懲戒免職処分。藤原昭市長は問題発覚後、懲戒免職の方針を示した。職員分限懲戒審査委員会がこの職員と上司ら約20人の処分内容を藤原市長に答申、藤原市長が同日午後、会見して具体的内容を発表。

 一方、この問題に絡み、奈良県警奈良署は同日までに市から、この職員の家族が経営する建設会社が市発注工事を受注した際の入札関係書類の任意提出を受けた。同社が職員の関与で工事を不正受注した疑いが確認できれば、捜査に着手する方針。

 市が提出したのは、工事名や予定価格、落札額を記入した、昨年4月以降の土木・建設業関係の一般競争入札に関する資料のコピー約80枚。市などによると、職員の家族が経営する会社は入札時、6ランク中Cランクの位置づけ。昨年度だけで36件(総額約5000万円)の工事を受注し、うち35件が随意契約。職員は市の聴取に、「工事受注に絡む営業活動などはしていない。」

覚せい剤 同僚から譲り受けた市職員逮捕 千葉・鴨川

 千葉県警薬物銃器対策課は27日、覚せい剤を使用、同県鴨川市市民福祉部環境課清掃センター職員、塩津修司容疑者(33)=同市天津=を覚せい剤取締法違反(譲り受け・使用)容疑で逮捕。21日にも職員が同法違反容疑で現行犯逮捕。

 塩津容疑者は今月中旬、同市内で同僚の小沼裕己容疑者(42)=同法違反容疑で逮捕=から覚せい剤入りのビニール袋を譲り受け、使用した疑い。小沼容疑者が「覚せい剤を渡した」と供述。任意で調べたところ、塩津容疑者の尿から覚せい剤反応が出たため、26日逮捕。

不登校生徒 教諭が強引訪問、ショックで自傷 奄美大島

 鹿児島県・奄美大島の公立中学校で、不登校の1年女子生徒(13)が今月、1泊2日の自然体験学習への参加を促す学年主任の男性教諭(37)の家庭訪問後に、ショックで自傷行為に及んでいたことが分かった。教諭は家に上がり込み、寝ていた女子生徒の布団をめくるなどしており、校長は「行き過ぎで配慮に欠ける行為だった」本人や両親に謝罪したい。

 学校や教育委員会によると、女子生徒は2学期から不登校だった。同校は今月18,19の両日に泊まりがけで自然体験学習だったため、学年主任が18日朝、男子生徒と一緒に女子生徒の参加を促すため、自宅を訪問。呼び掛けても返事がなかったため、男子生徒を入り口に待たせ、「入るぞ」などと声をかけて上がり、リビングで頭から布団をかぶって寝ていた女子生徒の布団をめくって「一緒に宿泊学習に行こう」と声をかけた。

 学年主任が帰った後、女子生徒は父親に「もう駄目」と電話連絡。父親が昼過ぎに帰ると、床に座り込み、泣いていた。右足太ももにははさみのようなもので傷つけたような跡が。また、近くにはロープも。このため、父親が教育委員会に報告、教委が事情を聴いた。

日本テレビ 「アルカイダ支援者」報道で賠償命令

 国際テロ組織アルカイダの支援者の疑いがあると実名報道され被害を受けたとして、バングラデシュ国籍で埼玉県戸田市在住のイスラム・モハメッド・ヒムさん(36)とヒムさんが経営する国際電話用プリペイドカード販売会社が、日本テレビ放送網(東京都港区)に1100万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は27日、計220万円の支払いを命じた。安浪亮介裁判長は判決で「報道の一部は真実でなく、真実と信じる相当の理由もない」と述べた。

 判決によると、ヒムさんは04年、不労就労者を雇った出入国管理法違反で罰金30万円の略式命令を受けた。日本テレビは「偽造プリペイドカードを密売し、億単位の利益がアルカイダ側に流れた可能性もある」などと報道。判決は「密売の事実はない」と指摘した。

 ヒムさんは8月に同様の報道を巡り共同通信社に勝訴し、165万円の支払いを命じられた同社が東京高裁に控訴している。

10/26/2006

学生無年金訴訟 男性が逆転敗訴 東京高裁

 学生の加入が任意だった時代の国民年金未加入を理由に、障害基礎年金を受け取れないのは違憲として、統合失調症の東京都の男性(38)が国に年金支給などを求めた訴訟で、東京高裁は26日、男性側勝訴の東京地裁判決(05年10月)を取り消し、請求を棄却する逆転判決を言い渡した。浜野惺(しずか)裁判長は「国民年金法は初診日に20歳未満だった未加入者だけを支給対象としている」と述べ、男性の初診日が20歳を過ぎていた点を理由に不支給を妥当。男性側は上告の方針。

 1審は「20歳前の発病なら同法の『初診日』を拡大解釈する必要がある」としたが、浜野裁判長は「客観性や公平性を確保するため、初診日を基準に支給対象を決めた規定には合理性がある。拡張解釈は立法権の侵害」と判断した。制度の違憲性も「立法府の裁量の範囲内」と退けた。同種訴訟では5件目の高裁判決で、いずれも原告が敗訴している。

独軍兵士 アフガンで頭蓋骨を手に記念撮影 首相が謝罪

ドイツの大衆紙ビルトは25日、アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)所属の独軍兵士が、墓から持ち出したとみられる頭蓋(ずがい)骨を手に記念撮影している写真を掲載。兵士の男性器と頭蓋骨を一緒に写したものもあり、独国防省は「部隊の信頼を失墜させ、危険にさらした」と、兵士の厳しい処分を検討。独メディアは「米兵によるイラク人虐待が発覚したイラクのアブグレイブ刑務所事件の再来」と非難。メルケル首相は「釈明できない」と謝罪。

 掲載された写真は計5枚で、同紙は「独軍関係者」から写真の提供を受け、「独兵が死体を損壊している」と。この関係者によると、写真は03年初めに独軍が駐留するカブール周辺で、軍曹の命令で撮影。勤務中とみられる兵士4人が頭蓋骨と記念撮影している▽兵士が笑いながら頭蓋骨を手で高く掲げている▽兵士が男性器を露出し、右手で頭蓋骨を性器の横に差し出し。

 カブールから約10キロの郊外に、大量の遺体が埋められている砂利採取場があり、兵士はそこから頭蓋骨を持ち出したとみられる。頭蓋骨がアフガン人かソ連兵のものかは不明。

 国防省は25日、撮影に関係した6人が独南部の部隊に所属していたことを確認、事情聴取を始めた。また検察当局は、死体損壊の疑いで捜査を開始。

 メルケル首相は謝罪し「ショックを受けた。独軍だけでなくドイツ全体の名声を傷つけた」と厳しい処分を求めた。ユング国防相は「このような行いをするばか者は独軍兵士として認められない。派兵先の文化を理解する教育を進めてきたのに、全体が疑われる。」

 独メディアは、兵士が死者を手厚く葬るイスラム教の慣習に反したと指摘。独軍は、イスラム教過激派タリバンの攻撃を恐れて、アフガンの基地の警戒を強めている。

安保理 非常任理事国選出、こう着状態打開に向け協議

 中南米枠からの国連安保理非常任理事国選出をめぐり、競り合いを続けるグアテマラとベネズエラの外相が26日にもニューヨークで会談し、こう着状態打開に向け、協議することになった。中南米外交筋が25日、明らかにした。両国とも原則的に第三国擁立で合意できれば、立候補辞退を拒否しない姿勢を示しているが、どの国を擁立するかでは意見の隔たりがあり、妥協にこぎつけられるかは微妙な情勢。

 国連総会は25日、中南米枠の選挙を再開し、同日だけで6回、通算41回の投票が行われた。しかし、米国が推すグアテマラ、反米色を打ち出すベネズエラともに当選に必要な3分の2の得票を獲得できず、情勢が大きく変化する見通しもない。

 中南米の国連大使は25日の投票に先立ち、協議したが、解決には両国の合意を前提に、第三国の擁立を図るしかないとの意見が強まっている。ただ、ベネズエラの支持が伝えられたボリビアにグアテマラが反対するなど合意も簡単ではない。他にチリやウルグアイ、コスタリカ、ドミニカ共和国などの名が挙がっている。

米国 核兵器研究施設で機密漏えい

米国の核兵器研究の中心施設であるロスアラモス国立研究所(ニューメキシコ州)で、機密とみられる書類が外部に漏えいしていたことが25日明らかに。別件の違法薬物販売事件の捜査で見つかったといい、連邦捜査局(FBI)が機密漏えいの疑いで捜査を始めている。

 AP通信などは、問題の書類は違法薬物販売の容疑者宅を警察が20日に捜索した際に発見。具体的内容は不明だが、地元メディアは、同研究所に勤務していたデータ入力を担当する女性契約社員に関連のある書類。同研究所は25日の声明で「深刻な事態でFBIに全面協力している。」

失神ゲーム 「他の複数生徒にも」逮捕生徒が供述 埼玉

 埼玉県新座市立中学3年の男子生徒(14)が「失神ゲーム」でけがをした事件で、傷害容疑で逮捕された同学年の少年3人(14?15歳)のうち1人が、県警新座署の調べに対して「2学期の初めごろから、他の複数の生徒にも失神ゲームをした」と供述。同署はいじめが継続的に行われていた可能性が高い。

 失神ゲームは、相手の胸を強く圧迫して一時的に気を失わせる危険な行為。少年の1人は調べに対し、「先生に申告せず、おとなしい生徒を狙った」とも供述。

 一方、同市の金子広志教育長は25日の臨時校長会で「起きてはならないいじめだった」と失神ゲームがいじめを認めた。市教委は、「校長から事件直後の12日に報告を受けたが、いじめの事実はつかめなかった」と。しかし、少年3人が逮捕された24日、改調査結果、「集団で羽交い締めにしてトイレへ引き込んで失神させるなど、いじめとみるのが適切。」

生活保護 7割が申請に至らず

 全国各市が設置する福祉事務所で04年度に受け付けた生活保護の相談件数のうち、実際に保護を始めた割合が平均で28%。最低の北九州市14.6%で、最高の千葉市69.7%。自治体間の格差について専門家の中には「相談にとどめて申請させない門前払いの実態を示している。」

 検査院によると、相談件数の把握は、全福祉事務所(903/1225カ所)。

 申請された件数に対する保護開始率は平均で91.5%。最低の熊本県でも73.8%と高く、申請後は高率で保護を受けられる実態がうかがえた。

 日本弁護士連合会が今年6、7月に行った生活保護に関する無料電話相談によると、事務所に相談に行った180人中118人(65.5%)が「65歳までは仕事を見つけなさい」「子供などから援助を」などと言われ申請に至らなかった。

10/25/2006

入園拒否訴訟 鈴花ちゃん勝訴「保育は十分可能」東京地裁

 たんの吸引措置が必要なことを理由に保育園への入園を拒否されたのは違法として、東京都東大和市の青木鈴花ちゃん(6)と両親が市に入園を求めた訴訟で、東京地裁は25日、鈴花ちゃん側勝訴の判決を言い渡した。杉原則彦裁判長は「保育園での保育は十分に可能で、拒否は児童福祉法に違反する」と指摘し、市に入園の承諾を義務付けた。市側は控訴しない方針を明らかにした。

 判決後、代理人の弁護士は「医療的ケアが必要な児童に広く入園の門戸を広げる判決で、来春の普通小学校入学にも後押しになる」と評価。鈴花ちゃんは「これから頑張って小学校に行きます。ありがとうございます」と笑顔で語った。会見後、報道陣に法廷でも広げて自分の思いをつづったノートを掲げて見せた。

 判決はまず「障害がある児童の入園を一律に認めないことは許されない」と指摘。鈴花ちゃんについて、自分で吸引行為が出来ることや医師の診断書を基に「障害の程度や内容に照らし、身体的・精神的状態や発達は、障害のない児童と変わりない」と判断した。市側は「看護師が付きっきりで看護できる態勢にない」などと主張したが、判決は「付きっきりの必要はない」と退けた。

 判決によると、鈴花ちゃんは喉頭(こうとう)軟化症という病気のため空気を気管に通す器具をのどに装着し、1?3時間ごとにたんを吸引する必要がある。両親が昨年1月、市内の保育園に入園を申し込んだが拒否され、今年1月の地裁決定で仮入園が認められた。

 ▽尾又正則・東大和市長の話 判決を厳粛に受け止め、現在の保育園で責任を持って対応いたします。

議員無料パス 私鉄24社「やめます」 負担が大変

 国会議員がJR以外の私鉄や公営交通に無料で乗れる「民鉄乗車証」について、これまで乗車できた鉄道会社の2割以上の24社が今月、「経営が苦しいのに特別扱いはできない」などを理由に便宜供与を取りやめた。乗車証は全国会議員への便宜供与として約60年間続いているが、日本民営鉄道協会(民鉄協)は今後、衆参両院に対しプリペイドカード購入など制度改革を要請する方針だ。批判の多い議員特権の一つが揺らいでいる。

 衆参両院などによると、民鉄乗車証は1946年に衆院議長から民鉄協の前身である鉄道協会の会長に「国鉄(当時)の無料パスと同様の配慮を」と依頼があり、以後続いている。民鉄協が毎年10月、全国会議員を対象にした1年間有効の乗車証を発行する。

 乗車証を使える会社は、民鉄協の加盟社を中心とする104社だった。しかし更新期の今月、民鉄協が経営難の中小会社や、高尾登山鉄道(東京都)、大山観光鉄道(神奈川県)、立山黒部貫光(富山県)などレジャー路線の会社計24社を対象から外すことを決めた。関東・関西の大手や地下鉄などは継続している。

 民鉄協総務広報部は「地方の中小の会社は経営が苦しいところが多く、便宜供与をやめることにした。公務と無関係のレジャー路線も脱退させてもらう。今後はパスネットなどのプリペイドカードを衆参両院に買い上げてもらうなど、制度の見直しをお願いしていきたい」と話している。

 紙製カードの乗車証は、改札口で見せれば自由に列車に乗ることができるので、国会議員が金額に換算してどの程度使用しているかなど、利用実態は把握できないという。

 衆院は「私鉄の好意で行われており、予算措置はしない」。参院は「参院だけでは決められない。(制度を変えるにも)衆院と歩調を合わせなければならない」と話す。

 乗車証を巡っては「議員がただで乗っているのに、電車通勤で庶民性をアピールする事例もある」(元国会議員秘書)などの批判も出ている。

 一方、JRも無料パスを国会議員に発行しているが、国鉄民営化以後は、衆参両院がJR6社にパスの購入費を支払っている。

髪染め人権訴訟 宮城県が教員の非認め、元女子生徒と和解

 宮城県立蔵王高の元女子生徒(17)が、赤みがかった髪を同校の教員に無理やり黒く染められて精神的苦痛を受けたとして、県に550万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が25日、仙台地裁(畑中芳子裁判長)で成立した。県は教員らの非を認め女子生徒に謝罪し、和解金50万円を支払う。

 弁護人によると、04年同校に入学した生徒は、学年主任や担任などから「髪が赤いので染め直せ」と言われ何度も黒く染めたが、髪が傷んで赤みが増し、同年11月、副担任から頭に黒いスプレーをかけられた。自主退学に追い込まれ「人権を侵害された」と訴えていた。

単位不足 10県65校、生徒数は1万1000人に

 富山県立高岡南高校で発覚した履修単位不足問題で、新たに青森、岩手、山形、福島、石川、福井、愛媛、広島、栃木の各県の公私立高校でも必修科目を履修せず同様の単位不足になっていることが分かった。単位不足はこれで10県65校、生徒数は約1万1000人に上った。各県教委や学校は単位不足の3年生が卒業できなくなるおそれもあるとして、3年生への補習授業を検討するなど対応に追われ、文部科学省も全国調査を行う。

 履修漏れによる単位不足が25日午後9時半現在までに判明したのは▽岩手30校▽山形12校▽福島10校▽福井5校▽青森、栃木2校▽石川、愛媛、広島、富山各1校の計65校。

 単位不足の生徒がいる学校は、冬休みなどを利用して補習授業を行い、足りない時数を補うとみられる。

 文科省教育課程課は「必履修教科・科目が履修されていると思っていた。ありえない話だ。学習指導要領を守らなければ、理科でも同様の問題が起きる可能性もある」。

電子投票 国政選挙で導入へ 自民党調査会が了承

 自民党選挙制度調査会(鳩山邦夫会長)は25日、タッチパネルなど電子機器を使った電子投票の国政選挙への導入を了承した。対象は電子投票の実施を条例で自主的に定めた市町村とする。調査会は早期の導入を目指しており、今国会に議員立法での電子投票法改正案を提出したい考え。ただ、来年の参院選からの実施に対しては「投票の際、有権者が戸惑う」などの慎重論も党内に強く、法案の提出時期を含め今後、調整を進める。

 電子投票は投票用紙の代わりに、電子機器の画面に触れるなどして投票する方法。電子投票法の02年2月の施行で、地方選に限って導入できるようになった。実施条例を制定しているのは現在、8市町村。電子投票は疑問票がなくなるほか、開票時間を短縮できる利点があるが、これまで投開票でのトラブルも相次いでいる。

10/24/2006

阪大論文ねつ造 教授会「懲戒解雇が相当」評議会で処分へ

 大阪大大学院生命機能研究科(大阪府吹田市)の杉野明雄教授(62)が実験データをねつ造・改ざんし、米国の専門誌に論文投稿していた問題で、大阪大は24日、研究教育評議会を開き、杉野教授の処分を検討する。同研究科の委員会の調査で、不正が指摘された2論文8カ所のうち一部について、杉野教授は不正を認めていた。調査結果を受け、同研究科の教授会は「懲戒解雇が相当」とする処分案を決定。同案通りに最終決定すると見られる。

 この問題では、今年7月、杉野教授が責任著者を務める論文にねつ造された実験データが含まれていると、共著者の同研究科助手(42)らが気付き、杉野教授に論文取り下げを要求。取り下げ後、助手らの告発を受けた同研究科の研究公正委員会(委員長・田中亀代次教授)が調査し、先月22日に結果を公表した。一方、この助手は調査中の先月1日、研究室で毒物のアジ化ナトリウムを飲み、自殺した。

 同委の調査によると、不正は酵母の染色体複製にかかわるたんぱく質の機能を解析した2論文で見つかった。いずれも米国の生化学専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に投稿され、今年7月に掲載された。どちらも杉野教授が責任著者を務め、著者は杉野教授を含めて5人と6人だった。

 同委は、(1)共著者全員による最終原稿確認と投稿の同意の手続きを行わず、杉野教授が論文投稿した(2)2論文とも杉野教授が単独でデータのねつ造・改ざんを行った(3)不正に共著者はかかわっていない??と結論し、「共著者たちの努力とその成果を踏みにじるもの」と断じた。

 阪大では昨年、医学論文のデータねつ造が発覚し、医学部調査委員会が調査。筆頭著者の学生(当時)がねつ造したと結論づけ、今年2月に同研究科などの2教授を懲戒処分(停職)にした。筆頭著者は、責任をなすりつけられ名誉を傷つけられたなどとして、2教授を相手に損害賠償請求訴訟を起こし、係争中。

ストックオプション訴訟 過少申告加算税は不当 最高裁2審破棄、国税の一部敗訴確定

 ストックオプション(自社株購入権)で得た利益を巡り、米国企業の日本法人の元役員らが国税当局による過少申告加算税の課税取り消しを求めた7件の訴訟で、最高裁第3小法廷は24日、課税を認めた2審判決を破棄し、同加算税を取り消す判決を言い渡した。判決は「納税者の責任とすることはできない客観的な事情があり、過少申告加算税を課すのは不当」と述べた。国税側の一部逆転敗訴が確定した。

 ストックオプションはあらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利。株価が高い時に権利を行使し、株を売却すると利益につながる。当初は競馬の払戻金と同じ「一時所得」と認められることが多かったが、国税当局は法改正や通達での周知を行わないまま、98年分の申告から税率が約2倍になる「給与所得」に見解を統一。過去にさかのぼって追徴課税し、ペナルティーとしての意味合いがある過少申告加算税を課した。02年にようやく通達を出した。

 納税者側は「一時所得と認めていたのに一方的に運用を変え、加算税までを課すのは不当」と主張。01年分までの1人当たり約34万?2億1000万円の過少申告加算税の取り消しを求めた。判決は「課税の取り扱いを変更する場合は、法令改正や通達で納税者に周知させ、定着するよう必要な措置を講じるべきだ」と指摘。「一時所得としての申告には無理からぬ面がある」と述べ、加算税の課税を違法とした。

 ストックオプションを巡っては、全国で100件以上の同種訴訟が起こされた。最高裁は05年、国税当局による課税の経緯には言及せずに「給与所得」との判断を示していた。

北海道新聞 函館新聞に2億2千万円支払いで和解

 函館新聞社が「新規参入を妨害され損害を受けた」として、北海道新聞社(道新)に約12億7600万円の賠償を求めた訴訟は24日、東京地裁(矢尾渉裁判長)で和解が成立した。道新が和解金2億2000万円を支払い、函館新聞社は東京高裁に起こした別の賠償請求訴訟も取り下げる。

 また、函館新聞社側が「料金が不当に安く妨害の一つ」と主張していた地域情報版の広告料金について、道新は「独占禁止法の趣旨を踏まえ、適切に設定・運用する」と和解条項で表明した。

携帯番号継続制度24日スタート ソフトバンク値下げ発表、価格競争一段と

 携帯電話会社を変えても電話番号をそのまま使える番号継続(ポータビリティー)制度が24日始まるのを前に、ソフトバンクモバイルがシェア獲得の切り札として料金値下げを打ち出したことで、顧客囲い込み競争は一気に激しさを増しそうだ。NTTドコモやKDDI(au)も対抗策の検討に入るとみられ、シェア争いの焦点は音楽配信などの「サービス」から「料金」に移る気配だ。

 「価格競争に本気で取り組む」。23日緊急会見した孫正義・ソフトバンクモバイル社長はこう強調し、固定ブロードバンドのADSL(非対称デジタル加入者線)事業参入に当たりNTTの半額の料金設定で新規顧客を拡大した成功体験の再現に期待を込めた。

 ソフトバンクの携帯事業に対しては価格破壊への期待が高かったが、ボーダフォン買収に伴う巨額の借り入れ負担が足かせとなり「今回は消耗戦に打って出られない」との見方も強かった。それだけに、23日発表されたソフトバンク携帯同士の通話無料などの新料金プランはドコモやKDDIに衝撃を与えた。

 ソフトバンクが「価格競争」に打って出た背景には、サービス面だけの競争では「番号継続制で独り負けになる」との危機意識もあったとみられる。第3世代携帯(3G)のカバー地域が狭いこともあって、上位2社に対抗するには力不足とみられていたためだ。

 今後はドコモやauの対応が焦点。ユーザーから値下げを求める声が高まるのは確実で、両社は「ソフトバンクの新価格プランをじっくり分析してから対応を考えたい」(幹部)などとしており、価格競争に突入する可能性もある。

公務災害認定 自殺の新任女性教諭、両親が申請

 仕事の過労とストレスで抑うつ状態になり、今年5月に自殺した東京都新宿区立小学校の新任女性教諭(当時23歳)の両親が24日、公務災害認定を申請した。教師の仕事量が近年増加しているとの指摘があり、精神性疾患で休職する教師も増加している。両親は「職を全うしようとしたからこそ倒れたということを証明したい」とした。

 弁護士によると、今年4月から女性教諭は小学2年(児童22人)のクラスを担任。担任業務のほか、学習指導部など複数の職務を担当。区の新任向けの研修をこなし、授業の準備やリポート提出に追われていた。土日出勤も常態化し、時間外労働が1カ月130時間を超えていたと推定されるという。

 また、4月から5月にかけて、指導方法を巡り保護者とやりとりを繰り返し、対応に悩んでいたという。しかし、1学年1クラスのため、同学年内に新任教師に対する指導担当教員がおらず、十分な指導が受けられないと周囲に漏らしていたという。

 教諭は5月に抑うつ状態と診断され、同月下旬に都内の自宅で自殺未遂を起こした。さらに同31日に自宅で自殺を図り、6月1日に死亡した。自宅に残されたノートには「無責任な私をお許しください。全(すべ)て私の無能さが原因です。家族のみんな ごめんなさい」と記されていた。

 女性教諭の両親は「教壇に立つことを夢見て、誠実さと優しさと使命感に満ちあふれた若い人材が二度と同じ道を歩むことのないことを切に望んでいます」とコメントした。

 文部科学省の04年度までの調査では、全国の公立学校教職員らの病気休職者のうち、精神性疾患数は10年間で約3倍増となっている。95年度1240人だった精神性疾患の休職者は年々増え、04年度3559人で全休職者に占める割合は56.4%となった。

 ▽両親の代理人を務める川人博弁護士の話 新任教師にとって単学級でのクラス担任の仕事は負担が大きい。また、校長などのしっかりしたサポートがなかったことが、自殺の原因とみられる。多くの教師が家庭や地域の教育力の低下により、過重労働の上にストレスを抱えている。対策を急ぐべきだ。

携帯番号継続制 ヒートアップ…三つどもえの顧客争奪戦

携帯電話会社を変えても同じ番号を引き継げる番号継続(ポータビリティー)制度が24日始まった。ソフトバンクモバイルが23日に大胆な値下げプランを電撃発表するなど、NTTドコモやKDDI(au)との三つどもえの顧客争奪戦がヒートアップしている。

関西電力美浜原発3号機 来年1月の運転再開を発表

 04年8月に5人が死亡する高温蒸気噴出事故を起こし運転停止中の関西電力美浜原発3号機について、関電は23日、先月26日?今月3日の試験運転の結果、機器の健全性が確認できたとして、来年1月中旬に営業運転を再開すると発表した。

 営業運転は今月下旬にも再開される見通しだったが、遺族から早期再開に反対の声があがった。

 関電は「遺族には既に説明している。理解してもらえるよう(これからも)誠心誠意努力を続ける」と話している。

認知症妻殺害 京都「看病に疲れ」73歳夫自首

 23日午前4時5分ごろ、京都市南区吉祥院車道町にある京都府警南署吉祥院交番から、同区吉祥院這登東町、無職、茶屋猛容疑者(73)が「認知症の妻と病弱の娘の看病に疲れ、妻の首をタオルで絞めた。息をしていない。自首します」と110番通報した。交番は夜間無人で、駆けつけた同署員が茶屋容疑者の身柄を確保。アパートで妻の無職、英子さん(70)が倒れており、殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。英子さんは病院搬送後、間もなく死亡。同署は容疑を殺人に切り替えて捜査している。

 調べでは、英子さんは首にタオルを巻かれていた。茶屋容疑者は、英子さんと無職の長女(42)の3人暮らし。英子さんは今年夏ごろから寝たきりで、茶屋容疑者が介護していたという。

 近所の女性(72)は「奥さんは心臓が悪いと聞いていた。奥さんが車椅子に乗り、ご主人が押して病院に行く姿をよく見かけたが」と驚いていた。

奈良市職員 5年間で8日しか出勤せず 市、処分へ

 奈良市の環境清美部収集課の男性職員(42)が、病気を理由に休暇、休職を繰り返し、01?05年の5年間で8日の出勤。今年は1日も出勤していないが、給与は満額受給。出勤した8日のうち3日は、別途手当が支給される年末や休日。このため、藤原昭市長は23日、この職員について、詳細が明らかになった段階で懲戒免職にする方針を明らかにした。国では今月13日、病気休暇が3年を超える職員を分限免職できるとした指針を公表。

10/22/2006

社保庁改革法案 政府・自民党が調整審議未了・廃案へ

 政府・自民党は21日、継続審議となっている社会保険庁改革法案について、臨時国会の会期末に審議未了・廃案とする調整に入った。同法案は、社保庁の年金業務を国の特別機関「ねんきん事業機構」に引き継ぐことが柱。しかし国民年金保険料の不正免除問題を受け、同党は「社保庁職員が国家公務員のまま新組織に移る案では、来年の参院選で勝てない」と判断した。年金運営組織の職員を非公務員化する法案に練り直す意向だ。

 今年の通常国会に提出された同法案は、08年10月に社保庁をねんきん事業機構と、医療保険を運営する全国健康保険協会に分割する内容。同協会職員は非公務員だが、同機構職員は「公的年金への信頼回復のため、国の新たな行政組織として再出発することが重要」として、国家公務員の身分を維持させる。

 ところが今年3月に不正免除問題が発覚した。法案を継続審議とした与党は今の臨時国会で現法案を修正する考えだったが、世論の反発を警戒し断念。再び継続扱いとすれば参院選に影響するとみて、廃案とすることにした。近く自民党の中川秀直幹事長と丹羽雄哉総務会長が会談し、こうした方針を打ち出す見通し。

 社保庁改革をめぐっては、安倍晋三首相が9月の自民党総裁選で「解体的見直し」を主張。首相就任後も「すべて公務員でやらないといけないのかを含め、もう一度見直す必要がある」と再三強調している。

 自民党は、年金運営組織を非公務員型に改める新法案を、来年の通常国会以降に提出することを念頭に置いている。だが、公的年金を非公務員に委ねることに対する議論は不十分で、自民党が志向する法案が実現するかどうかは不透明だ。

母子医療センター 4県で計画未策定 国の産科整備に遅れ

 緊急かつ高度な治療が必要な母子への対応を目的に、国が全都道府県で整備を目指す「総合周産期母子医療センター」が未整備の8県のうち、4県では計画が策定されておらず、残る4県でも08年3月の整備期限内に完了する見通しが立っていないことが21日、毎日新聞の調べで分かった。奈良県大淀町立大淀病院で意識不明となった妊婦が搬送先の病院で死亡した問題で、産科医療の体制不備が浮き彫りになっており、国は早急な対応を迫られそうだ。

 国は04年の「子ども・子育て応援プラン」に基づき、08年3月までに総合周産期母子医療センターを整備するよう各都道府県に求めている。現在、秋田、山形、岐阜、奈良、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8県が未整備で、各県の担当課に計画の進ちょく状況や県外搬送数などを取材した。

 8県のうち、岐阜、佐賀、長崎、鹿児島は特定施設を同センターに指定する方針で、交渉などを進めている。他の4県は(1)新生児集中治療室9床以上(2)母体・胎児の集中管理治療室(MFICU)6床以上??などとする国の方針を満たす施設を整備する計画自体がなかった。

 8県の未整備の理由としては、「看護師の確保が困難」(奈良)のように要員不足が多かったが、「県内の面積が広く、交通事情も悪い。県内6カ所で受け入れる現状の方法で効率は上がっている」(宮崎)との声もあった。また秋田県は「MFICUを既存の病院に3床設ける予定で、これまでの実績から国の方針と同程度の機能を有するものになる」としている。

 一方、県外への母体の搬送数については、奈良県が04年で37.19%、長崎県が05年に1例、鹿児島県が「基本的にない」としているほかは、いずれの県も把握していなかった。

 厚生労働省母子保健課は「今回の奈良県のような問題が再び起きないように、早急に整備してほしい」と話している。

10/21/2006

改正貸金規制法案 金融庁に役員解任権盛る

 消費者金融の規制強化問題で、政府・与党が月内にも国会提出する関連法改正案に、違法行為を行った取締役に対し、金融庁が解任命令を出せる規定を盛り込むことが20日、分かった。経営陣の責任を直接追及する行政処分を新設することで、違法行為が相次ぐ業界の適正化を図る。政府・与党は来週中にも、同法案の最終決定を目指す。

 現行の貸金業規制法では、業者が違法行為をした場合、行政処分として業務停止命令や登録取り消しが規定。金融庁は今年4月に消費者金融大手のアイフルに対し業務停止命令を出すなど業界への監督を強化しているが、今回の解任命令規定の新設で、取締役個人の責任をより厳しく追及できる。一方、業務停止命令に至らない違反事例も、新たに業務改善命令を出せる。

 法改正は、貸金業規制法を「貸金業法」に改称。従来は貸金業登録を拒否するケースとして、「暴力団員などが事業支配したり、業務に従事している場合」など定めていたが、「ほかの業務が公益に反すると認められる場合」を加え、暴力団員と無関係でも違法行為があれば拒否できる。また、貸し過ぎ防止策として、相談機関の紹介に努めるよう業者に義務付ける。

警察裏金問題 宇都宮の市民シンポで元警部補が実態暴露

 宇都宮市で21日、警察の裏金問題を巡る市民団体のシンポジウムがあり、栃木県警の元警部補、阿久津武尚氏(60)が「現職時代、上司に架空の領収証を書かされたほか、交通違反のもみ消しと思える事実があった」などと告発した。

 阿久津氏は1966年に任官、県内各署や高速隊などに勤務。今年3月、大田原署地域課の警部補で定年退職した。シンポは「市民オンブズパーソン栃木」(高橋信正代表)の主催。阿久津氏は主に97?01年の黒羽署勤務時の体験を話した。

 阿久津氏によると、98、99年のいずれも12月、当時の同署会計課長に命じられ、あて名欄が空白の領収証1万円分を計2回書かされた。課長に領収証のひな型を示され「同じように書いてほしい」と言われたという。阿久津氏は「命令に服して領収証を書いたが、今思えば裏金作りに加担していた」と話した。

 また、96?01年の同署交通課時代には、管理していた処分前の交通違反者の違反切符のうち計8人分の一部または全部が抜き取られた。後で確認したところ、いずれも行政処分や刑事処分がなされていなかったという。

 講演内容について手塚真・県警会計課長は「過去を通じ、偽造領収証などによる裏金作りはないと承知している。事情が分からないので、当時の上司や本人に話を聞きたい」と話した。

10/20/2006

豊和銀行 公的資金90億円投入を決定

 金融庁は20日、大分市の第二地銀、豊和銀行に対し、金融機能強化法に基づき公的資金90億円の投入を決定。同行の自己資本比率は9月末の6%台から9.8%程度に。04年8月施行の同法に基づく公的資金投入は、紀陽ホールディングス(和歌山県)に次ぎ2行目。合併を伴わない申請では初めて。

 豊和銀は、金融庁検査を受け貸し倒れ引当金を大幅に積み増した結果、06年3月期に健全な財務の基準である自己資本比率4%を割った。9月までに西日本シティ銀行と地元取引先から計90億円の増資を行うとともに、頭取ら経営陣が辞任していた。

 同法は、金融機関の経営強化のため、予防的に公的資金を投入できる法律。

兵庫泥酔保護 懇親会で飲酒…路上で19歳巡査

 兵庫県警高砂署地域課の男性巡査(19)=同県明石市=が今月16日、未成年にもかかわらず課内の懇親会で飲酒し、同県西宮市内で泥酔状態で20日保護されていた。巡査は階級章などが入ったバッグを一時、紛失しており、県警監察官室が懇親会に参加した上司などから事情を聴いている。

 16日正午ごろから同日夜にかけ、同県姫路市内の中華料理店やスナックなどでビールなどを飲んだ。帰宅するため泥酔状態で電車に乗ったが、乗り過ごし、阪神西宮駅で降りた。路上に座り込んでいたところを西宮署員に保護された。懇親会には課員十数人が参加していたが、飲酒を止めなかったという。

金融庁 勤務先に取り立て電話、「レイク」に業務停止命令

 金融庁は20日、違法な取り立て行為があったとして、米ゼネラル・エレクトリック(GE)子会社で、消費者金融レイクを運営するGEコンシューマー・ファイナンス(東京都目黒区)に対し、貸金業規制法に基づき、11月13日から5日間、電話による取り立て業務を停止するよう命じる一部業務停止命令を出した。

 金融庁によると、今年4月、返済を延滞した利用者の勤務先に取り立ての電話をかけ、その際に利用者から携帯電話の番号と勤務先へ連絡しないよう申し出があったのに、数日後に再度勤務先に電話した。貸金業規制法は正当な理由なく、勤務先に取り立ての電話をすることを禁止しており、同社も申し出のあった顧客には勤務先に電話しないことにしているが、社内の手続きミスで電話をかけていた。同社は「迷惑をかけたことをおわびし、今後ミスのないよう周知徹底する」。

研究成果公開促進費 目的外使用目立つ

 大学や学会の研究成果を公開するために交付された予算で、デジタル携帯音楽プレーヤー「iPod」を購入するなど、本来の目的と関係ない使われ方をしている実態が明らかになった。科学技術振興予算は歳出削減の例外として、一貫して増額されているが、目的を果たしているかのチェックも求められそうだ。

 財務省が05年度の「研究成果公開促進費」(30億5000万円)のうち、47件7億3100万円について調べた。指定された専用口座で予算の管理を続けていたのは12件だけ。補助金を大学の口座に振り替えたり、専用口座を研究者の個人口座同様に使うなど。調査対象3億300万円の約9割が不要な刊行物作りに使われていた。

前納金返還訴訟:元受験生の逆転敗訴確定 AO入試

 「AO入試」を受けて早稲田大に合格した後、入学を辞退した元受験生2人が、入学金や授業料などの前納金返還を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は20日、元受験生の上告を退ける決定を出した。請求を棄却した2審判決が確定した。

 一般入試については前納金のうち授業料の返還を命じる判決が多く、東京地裁判決(03年10月)も授業料だけの返還を命じたが、東京高裁判決は(05年2月)は「受験した学部を第1志望とすることが早大のAO入試の出願資格で、(授業料を含めて)前納金の返還請求は許されない」と判断した。

 また、第2小法廷は同日、1、2審で一般入試における入学辞退者への授業料返還を命じられた上智大の上告を棄却する決定を出した。この日は実質的判断を述べなかったが、11月27日の同種訴訟の判決で、返還が認めらるかどうかの詳細な基準を示す見通し。

10/19/2006

英国 郵便局存続に4百万人嘆願 地方削減の動きに反対

 英国の小規模郵便局の事業者ら数千人が18日、郵便局の存続を求めてロンドン市内でデモ行進した。「地方郵便局を切り捨てるな」とした嘆願書に、過去最多の約400万人の署名を集めて首相官邸に提出。

 1999年に全国で約1万8000局以上あった郵便局は、株式会社化による合理化で約1万4000局に減少。政府は2010年から高齢者の年金給付などで郵便局を使わない方針で、事業者側は「さらに6000局が経営危機に陥る」。

 英国の小規模郵便局の多くは独立した事業者で、物品販売の傍ら郵便会社の委託を受けて窓口業務に携わる。BBC放送によると、窓口の経営は大幅な赤字という。

DDT WHOが対マラリアで散布勧告

 「DDTの毒性は、認可されている他の殺虫剤より弱い発がん性は、実際にはないことが分かった。人体に直接的な影響を与えないことは、科学的調査によって証明されている」。WHOマラリア対策本部のギエ調整官は強調する。

 敗戦後の日本で、白い粉を頭からかけられた記憶がある年配の人や、そうした映像を見たことのある人も多いだろう。南方からの帰国兵が持ち込んだ感染症の拡大を防いだのがDDTだった。

 DDTは19世紀後半に合成された化学物質で、安価で高等生物への急性毒性が弱く、マラリアを媒介する蚊の駆除に劇的な効果を上げることも分かった。

 しかし、米国の海洋生物学者、レイチェル・カーソンが1962年、著書でDDTの生態系への影響を指摘。他の研究者からも発がん性やホルモンに似た作用があるという報告が相次いだ。このため、日本国内で81年に使えなくなるなど、80年代に各国で使用禁止。

 スリランカでは46年に年間280万人が感染したが、DDT散布によって63年は17人と激減した。ところが、64年の使用中止で5年後には年間感染者が250万人に戻った。最近は全世界で年間5億人以上が感染し、100万人以上が死亡。

 こうした状況の切り札として、WHOはDDT復権を図ろうとしている。ギエ調整官は「ずっと使い続けろというわけではない。マラリア制圧という限定的な目的での使用を進めているだけだ」と説明。

 DDT有害説は完全に否定されたのだろうか。国立環境研究所環境リスク研究センターの曽根秀子主任研究員(分子毒性学)によると、最近の欧州などでの研究で、DDTと男児の生殖器異常との関連性を示す報告がいくつか出ており、DDTのホルモンに似た作用による影響。野生生物はヒトよりもさらに敏感で、米国ではワニの生殖器異常などが報告。動物実験の結果では、発がん性も完全には否定されていない。曽根研究員は「さらに研究が必要だが、どうやらリスクはありそうだ」。

 有害化学物質による汚染防止を目的に一昨年発効したストックホルム条約は、DDTを規制対象としている。同条約事務局のウィリアムス報道官は「マラリア対策での使用は条約でも認められているが、あくまでも例外だ」と話す。

 日本もマラリアは人ごとではない。国立環境研究所の小野雅司・環境健康研究領域総合影響評価研究室長(環境疫学)は「温暖化によって蚊の生息域が広がれば、将来的には流行する危険がある」。しかし、厚生労働省や環境省は「今回のWHOの声明に絡み、国内でDDTの規制を緩和する動きは出ていない」。

自殺統計 警察庁は分類に「いじめ」「多重債務」など追加

 警察庁は19日、8年連続で年間3万人を超える自殺対策に役立てるため、同庁の自殺統計の原因・動機の分類方法を見直し、「いじめ」「負債(多重債務)」「介護・看病疲れ」など社会問題化している項目を新たに加える。来年1月以降は新しい分類で集計し、データは08年以降に関係省庁や研究機関の要望に応じて速やかに公表する。

 今年6月に国と自治体に自殺に関する情報の収集、分析などを義務付けた自殺対策基本法が成立したことを受け、同庁が見直しを進めていた。

 同庁は全国警察で把握した自殺者のデータを「自殺の概要資料」として毎年とりまとめ、公表している。原因・動機は「家庭問題」「健康問題」「経済・生活問題」など大きく8項目に分類。さらに家庭問題を「親との不和」や「子との不和」に分けるなど全体で54項目に細分化し、検視を担当した警察官がこのうち一つを選んでいた。

 今回の見直しでは分類項目に新たに「いじめ」「介護・看病疲れ」「子育ての悩み」「被虐待」などを加えるほか、これまで「負債」としてきたものをさらに「多重債務」「連帯保証債務」「その他」の三つに分ける。また、ケースの少ない「思想」や「あてこすり」を廃止し、全体で53項目。自殺の動機は多岐にわたることが多いことから警察官が三つまで選んで記録する。自殺サイトへの書き込みの有無も集計。自殺の手段の分類にも「練炭等」「排ガス」の項目を加えた。

マネーロンダリング 日弁連通じて届け出 警察庁が新法案

 テロにからむ資金や犯罪収益のマネーロンダリング(資金洗浄)対策の新法案「仮称・犯罪収益流通防止法」をめぐり、警察庁は資金洗浄が疑われる取引を弁護士が知った場合に日本弁護士連合会(日弁連)を通じて同庁に届け出る新法の枠組みをまとめ、日弁連に提示。同庁は年内の法案取りまとめをめざしているが、日弁連は反対しており、調整は難航が予想される。

 新法は、これまでの金融機関に加え、弁護士、会計士、宝石・貴金属商、私書箱業者などを対象に含め、資金洗浄の疑われる取引について同庁への届け出や取引の際の本人確認、取引記録の保存を義務付ける。警察庁の案では弁護士が直接同庁へ届け出るのではなく、日弁連を通じて行い、日弁連が顧客の守秘義務の観点から問題があると判断すれば、届け出を見合わせるなど判断を全面的にゆだねる。弁護士の届け出について行政庁による監督も行わず、届け出基準などは日弁連に会則で定めてもらう。

 同庁は「日弁連に判断を任せれば実際の届け出の数は少なくなるかもしれないが、新法の対象に弁護士が含まれることで資金洗浄の抑止効果が上がる」と。一方、日弁連の松坂英明副会長は「この制度では弁護士が場合によっては顧客の秘密を密告することになり、顧客は弁護士に秘密を言えなくなる」と。

テロ特措法 1年間延長の改正案、衆院で可決

 11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法を1年間延長するための同法改正案が19日の衆院テロ防止・イラク支援特別委員会で採決され、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。同日午後の本会議でも可決され、参院に送付。

 同法は、米軍などへの後方支援として、海上自衛隊がインド洋で補給活動を行うため、01年11月に2年間の時限立法として成立。延長は今回で3度目。

前原前民主党代表の周辺事態法容認論に同調相次ぐ

 民主党の前原誠司前代表ら同党議員15人は19日国会内で会合を開き、北朝鮮の核実験問題をめぐり協議した。この中で前原氏は国連安保理の北朝鮮制裁決議を受け周辺事態法を適用するべきだと容認論を展開、同調する意見が相次いだ。

 出席者は「国防省設置を早期に実現する議員連盟」(会長・渡辺秀央参院議員)のメンバーを中心とする議員で、前原氏は同法適用に反対する小沢一郎代表ら党執行部の対応について「ここで何もしなければいつまでたっても政権交代できない」と批判。

産経抄

 今月4日の小欄で、いじめなんかで、「もう死ぬな」と呼びかけたのもむなしい。福岡県筑前町でも、中学2年の男子生徒が自らの命を絶った。
 ▼自殺は報道をきっかけにして、連鎖することがあるから、コラムでの取り扱いも慎重であるべきだ、とは思う。それでも生徒の通う中学のデタラメぶりを聞いたら書かずにはいられない。
 ▼「君は偽善者にもなれない偽善者だ」。生徒が1年のとき、床に落ちた級友の消しゴムを拾ってあげると、担任がこんな言葉を浴びせた。「うそつき」とも。現在は学年主任を務めるこの男性教諭(47)は、生徒の父親から「なぜ息子をいじめたのか」と問いつめられて、「からかいやすかったから」と答えた。教諭が主導するいじめに、一人の生徒が立ち向かえるはずがない。
 ▼「一生をかけて償います」とは今さら白々しい。そもそも、こんな人物が教壇に立っていられること自体が、不思議で仕方がない。校長は教諭の暴言を知らなかったのか。それとも、見て見ぬふりか。会見の様子を見る限り、真相究明に取り組むというより、責任回避に汲々(きゅうきゅう)としているようだ。
 ▼きのうの朝のワイドショーで、勝谷誠彦さんが「いじめ」という言葉は、強姦(ごうかん)をいたずら、と言い換えるのと同じ欺瞞(ぎまん)だ、と怒りをあらわにしていた。教諭と同じ暴言を、警察官が容疑者に吐いたら、立派な犯罪になる、との指摘も。同感だ。教員の地位は守られすぎている。
 ▼安倍晋三首相が、あえて教育改革といわずに、「再生」という言葉を使った意味がよくわかる。それほど教育の荒廃が進んでいる。教育再生会議の課題はいろいろあるだろうが、まずは教員の免許更新制度の導入を急いで、一日も早くダメ教師を追放してほしい。

10/18/2006

中学教諭自殺 千葉市教委調査で校長行き過ぎ指導の可能性 

千葉市立中学校の男性教諭(50)が9月に自殺し、背景に勤務校の男性校長(58)の行き過ぎた指導がある可能性があるとみて、同市教育委員会が関係者から事情を聴いていることが分かった。教諭は教務主任を務め、校長から度々、叱責(しっせき)され体調を崩していたという。校長は9月半ばから体調不良を理由に休職している。

 市教委などによると教諭は9月6日、千葉市の外房有料道路の高架橋から地面に転落し、死亡しているのが見つかった。遺書はなかったが、遺族の訴えで市教委が調査を開始。9月中旬に校長から事情聴取し、同下旬には職員らに書面で事情を報告させた。

 校長は昨年4月に、教諭は今年4月に同校に赴任した。関係者によると、今年の夏休み前から、教諭は仕事上の報告をする際、校長から大声で叱責されることが多くなった。また校長は、他の教諭にも声を荒らげることがあった。

 市教委は「自殺が職場のことだけが理由なのか事実を調査し、校長の処分も含めて検討している」と説明した。パワーハラスメント(地位を利用したいやがらせ)に当たる行為がなかったかなども調べる。同中学校は「市教委の調査中で、コメントを控えたい」としており、遺族は同中学校に「そっとしておいて欲しい」と話している。

いじめ自殺 子どもの叫びを聴け (朝日社説)

 また、いじめが引き金になって子どもの命が失われてしまった。
 福岡県筑前町の三輪中学校に通う2年の男子生徒が、いじめを受けたとの遺書を残して自殺した。あろうことか、いじめの発端は1年の時の担任教師だった。
 学校などによると、生徒がたびたび早退し、自宅でインターネットのサイトを見ていたため、母親がこの教師に相談した。教師はその内容を同級生に暴露した。それが発端となって嫌なあだ名をつけられ、いじめが広がった。
 友人が落とした文具を拾ってあげた生徒に、教師が「偽善者にもなれない偽善者」と言ったこともあった。
 教師は生徒の両親に「からかいやすかった」と釈明した。強い立場にある教師にとっては悪ふざけや冗談であっても、受けた側には暴力そのものだ。頼りにする先生からの仕打ちにどんなに傷ついたか。子を持つ親ならずとも、強い憤りを覚えることだろう。
 20年前、東京都中野区の中学2年生が「このままじゃ、『生きジゴク』になっちゃうよ」との遺書を残して命を絶った。「葬式ごっこ」という陰湿ないじめが横行し、しかも4人の教師が加担していたことに社会は大きな衝撃を受けた。
 今回は担任がいじめを主導したといっても過言ではない。より悪質といえよう。こんな教師は例外的な存在と思いたいが、教育の現場はどうなのか。
 文部科学省が集計する小・中・高校のいじめは昨年度で約2万件だ。一方、自殺は105件あったが、いじめが原因とされたのは99年度以降では皆無だという。一見、落ち着いたかに見える。
 だが、昨年9月、北海道滝川市の小学校でいじめに苦しんで自殺した小学6年の女児は遺書で訴えていたのに、学校も市教委も黙殺していた。
 三輪中学校でも、ここ数年、7、8件のいじめが起きていた。それなのに、校長は町教委に「0件」と報告していた。
 ことを荒立てず、内密にすませようとする学校。都合のいい報告をうのみにして現実から目をそらす行政。両者のもたれ合いが、弱い者いじめを許している。
 そのうえ、教師が加担したり、見逃したりしていれば、子どもが救いを求める先がなくなってしまう。こうした事態にどう対処すればいいのか。
 参考になる例がある。兵庫県川西市は99年、第三者機関として「子どもの人権オンブズパーソン」制度を設けた。全国でも初の試みで、弁護士や医師らが電話相談をもとに独自に調査し、問題があれば学校や親に勧告する。
 昨年の相談件数は588件。うち4割が子どもからの相談だった。最悪の事態を防ぐセーフティーネットの役割を果たしている。
 悲劇を根絶するには、子どもたちの叫びに周りの大人が真剣に耳を傾け、いじめを決して許さない姿勢を貫くことしかない。

教育改革 「再生会議」が初会合 教員免許更新など検討へ

 政府は18日、安倍政権の最重要課題である教育改革を検討する「教育再生会議」(座長、野依良治・理化学研究所理事長)の初会合を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は冒頭「すべての子どもに高い学力と規範意識を身につける機会を保障するために、公教育の再生や家庭・地域の教育力の再生が重要だ」との方針を示し、教員免許更新制度や学校評価制度の導入の検討を要請した。

 来年1月に中間報告を出し、予算措置が必要なものは来年6月にもまとめる「骨太の方針」に盛り込む。

 首相と17人の委員、伊吹文明文部科学相らが出席した。首相は具体的な検討課題として(1)質の高い教育提供による学力向上(2)規範意識や情操を身につけた美しい人づくり(3)地域ぐるみの教育再生??の3点を提示。その後の討議では、いじめによる生徒の自殺も取り上げられ、義家弘介・横浜市教育委員が「脱落した子を受け入れる仕組みがない」と新たな制度づくりの必要性を強調した。

 今後は全委員による自由討議の後、月内にも分科会を設置し中間報告の取りまとめ作業に入る。首相の要請を踏まえ、教員免許更新制度のほか全国的な学力調査、学校評価制度などについて議論を進める。政府は来年の通常国会に、中間報告を反映させた学校教育法改正案を提出する方針。

 一方、首相が提唱する大学の9月入学制や教育バウチャー(利用券)制度の導入は与党や教育界に抵抗感が根強く、本格議論は中間報告後に先送りする方向だ。

国内で初のCO2排出量取引成立

 日本電気硝子(大津市)と船井総合研究所(東京都千代田区)は18日、今年度から始まった環境省主導の温室効果ガス国内排出量(排出権)取引制度を通じ、両社間で二酸化炭素(CO2)200トン分の排出量の売買取引が成立したと発表した。これが初めて。環境省は今年度の平均取引価格を来年度に公表することにしており、制度定着で国内企業のCO2削減に向けた取り組みを後押しする考え。

 自主参加型の同制度の参加企業は97社、うち89社は省エネ設備導入のために補助金を受け、自主目標を定めてCO2削減を図っている。

 目標以上に削減できた企業は余剰分の排出権を他社に売ることができ、目標達成が難しい企業は購入分を削減量に組み込める。参加企業だけが見られるインターネット上の「市場」で売買希望額をつき合わせ、合致すれば取引が成立する。

 日本電気硝子は「確実に目標以上に削減できると見込まれる量の一部を売却した」、船井総研は「なじみの薄い制度で、法律上や会計上の扱いなど経験を蓄積するために取引した」としている。
 両社は売買価格を公表していないが、船井総研によると、先行する欧州の取引制度(EU?ETS)の価格(CO2・1トン当たり約13ユーロ=約1960円)を参考にしたという。

NHK 国際放送での「拉致」重点化要請あった、と明かす

 NHKは18日、今年3月末に、短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に扱うよう、総務省から口頭で要請されたことを明らかにした。
 毎年4月に更新される免許の交付時に、要請を受けた。拉致問題の他に、大規模災害とテロに関しても重点的に扱うよう求められたという。NHKは「いずれも、すでに報道している問題」として、要請によってその後の番組内容を再検討したことはないとしている。
 一方、総務省は個別課題について口頭で要請したことについて、電波監理審議会に現在も説明していないうえ、要請したことを示す記録も同省にはないという。これに対して、同審議会委員の一人は「事後にでも報告すべき内容だ」と総務省の対応を批判した。
 総務省は、NHK国際放送で拉致問題を重点的に取り上げるよう、放送法に基づく命令を出すことを検討している。

三重・志摩病院医産科不足 医師1人の婦人科のみ診療へ 

 産婦人科医が不足している影響で、三重県病院事業庁は18日、県立志摩病院(同県志摩市)の産婦人科について、同県伊勢市の山田赤十字病院から医師2人を常勤で派遣してもらっている現行の診療体制を断念し、11月から派遣医1人による婦人科のみの外来診療(週2日)に切り替えると発表した。これにより、志摩地域では分べんができる産科医療機関がなくなることになる。

 伊勢志摩地域には、三重大学医学部(津市)から志摩病院に2人、山田赤十字病院に6人の産婦人科医が派遣されていた。しかし、産婦人科医の減少に伴い、今年4月から山田赤十字病院の医師が2人減の4人になったため、同医学部は7月から同地域の医師6人を山田赤十字病院に集約。うち2人を10月末まで志摩病院に常勤派遣する形に変更した。志摩市や地元住民らは11月以降も産婦人科の存続を求め、同医学部や病院事業庁に要望書を提出していたが実らなかった。

 志摩病院は、志摩地域の中核病院で、分べんができる唯一の医療機関。05年度の分べん件数は97件で、06年度も9月末までに34件の分べんが行われた。産科機能がなくなることについて、病院事業庁の東村良重総括室長は「地域への影響も極めて大きく残念で、申し訳ない。三重大医学部以外を含め、なるべく早く産婦人科医師を確保できるよう努めたい」と話した。

中国 歴史教科書の批判掲載で「青年報」編集局長更迭

 中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報」の李而亮編集局長が17日更迭された。北京のメディア関係者が明らかにし、同紙の付属紙「氷点週刊」は1月、中国の歴史教科書の記述を批判する論文を掲載し、共産党中央宣伝部から約1カ月間の発刊停止処分を受け、李而亮氏も編集責任を問われた。


 「氷点週刊」の編集長だった李大同氏らも2月に更迭。中国では外国メディアを含めた報道機関への管理が厳しくなっている。

耐震偽造 藤田被告に有罪判決 虚偽登記罪で東京地裁

 耐震データ偽造事件で、増資を装ったとして電磁的公正証書原本不実記録・同供用(虚偽登記)罪に問われた民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区、廃業)社長、藤田東吾被告(45)に対し、東京地裁は18日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役2年)を言い渡した。青柳勤裁判長は「業績を上げるため法令の潜脱(脱法)もいとわない身勝手な考え」と述べる一方、起訴事実と耐震偽装との関連性は否定した。一連の事件で起訴された6被告のうち初の判決。
 
 藤田被告も公判で見せ金増資を認めつつ、耐震偽装事件との関連を否定していた。
 判決によると、藤田被告は01年10月に同社の資本金を約2300万円から約5000万円に増資したとする法人登記の変更を申請した際、実際には資金がなかったため、知人の司法書士(67)=起訴猶予=から一時的に借り入れた資金などで増資を装い、虚偽の登記申請をした。

10/17/2006

日立特許訴訟 発明対価、1億6千万円超が確定 最高裁

 CDやDVDなど光ディスクの読み取り技術を発明した日立製作所の元主管研究員、米澤成二氏(67)が、発明の譲渡対価として、日立側に2億8000万円を請求した訴訟で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は17日、日立側の上告を棄却。判決は「発明者は日本の特許法に基づき、企業に海外特許分の譲渡対価を請求出来る」との初判断。国内分に限って請求を認めた1審判決を取り消し、海外分を含め1億6300万円余の支払いを命じた2審判決
 同種訴訟では「青色発光ダイオード」の発明者、中村修二氏と日亜化学工業(徳島県阿南市)が8億4391万円で和解しているが、判決の確定額としては今回が最高額。
 訴訟の対象は、光ディスクにレーザーを当ててデータを読み取る技術。日立は米澤氏に約240万円を支払って特許を受ける権利の譲渡を受け、国内のほかアメリカやカナダ、イギリスなどで特許権を取得した。
 訴訟は米澤氏の退職から2年後の98年に起こされ、海外特許分の譲渡対価を請求出来るかについて1、2審の判断が分かれた。第3小法廷は「特許を受ける権利は国ごとの別個の権利と考えられるが、もとになる発明は一つしかない」。「会社に対価を請求出来ると規定した特許法の規定は、外国特許にも類推適用される」。

代理母出産禁止 見直し含め「政府全体で」再検討 厚労相

 長野県のクリニックで祖母が孫を代理出産していた問題で、柳沢伯夫・厚生労働相は17日の閣議後会見で、現在は禁止の方針をまとめている厚労省の報告書にとらわれず、見直しも含めて再検討することを明らかにした。厚生科学審議会は03年に代理出産を罰則付きで禁止すべきとの報告書をまとめているが、柳沢厚労相は「当時に比べ(代理出産に)賛成する世論もみられる」と話し、報告書にとらわれず、見直しも選択肢に入れた議論をする必要性を示した。また、厚労省だけでなく政府全体で検討する考えも示した。
 また、長勢甚遠法相は17日の閣議後会見で、生殖補助医療の進展に伴って民法の親子法制の見直しを求める声が出ていることに触れ、「どのような検討をするか官邸や厚生労働省と相談したい」と述べた。一方で法相は、代理出産を認めるかどうかといった医療法制が決まらない段階で民法を見直せば混乱を招くとの認識も示した。

児童虐待 夫の連れ子に傷害で 容疑の36歳逮捕 和歌山

 小学3年の二女(9)を虐待したとして、和歌山県警和歌山北署は17日、和歌山市北島、新聞販売店手伝い、竹村典子容疑者(36)を傷害容疑で逮捕。二女ら3姉妹は、02年10月に結婚した夫(31)の連れ子で、「ほこりを食べさせられた」「たばこの火を押し当てられた」と話しており、虐待を繰り返していた。
 調べでは、竹村容疑者は9月16日午後5時ごろ、二女に買い物を頼んだ際、別の商品を買ってきたことに腹を立て、自宅で二女の顔を平手で数回殴って転倒させ、額に約3週間のけがをさせた疑い。「安売りのシングルのトイレットペーパーを買うように言ったのにダブルを買ってきた」などと供述。
 通っていた小学校の校長が傷を不審に思い、県子ども・障害者相談センターに通報。同センターは同25日、二女と小学5年の姉(11)、小学2年の妹(7)から事情を聴いて3人とも保護した。
 同署などによると、竹村容疑者は傘やスリッパ、ハイヒールのかかとで殴ったり、たばこの火を体に押し付けたほか、掃除が不十分と、ほこりを食べさせたこともあった。

原爆症認定訴訟、都内の10人も提訴

 原爆症の認定申請を却下された被爆者らの集団訴訟で、東京都内の男女10人が17日、国に却下処分の取り消しと1人当たり300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 同地裁では第1次提訴の原告30人の裁判が今年7月に結審しており、今回は東京での第2次集団提訴となる。第2次提訴の原告は都内に住む66?90歳の男女10人。9人は広島、長崎の爆心地から1・2?4・5キロの地点で被爆し、残る1人は原爆投下後に長崎市で被爆した入市被爆者。


 同訴訟東京弁護団によると、集団訴訟は全国17地高裁で争われており、今回の提訴を含め、原告は21都道府県の200人となった。

読売記者の取材源秘匿問題 最高裁、米企業の抗告を棄却

 米国企業の日本法人が所得隠しをしたとする報道に絡み、読売新聞記者が民事裁判で取材源を明かさなかったことを巡り、最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は17日、米国企業側の特別抗告を棄却する決定をした。同様のNHK記者のケースで同小法廷が3日に特別抗告を棄却したことを踏まえ、「証言拒絶を認めた二審の判断は是認できる」と判断した。


 読売新聞側は、日本の裁判所に記者への尋問を依頼した米国裁判所が8月に日本での証拠収集を打ち切ったとして特別抗告の却下を申し立てていたが、米国からの正式な嘱託取り下げが届かなかったこともあり、決定に至った。


 一審・東京地裁は報道の自由を極めて限定的に解釈して取材源の秘匿は許されないとの立場をとった。しかし、二審・東京高裁は「取材源公表を余儀なくされれば、報道の自由が著しく阻害される」として、証言拒絶をすべて認めた。

分べん中意識不明 18病院が受け入れ拒否…出産…死亡

 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、分べん中に意識不明に陥った妊婦に対し、受け入れを打診された18病院が拒否し、妊婦は6時間後にようやく約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に収容された。男児を出産したが、妊婦は約1週間後に死亡した。遺族は「意識不明になってから長時間放置され、死亡につながった」と態勢の不備や病院の対応を批判。大淀病院側は「できるだけのことはやった」。

 妊婦は同県五条市に住んでいた高崎実香さん(32)。遺族や病院関係者によると、出産予定日を過ぎた妊娠41週の8月7日午前、大淀病院に入院した。8日午前0時ごろ、頭痛を訴えて約15分後に意識不明に陥った。

 産科担当医は急変から約1時間45分後、県立医科大学付属病院(橿原市)に受け入れを打診したが、「母体治療のベッドが満床」と断った。その後、当直医が午前2時半ごろ、もう一つの拠点施設である県立奈良病院(奈良市)に受け入れを要請。しかし新生児の集中治療病床の満床を理由に、応じなかった。

 医大病院は、当直医4人のうち2人が通常勤務をしながら大阪府を中心に電話で搬送先を探し、午前4時半ごろになって19カ所目の国立循環器病センターに決まった。高崎さんは同センターに午前6時ごろ到着。脳内出血と診断され、緊急手術と帝王切開を実施、男児を出産した。高崎さんは同月16日に死亡した。

 大淀病院はこれまでに2度、高崎さんの遺族に状況を説明した。産科担当医は入院後に陣痛促進剤を投与。容体急変の後、妊娠中毒症の妊婦が分べん中にけいれんを起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、けいれんを和らげる薬を投与した。この日当直の内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、CT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け入れなかった。

 緊急治療が必要な母子について、厚生労働省は来年度中に都道府県単位で総合周産期母子医療センターを指定するよう通知したが、奈良など8県が未整備で、母体の県外搬送が常態化。
 大淀病院の原育史院長は「脳内出血の疑いも検討したが、もし出血が判明してもうちでは対応しようがなく、診断と治療を対応可能な病院に依頼して、受け入れ連絡を待っていた」。

 一方、高崎さんの遺族は「大淀病院は、総合病院として脳外科を備えながら専門医に連絡すら取っていない。適切な処置ができていれば助かったはずだ」。

10/16/2006

捜査情報漏えい 札幌地裁元警官に有罪判決

 捜査情報の入ったCD?Rを札幌市中央区の大通公園周辺に放置するなどしたとして地方公務員法違反(秘密漏えい)の罪に問われた旭川市秋月1の1、元遠軽署巡査、池田将晴被告(26)に札幌地裁(川田宏一裁判官)は16日、懲役1年・執行猶予3年(求刑・懲役1年)を言い渡した。


 判決などによると、池田被告は昨年6月に道警を依願退職した後、在職中に入手した捜査情報が記録されたCD?Rを今年4?6月、大通公園に置いたり、報道機関や捜査対象者に送りつけた。


 判決は動機について、「署内で起きた窃盗事件の犯人と上司に疑われ、退職させられたことに報復しようとした」。池田被告は公判で「身に覚えのないことで疑われ、自分の言い分を全く聞いてもらえなかった」と主張した。

核保有論議 中川政調会長「私は核武装反対論者」と釈明

 自民党の中川昭一政調会長は16日、首相官邸で記者団に対し、核保有論議を提起した自らの発言について「私は核武装反対論者だ。非核三原則をいじるとはひと言も言っていない」と述べ、非核三原則堅持の立場を強調した。中川氏は15日のテレビ番組で「(日本に)核があることで、攻められないようにするために、その選択肢として核(兵器の保有)ということも議論としてある」などと発言していた。
 一方で、中川氏は「核を持たずに(北朝鮮のような国に対して)どういう対抗措置ができるか真剣に考えないといけない。その中で核の部分だけスパッと抜いて議論するだけでいいのか。議論することと非核三原則を守ることは決して矛盾しない」とも述べた。

倒産の沈静化傾向続く…06年度上半期

 東京商工リサーチが16日発表した06年度上半期(4?9月)の全国企業倒産状況(負債額1000万円以上)によると、倒産件数は前年同期比2.2%増の6531件で、負債総額は同12.7%減の2兆5304億9000万円。負債額はバブル景気崩壊後の91年度上半期以降で最少。件数は上半期としては4年ぶりに増えたが、同社は「小口の倒産が多く、全体としては、景気回復を背景に倒産の沈静化傾向が続いている」。

 規模別でみると、最も倒産件数が多かったのは資本金500万円未満の中小企業で同7.9%増の2728件だった。公正取引委員会の談合の取り締まり強化もあり、地方の中小建設会社の倒産が増えているという。一方、1億円以上の企業は同19%減の98件だった。負債額別では、10億円以上が同13%減の327件と上半期としては最近10年間で最少。1億円未満は同9.5%増の4326件で、過半数を占めた。

 倒産の形態別では、「破産」が同19.8%増の3605件と上半期では過去最高。同社は「地方銀行が不良債権処理を加速させ、私的整理を拒否するケースが相次いでいる」と分析している。
 9月の全国企業倒産状況は、件数が前年同月比4.4%増の1030件で、負債総額は同50.3%減の2928億2200万円。

10/15/2006

多重債務 クレジット会社立て替え契約で障害年金標的

宮城県に住む難病の50代男性が、障害年金を妻の宝飾品購入の返済にあてる立て替え払い契約を、大手クレジット会社から無断で結ばれていた。一家は多重債務に陥り、男性は「公序良俗に反する契約」と同社を訴えた。同社は契約を解消し、既に払われた代金も返還した。

 男性は10年前に筋ジストロフィーを発症し、両手足がまひして会社を辞めた。住宅ローンを抱え、2カ月に1度支給される障害年金約27万円で家族5人が暮らしていた。

 昨年9月、男性は妻から、通りがかった宝飾店の店員に指輪を強く勧められ、分割払いで買ってしまったと打ち明けられた。妻は「健康食品の販売を始めたがまだ収入がなく、夫の障害年金だけで暮らしている」と断ったが、店員に「障害年金を支払いに充てればクレジットの審査が通るから大丈夫」と2時間がかりで説得された。

 店はこの大手クレジット会社と加盟店契約を結んでいる。妻は店員の指示で契約申込書を書き、夫の勤務先の欄に「障害年金」、収入欄は空白のままにした。クレジット会社は妻に支払い能力があると判断し、手数料を含め72万円を60回で払う契約を結んだ。

 その後も妻は同じ店員に次々に購入を勧められ、契約は5点計200万円に上った。妻は宝飾品を一度も身につけることはなく、月々2万5000円の返済に悩んでうつ病になり、入院した。
 契約を知った男性は支払いの継続を拒否し、クレジット会社は妻に残額の返済を求めて提訴。男性は今年5月、同社に損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。6月、同社は男性の主張を受け入れ、代金を全額返還し契約を解消することで和解した。

 割賦販売法で、クレジット会社は顧客の収入などを審査し、支払い能力を超える契約を結ばぬよう定めている。男性の代理人を務める小野寺友宏弁護士は「障害年金を当て込み、その額を聞いてもいない。まともな審査をしたとは考えられない」と話す。一方、この大手は「顧客の収入などを総合的に判断したうえで契約しており、障害年金しかないからといって審査を通さないわけではない。ただ今回の場合、契約者の状況を踏まえ、キャンセルが妥当と判断した」としている。

福岡いじめ自殺 発端は学年主任「いじめ発言繰り返し」

 福岡県筑前町の町立三輪中2年の男子生徒(13)がいじめを苦に自殺した問題で、合谷(ごうや)智校長、中原敏隆町教育長、学年主任らが15日、男子生徒宅を訪れ、両親と面会した。学校側は、男子生徒の1年時の担任教諭を務めた学年主任(現在)がいじめ発言を繰り返し、それが発端となって他の生徒にまでいじめ行動が広がった。

 両親と学校側の面会は報道陣に公開された。両親らは、自殺直後に学校が全生徒から取ったアンケートと、両親が親しかった生徒2人に書いてもらったメモを基に「アンケートで一部生徒が学年主任によるいじめを記述している」と指摘した。

 さらに、母親が男子生徒のインターネット利用について教諭に相談した内容を他の生徒たちに明かして、これに絡めてバカにしたあだ名をつけ、いじめを誘発していたことも指摘した。

10/14/2006

職務質問や追跡をうけ PTSD、中3女子が佐賀県を提訴 

 人けのない夜道で私服警察官に職務質問や追跡を受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、佐賀県伊万里市の中学3年生の女子生徒(15)が、同県に約560万円の損害賠償を求め佐賀地裁武雄支部に提訴したことが分かった。生徒は職務質問の翌日から不登校が続き、治療中という。
 訴状によると、04年11月20日午後7時ごろ、当時、中学1年生だった生徒は、同市の公民館での習字教室から自転車で帰宅途中、自家用車に乗った近くの駐在所勤務の男性巡査部長(52)から呼び止められた。巡査部長に怒鳴られたことから生徒は変質者だと思い、自転車で逃げたが追いかけられた。その後生徒はショックで1人で外出できなくなり、PTSDと診断された。
 生徒側は巡査部長が警察手帳などで身分を明らかにしないなど職務質問は違法だったなどと主張。県側は答弁書で「私服での職務質問は一般的で、身分を明かして停止を求めたにもかかわらず、振り切った人物は追跡せざるを得なかった」と反論している。

50歳以上に年金給付見込み額通知 来年度から導入へ

 社会保険庁は14日、08年4月から始める予定の年金保険料納付実績を通知するシステム「ポイント制」を一部改め、50歳以上の人には将来の年金給付見込みを実額で示す方針を固めた。見込み額を知らせる「ねんきん定期便」の早期導入を主張する安倍晋三首相の意向。07年度の早期にスタートさせる考え。

 ただ明快に分かるのは、あくまで「現時点で獲得した年金額」。将来の見込み額を知りたければ、今後も同様にポイントを稼ぐことを前提に、自分で試算する必要がある。
 対象50歳以上は、退職時期が近く、予想給付額が外れるケースは少ないと判断した。50歳未満の人にはポイントで通知

10/13/2006

政務調査費問題 自民名古屋市議団が分裂へ

 自民党名古屋市議団が入院中の市議に政務調査費を支給していた問題で、同団所属議員21人のうち9人前後が離団。同問題への対応など現執行部への不満が背景にあり、13日の同団議員総会で正式表明する見通し。昨年4月に発覚した政調費問題は、団分裂に発展する局面を迎えた。

 入院中の議員への政調費支給は、団内の強い反対でも、現執行部の一部の市議が決めた。西村健二元団長(離団済み)の政調費問題でも、決裂していた。
 
◇政調費問題の経緯
 05年4月、西村氏が団長在任中に架空領収書で政調費250万円を引き出した。6月、業務上横領容疑で愛知県警に被害届を提出した。西村氏は名誉を傷つけられたとして市議団を提訴。名古屋市民オンブズマンも同団の政調費の一部の返還を求め提訴した。今年8月、入院中の市議に政調費を支給していたことも判明した。

企業84%が高齢者雇用 改正法に対応

 60歳定年後の雇用確保措置を事業主に義務づけた改正高齢者雇用安定法が今年4月施行を受け、厚生労働省は13日、従業員51人以上の事業所8万1382社の対応状況をまとめ、84%の企業で実施。一方、未実施の企業も約1万3000社あり、同省は年内をめどに完全実施を働きかける。

 調査は6月1日時点で実施。従業員301人以上の大企業では94%が、51から300人の中小企業では82%が、(1)定年の廃止(2)定年の引き上げ(3)継続雇用制度の導入のいずれかの対応を行っていた。

 厚労省は「原則希望者全員」としていたが、希望者全員とした企業は約2割。他は労使協定等の基準を設けた。

 また、大企業の大半は(3)を導入。中小企業の実施率は低かったが、継続雇用で「希望者全員」を対象としたのは44%で大企業(22%)を大きく上回った。

 法改正は、50人未満の事業所の動向も調べるとともに、未実施の企業への個別指導を強めていく。

ノーベル平和賞にユヌス氏 背景に農村の深刻な貧困

 ユヌス氏のノーベル平和賞受賞の背景には、母国バングラデシュの農村地域の深刻な貧困がある。

ガンジス、ブラマプトラ両大河が運ぶ肥よくな土壌に恵まれたバングラデシュは、別名「黄金のベンガル」と呼ばれるが、土地を持たない小作農は極めて貧しい暮らしを強いられてきた。グラミン銀行は、特に農家の女性を対象に、農民の組織化促進や新たな事業への取り組みなど、総合的な貧困改善を支援してきた。


 融資を受けるには、農民は5人程度のグループを作り申請しなければならない。使い道は家畜の購入や井戸の掘削などさまざま。グループは融資の規則や銀行の考え方などの教育を受け、試験をパスすれば融資が行われる。当初は融資の返済が滞るとの不安が強かったが、農民に銀行のシステムを理解し自ら運営に関与させることで、商業銀行以上の返済率を達成した。


 96年にはグラミン銀行の支援で設立された携帯電話会社「グラミン・フォン」が事業を開始。同社はほとんど電話が普及していない農村で、小作農の女性に携帯電話を販売している。


 バングラデシュの国土面積は日本の約4割で、約1億4100万人が住む。世界保健機関(WHO)によると、人口は世界で8番目に多い。しかし、ユニセフ東京事務所(東京都)によると、5歳未満児の死亡率は04年で1000人あたり77人と高い。

10/12/2006

オンライン詐欺 学習塾社員が2億5500万円引き出す

 学習塾経営の「修学社」(東京都渋谷区、現エス・サイエンス)の元社員がオンラインシステムを利用して同社から2億5500万円を不正に引き出した。警視庁捜査2課と原宿署は12日、埼玉県鷲宮町中妻、同社元中高等部長、今井宏(46)▽ら7容疑者を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕。

 今井容疑者らは昨年8月上旬、修学社の事務所で、OSの端末を操作して同社の預金口座から同社と無関係の口座に2億5500万円送金、全額引き出した疑い。

 修学社は昨年8月に被害を公表、警視庁に被害届を出した。その際「パソコンを操作できる社員は2人だけで社員の関与は考えられない」と内部関与を否定したが、このうちの一人が今井容疑者。
 修学社は今年3月、不動産会社「エス・サイエンス」と合併。エス社は社員関与を否定に「事情が分からない中で、外部犯行の可能性を指摘しただけ」。

和歌山談合  大阪地検特捜部 県最高幹部ら逮捕へ 

 和歌山県の最高幹部の一人(60)が県発注のトンネル工事入札を巡り、大阪府河内長野市のゴルフ場経営会社元社長(55)の口利き受注などの談合に、大阪地検特捜部は12日に、幹部やゼネコンの担当者ら数人を競売入札妨害容疑で逮捕。

元社長が落札業者から多額の謝礼を受け取った、特捜部は「官製談合」の全容解明とともに不透明な金銭の流れの追及に全力を挙げる。


 調べでは、04年11月10日に実施されたトンネル工事入札4件のうち2件で、ゴルフ場元社長が県側への口利きの見返りに、受注に成功した共同企業体幹事社の準大手ゼネコン「ハザマ」と同「東急建設」から、それぞれ5900万円と6000万円を現金で受け取った。


 元社長は、木村良樹・和歌山県知事が大阪府総務部長時代から親密関係にあり、選挙の支援などを通じて影響力を強めた。
 県発注の公共工事について、元社長が県最高幹部ら県側に口利きする見返りに多額の謝礼を受け取るシステムが構築されたのは、木村知事の初当選(00年9月)後とみられている。01、02年の土木・建築工事でも、落札したゼネコンが数千万円の謝礼を支払った。

防衛施設庁入札 談合裏付け誤記が一致…丸写しか

 防衛施設庁が04、05年度に発注した土木建設工事の入札490件中131件の入札で、「工事費内訳書」にある単価欄の誤記がそれぞれ一致していたことが会計検査院の調べで分かった。談合協力業者が「本命業者」の内訳書を丸写ししていた。検査院は内訳書の精査が談合の探知につながるモデルケースになるとみて、今年度、政府に提出する決算検査報告に結果を明記する方針。

 内訳書は、ダンピングや談合を防ぐため、01年3月の閣議決定で、公共工事の入札の際に提出が義務付けられた。「事前に談合で落札業者が決まっていれば、落札しない入札参加業者が他の業者の内訳書を丸写しするケースがある」(公正取引委員会幹部)ため、国土交通省などは内訳書の精査を「談合情報対応マニュアル」で定めている。

 防衛施設庁発注工事を巡っては、官製談合を主導していた元技術審議官ら3人が競売入札妨害罪で東京地検に逮捕・起訴されたほか、公取委も官製談合防止法の適用を視野に調査中。事件を受け検査院が各社で同じ誤記がある内訳書を発見。

 ある入札では、8社中5社が単価項目の部分で、消火ポンプを「消化ポンプ」と誤って記載。塗装を「装置」が10社中5社以上あった。また、個を「組」、下吹型ユニットヒータを「横吹型」とするケースなどが発覚した。

10/11/2006

東京大気汚染訴訟 和解に向け協議始まる 患者ら要望説明

 自動車の排ガスで健康被害を受けたとして東京都内のぜんそく患者らが賠償を求めた「東京大気汚染訴訟」の控訴審で11日、和解へ向けた協議が始まった。原告・弁護団は同日、和解案への要望事項として▽謝罪▽賠償▽医療費助成など被害者救済制度の確立??などの5項目を東京高裁(原田敏章裁判長)に説明。高裁は今後、被告側の国や東京都、自動車メーカー7社からも意向聴取する。

 高裁は先月28日の結審の際、和解による解決を探る意向を示し、この日に原告側の意見を聞く。

NHK受信料:督促表明から5日、駆け込み3270件 新規契約と再開、一気に4倍

NHKは10日、支払い督促の実施を表明した5日から9日までの5日間で、受信料不払いや未契約だった3270件の世帯・事業所が支払いを申し出たと発表した。強硬姿勢に視聴者側が反応したとみられ、表明前の5日間に比べ4倍近い伸びを示した。

 督促実施表明後の5日間で、全国の営業窓口に電話やインターネットで申し出のあった受信料の新規契約は1810件、支払い再開は1460件。表明前5日間の新規契約は620件、支払い再開は230件だった。

 支払い督促の実施は、橋本元一会長が5日の記者会見で正式表明。第1弾の対象として、東京23区内の不払い世帯・事業所48件に最後通告文書を送り、今月中に支払いがない場合は手続きに踏み切る。

 石原邦夫経営委員長(東京海上日動火災保険社長)は10日、「支払い再開がかなり増えたことは評価したい」としながらも、「前富山放送局長による万引き事件の反響はこれからで、コンプライアンス(法令順守)を進めていくことが必要だ」と語った。

 会見した市民団体「NHK受信料支払い停止運動の会」の醍醐聡共同代表(東京大大学院教授)は「(最後通告を受けた)48件全部が払ってもNHKの財政には影響が少なく、見せしめ的に利用しているとしか思えない」と批判。

性同一性障害 「解雇は無効」福祉男性職員が提訴

体と心の性が一致しない性同一性障害(GID)を理由に解雇されたとして、社会福祉法人「大阪自彊(じきょう)館」(大阪市西成区)の契約職員だった男性(50)が11日、同法人に解雇無効の確認と慰謝料200万円などを求める訴訟を大阪地裁に起こした。代理人弁護士によると、GIDを巡り解雇無効を求める訴訟は全国的にもほとんど例がない。

 訴状などによると、男性は03年1月ごろから女性として生活。04年2月に医療機関でGIDと診断された。同年9月に同法人側の面接を受け、GIDであると明かしたうえで、野宿生活者巡回相談員として採用。

 しかし05年6月、上司が化粧と女子トイレの使用を禁止し、「野宿者からべっ視され、困る」と非難。同僚も「男か女かはっきりさせてほしい」「(野宿者との)面接の場を外してほしい」などと求めるようになった。そして今年3月、別の上司が理由も説明しないまま、半年ごとの契約を更新しないと通告した。

 法人側は、男性が加入した労働組合との団体交渉で「面接件数が少ないから」などと解雇理由を説明。男性側は「当初は明確な説明がなく、解雇理由はGIDしかなく違法だ」。

 記者会見した男性は「上司や同僚から同じ人間として扱ってもらえなかった。(少数者を)排除すべきでない職場で排除され、行き場のない怒りを感じる」。

 GIDを抱える人の解雇を巡っては、東京地裁が02年6月、女装での出勤を理由に出版社を懲戒解雇された男性の地位保全の仮処分申し立てを認め、解雇を無効とする決定。

10/10/2006

奈良女児殺害 小林被告、控訴取り下げで死刑確定へ 

 04年11月、奈良市で小学1年の有山楓(かえで)(当時7歳)が誘拐、殺害された事件で、わいせつ目的誘拐、殺人など八つの罪に問われ、奈良地裁判決(9月26日)で死刑を言い渡された元新聞販売所従業員、小林薫被告(37)が10日、控訴を取り下げた。

検察側の控訴期限となる11日午前0時で、事件発生から1年11カ月を経て死刑判決が確定する。
 弁護団は控訴していたが、小林被告はこの日午前、接見した高野嘉雄弁護士に取り下げの意向を伝え、拘置所に文書で提出した。小林被告は「更生の自信がない」「早く死刑にしてほしい」と公判などで発言していた。高野弁護士は「事件の真相が解明されず無念の思い」と話した。

 大阪教育大付属池田小での児童殺傷事件(01年)で宅間守・元死刑囚(04年執行)も1審の翌月に本人が控訴を取り下げ、死刑判決が確定した。

向井さん代理出産 東京・品川区長が抗告

 タレントの向井亜紀さん(41)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が米国女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児(2)の出生届を受理するよう命じた東京高裁決定(9月29日)に対し、東京都品川区長は10日、決定を不服として高裁に許可抗告の手続きを取った。高裁が抗告を許可すれば、最高裁で審理される。

 国は「出産した女性を母親とする」との法解釈に基づき、代理出産で生まれた子の出生届を受理しない立場を取り、区に抗告するよう求めていた。会見した向井さん夫妻は「子供の福祉を優先して、子供が幸せになれる判断を最高裁に望みたい」と訴えた。

 許可抗告は、通常は不服申し立てが出来ない高裁決定について最高裁での審理を求める例外的な手続き。判例違反や法令解釈上の重要な問題を含むと高裁が認めれば、抗告許可の決定を出す。

 双子の男児は体外受精により米国人の代理母が03年11月に出産。出生届を受理されなかった向井さん夫妻は家事審判を申し立て、東京家裁は昨年11月に却下したが、夫妻側の抗告を受けた高裁は「夫妻に養育されることが最も双子の福祉にかなう」と判断。

アスベスト禍:原発協力会社従業員 中皮腫死亡で労災申請

 中部電力は10日、浜岡原発(静岡県御前崎市)で働いた協力会社従業員1人がアスベスト(石綿)による中皮腫のため死亡し、遺族が労災を申請していると発表した。名前や年齢、就労期間、場所、死亡日時などは「個人情報に関する事柄」として明らかにしていない。
 中部電力によると、同原発では発電設備の保温材などでアスベストを使用している。定期点検時の補修などの際、作業員が吸い込んだ可能性が考えられるが、同社は「因果関係は不明」と説明している。

臓器提供:患者団体審査機関設置を厚生労働省に申し入れ

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)での腎移植手術を巡る臓器売買事件を受け、患者団体の全国腎臓病協議会(油井清治会長、会員数約10万5000人)は10日、厚生労働省に対し、臓器提供者の確認と移植実施の正否を判断する審査機関の必置などを盛り込んだ要望書を提出。

 要望は、臓器移植法に基づいて行われる脳死と心停止後の臓器移植と違い、今回の事件のように健康な人から臓器提供を受ける生体間移植は法的規制が緩いと指摘。移植に関する審査機関の設置の必要性を強調するとともに、再発防止に向け、今回の事件に関する情報の公開を求めた。

取材源秘匿を認定 ? 最高裁判断

 報道をめぐり、NHK記者が取材源にかかわる証言を拒んだことの当否が争われた裁判の決定で、最高裁第三小法廷は「記者は原則として取材源に関する証言を拒絶することができる」という初の判断を示した。

 NHK、共同通信、読売新聞などのメディアは、米国食品会社の日本法人が巨額の所得を隠していた、などと報道した。 これに対し、食品会社は「米政府が日本の国税当局に提供した情報が報道機関に漏れた」として、米政府に対し損害賠償を求めて提訴。

日米の司法共助に基づき、記者らの嘱託証人尋問が求められ、記者らは取材源にかかわる証言を拒絶した。 拒絶の当否をめぐる一連の裁判では東京、新潟両地裁の決定が計三件、東京高裁の決定が二件出た。このうち読売新聞記者の証言拒絶をめぐる今年三月の東京地裁決定を除き、「取材源秘匿は正当」とされた。

決定は、取材源について「みだりに開示されると報道関係者との信頼関係が損なわれ、自由な取材活動が妨げられる」として、民事訴訟法が例外的に証言拒絶を認める「職業の秘密」に当たると判断した。 その上で「報道・取材の自由は十分尊重に値し、取材源の秘密は重要な社会的価値を持つ」として秘匿を認めた。   

読売新聞記者での東京地裁の決定。取材源が守秘義務のある国税庁職員の場合、取材源についての証言拒否を認めれば犯罪行為の隠ぺいに加担するに等しいとして、「取材への悪影響は法的保護に値せず、記者の証言拒否は理由がない」と断じた。

ただ、決定は取材源秘匿を認める場合の条件もつけた。公共の利益に関する報道である取材の手段や方法が刑罰法令に触れない民事訴訟が社会的に重大で、取材源の秘密の社会的価値を考慮してもなお証言が必要不可欠といった事情がない。  この条件は、よほどのことがない限りクリアできるはずだ。が、拡大解釈される余地がないわけではなく、わずかにあいまいさも残している。  

悪質な拡大解釈を許さないためにも、メディアの側は国民の要請と信頼に応えていく覚悟を再確認しておきたい。

10/08/2006

生命倫理

「生命倫理」について考えさせられる出来事が相次ぎました。
一つはタレントの向井亜紀さんが米国の女性に代理出産を依頼し生まれた子供の出生届が不受理(家庭裁棄却)となっていた問題で、東京高裁が出生届を受理するよう、品川区長に命じました。

現在、わが国では代理母契約について明確なルール・法律がありません。
もう一つは、愛媛県で臓器の提供者に金品を渡していたとして患者と妻が臓器移植法違反で逮捕されました。
同法は臓器の売買を禁じていますが、事件の背景には深刻なドナー不足があり、海外まで臓器を「買い」に行く患者も多いとみられています。
(たかじんのそこまで言って委員会)

日中首脳会談 と 北朝鮮の核実験実施声明

 安倍晋三首相は8日午後、中国の胡錦濤国家主席と就任後初めて会談した。

小泉前首相の靖国参拝で冷却化した関係の改善を呼び掛け、国際的課題で日中の共通利益を追求する「戦略的互恵関係」の構築を提唱。

歴史認識では、過去の日本の行為が誤りだと認める模様。

北朝鮮の核実験問題でも連携を確認する。

  首相は自らの靖国参拝に態度表明をしない姿勢を維持しながら関係改善へ向けた意欲を伝える方針。両首脳は良好な日中関係が世界や地域の平和と安定にも重要との認識で合意する見通し。


 北朝鮮の核実験実施声明をめぐり、両首脳は実験阻止のため、関係国の連携強化の重要性を確認。

首相は北朝鮮に大きな影響力を持つ中国が働き掛けを強めることに期待を表明する。
 首相は胡主席に早期訪日を招請するとともに、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際の再会談も提案する見通し。
 日中関係ではエネルギー、環境分野の協力関係を強化する方針で一致。

また、国交正常化35周年を迎える来年を「日中文化・スポーツ交流年」とし、青少年を中心にさまざまな交流活動を行うことで合意する。(北京・共同)

10/07/2006

アザデガン油田:日本側権益10%に 大幅引き下げで合意

 難航していたイランのアザデガン油田の開発交渉。日本側の国際石油開発は6日、保有する75%の権益のうち65%をイラン側に譲渡し、権益比率を10%に引き下げる。

開発の主導権は日本からイランに移る。自主開発資源の拡大を掲げた日本のエネルギー政策は打撃を受ける。
 交渉で日本側は、イランの核開発問題と、開発地域の地雷除去が終わらないと始められないと主張。早期の開発を求めるイラン側と対立した。

総事業費は約20億ドルで、契約から8年以内に日本の輸入量の6%に当たる日量26万バレルを生産する計画。

ハンガリー:反政府デモに8万人 

 ハンガリーの首都ブダペストの国会前で6日、
1日の地方選で大勝した野党第1党の右派、青年民主連盟が呼び掛けた反政府デモが行われ、ハンガリー通信によると約8万人が集まった。
先月17日以来続く反政府デモで最大規模。
 ジュルチャーニ首相は6日、
連立与党が過半数を占める国会での信任投票で信任を受けたことで問題の沈静化を狙ったが、
青年民主連盟のオルバン議長は集会で、首相退陣まで連日集会を開く方針を示した。
(ブダペスト共同)

労働局不正経理:愛知、静岡などでも 総額は70億円超か

 広島、兵庫で刑事事件化した労働局の不正経理問題で、新たに17労働局で裏金作りなど総額約3億円の「不正経理」を行っていたことが会計検査院の調べで分かった。

 このほか架空伝票など総額40億円以上の不適切な処理を行っていた。
 昨年指摘した25局、約27億円も含め、総額は47労働局で70億円を超える。 (99から04年度)
 検査院は、今年11月に政府へ提出する05年度決算検査報告で指摘する方針。
 
 内容一例   カラ雇用 カラ出張 カラ残業 → 内部での懇親会 私的流用  (毎日新聞)

10/05/2006

北海道いじめ自殺 滝川市教育部長遺書拝読を拒否 

 北海道滝川市の小学校の教室で昨年9月、6年生の女児(当時12歳)が首を吊り、死亡した問題で、遺族の男性(58)が市教委の辰巳信男教育部長に、いじめを疑わせる遺書を見せようとした際、断っていたことが分かった。

 遺族は「『遺書ではない。文書だ。見たくない』と突っぱねられた」と訴える。辰巳部長は受け取らなかった事実は認めたが、発言の内容は「『後日複数で見せていただきたい』と伝えた」としている。

10/04/2006

北朝鮮核実験予告

北朝鮮外交官は3日、北朝鮮の核実験予告声明について「政治的性格を持つ声明であり、軍事的なものではない」と述べた。さらに「核実験の具体的日程は示していない」と強調し、北朝鮮が核実験を急いでいないとも受け取れる。
 北朝鮮外交官が、声明の軍事性よりも政治性を重視した発言をしたのは、北朝鮮がしばらく米国などの反応を見極める。

イオン:ダイエーと資本・業務提携 

ダイエーの発行済み株式の44.6%を持つ丸紅が今年度末までに、イオンに10%程度を売却する。

丸紅は引き続き約30%を保有する筆頭株主となり、イオンとともにダイエー再建に努める。イオンとダイエーは仕入れや独自商品開発などで協力。イオンはダイエーが保有する食品スーパー大手「マルエツ」株の取得を強く求めており、丸紅側と協議を詰めている。

 ただ、ダイエーは現状で約3500億円の有利子負債を抱。マルエツ株ほか、ダイエーの流通系カード大手「オーエムシーカード」株や専門店ビル運営会社「OPA(オーパ)」の売却も。

楽天:社長名誉棄損で新潮提訴

「水面下で捜査が進む『楽天』三木谷社長のXデー」

と報じた「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、4日、新潮社と早川清編集・発行人らに謝罪広告の掲載と計12億6861万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 週刊新潮9月7日号に、楽天の三木谷社長がインサイダー取引などを行い、三木谷社長や楽天証券の国重惇史社長(当時)が東京地検特捜部の事情聴取を受けているかのような記事を掲載。

10/03/2006

臓器移植or臓器売買

 愛媛県宇和島市宇和島徳洲会病院の生体腎臓移植手術を巡る臓器売買事件で、同病院「事件を反省し、二度と繰り返さないため」にドナー(臓器提供者)が親族の場合も倫理委員会の承認を義務付ける方針。

 日本移植学会のガイドラインは倫理委の承認について、親族以外の場合にだけだが、本人確認手続きの欠如が事件の背景だという認識から、より厳格化。

ちなみに  臓器移植法違反容疑で 山下鈴夫(59)、松下知子(59) 両容疑者が逮捕。

Q臓器売買 駄目な理由とは? 利点はゼロなのでしょうか?

 臓器移植 なぜ良いのでしょうか?

奈良県警 元機動捜査隊長が逮捕実績水増し

 奈良県警交通指導課長の警視(49)が、機動捜査隊長だった05年度の逮捕実績を水増。
県警監察課によると、所轄署と合同で逮捕した容疑者に関し、署が後日の取り調べで再逮捕した余罪についても隊の実績にカウント。
 逮捕人数は、04年度の約300人から約2倍に。県警は処分を検討。
 部署ごとの逮捕人数のデータは、公表される犯罪統計の数字とは別で、県警の内部資料として人事評価の参考に。
内部から「逮捕件数が多すぎる」と指摘。

Q奈良県警交通指導課長の警視(49) 実名が欲しいです。
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スケート連盟 不正経理事件

 日本スケート連盟の不正経理事件で  会長、久永勝一郎(75) 専務理事、松本充雄(69) 横浜市、「フロントライン」役員、中林篤治(56)  背任容疑で逮捕。

 02年3月に長野市で開かれた世界フィギュアスケート選手権大会の運営に関わった「フロントライン」に委託代金を水増し請求させて、580万円の損害を与えた疑い。
 98?04年の6年間で、総額約4000万円の損害。水増し分はキックバック。帳簿外の裏金に。

Q.「フロントライン」とはどんな会社なのでしょうか?
A.イベント会社だそうです。(NEWS23)

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