時事記録 就職活動のために

10/19/2006

産経抄

 今月4日の小欄で、いじめなんかで、「もう死ぬな」と呼びかけたのもむなしい。福岡県筑前町でも、中学2年の男子生徒が自らの命を絶った。
 ▼自殺は報道をきっかけにして、連鎖することがあるから、コラムでの取り扱いも慎重であるべきだ、とは思う。それでも生徒の通う中学のデタラメぶりを聞いたら書かずにはいられない。
 ▼「君は偽善者にもなれない偽善者だ」。生徒が1年のとき、床に落ちた級友の消しゴムを拾ってあげると、担任がこんな言葉を浴びせた。「うそつき」とも。現在は学年主任を務めるこの男性教諭(47)は、生徒の父親から「なぜ息子をいじめたのか」と問いつめられて、「からかいやすかったから」と答えた。教諭が主導するいじめに、一人の生徒が立ち向かえるはずがない。
 ▼「一生をかけて償います」とは今さら白々しい。そもそも、こんな人物が教壇に立っていられること自体が、不思議で仕方がない。校長は教諭の暴言を知らなかったのか。それとも、見て見ぬふりか。会見の様子を見る限り、真相究明に取り組むというより、責任回避に汲々(きゅうきゅう)としているようだ。
 ▼きのうの朝のワイドショーで、勝谷誠彦さんが「いじめ」という言葉は、強姦(ごうかん)をいたずら、と言い換えるのと同じ欺瞞(ぎまん)だ、と怒りをあらわにしていた。教諭と同じ暴言を、警察官が容疑者に吐いたら、立派な犯罪になる、との指摘も。同感だ。教員の地位は守られすぎている。
 ▼安倍晋三首相が、あえて教育改革といわずに、「再生」という言葉を使った意味がよくわかる。それほど教育の荒廃が進んでいる。教育再生会議の課題はいろいろあるだろうが、まずは教員の免許更新制度の導入を急いで、一日も早くダメ教師を追放してほしい。