時事記録 就職活動のために

11/30/2006

厚生年金:パート労働者へ適用拡大 業界団体が反対決議文

 スーパーや外食など流通・サービス関連の17業界団体は29日、政府・与党が08年度から予定しているパート労働者への厚生年金適用拡大に対し、「断固反対」とする決議文を発表した。17団体の加盟企業が雇用しているパート労働者は約650万人。厚生年金は労使折半で保険料を負担するため収益が圧迫され、「人件費の割合が高い流通・サービス産業全体の経営危機を招く。」

 大手スーパーなどが加盟する日本チェーンストア協会や日本百貨店協会など3団体は同日、東京都内で会見し、企業が収益圧迫を警戒し「雇用が抑制されかねない。」

 「週の労働時間30時間以上」とする現行の対象基準を、「20時間以上」に引き下げた場合、3団体の加盟社のパート約90万人のうち半数程度が新たに厚生年金に加入を迫られ、会社側に350億円以上の負担増。チェーン協の場合では、加盟社の最終(当期)利益の4分の1が消える。

合計特殊出生率:1.26 厚労省が統計確定値で

厚生労働省は30日、05年人口動態統計の確定値を発表し、6月の速報値段階で1.25と公表していた合計特殊出生率を1.26に修正した。それでも過去最低だった03,04年の1.29を下回る。

 国勢調査の結果、実人口が総務省の推計人口を下回ったのが修正要因。例年は速報値、確定値とも同出生率を算出する分母(15?49歳の女性人口)に推計人口を使うが、5年に一度の国勢調査年は速報値を推計人口で計算する一方、確定値には国勢調査人口を活用する。分子の出生数は変わらないのに分母は変動するため、同出生率は修正されがちだ。

住基ネット:「プライバシー侵害」と離脱認める 大阪高裁

 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)はプライバシー権を侵害し憲法違反だとして、大阪府内5市の住民計16人が各市に1人5万円の慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。竹中省吾裁判長は「住基ネット制度には個人情報保護対策の点で無視できない欠陥があり、拒否する人への運用はプライバシー権を著しく侵害する」と違憲判断を示し、守口、吹田、箕面の3市に原告住民4人の住民票コードを削除するよう命じた。住基ネットを巡り、個人の離脱を認めた司法判断は2例目。高裁判決では初めてで、制度全体の見直しを国などに迫るものとなった。慰謝料請求については、1審・大阪地裁判決を支持、原告全員の控訴を棄却した。

 大阪府内の8市の住民56人が02年11月、慰謝料請求訴訟を起こしたが、大阪地裁はすべて棄却。3市と豊中、八尾両市の計16人が控訴し、うち4人が控訴審で新たに住民票コードの削除を求めていた。

 竹中裁判長は氏名などの本人確認情報や住民票コードについて「取り扱いによっては、個人の期待に反して私生活上の自由を脅かす危険を生じることがあり、プライバシー情報として自己情報コントロール権の対象となる」と判断した。

 住基ネットの制度に関しては、(1)自治体が独自に他の機関に情報提供することができ、本人がその目的を知ることが困難(2)第三者の利用や行政機関の目的外利用を禁じる制度的担保が十分ではない(3)少数の行政機関が個別に保有する個人情報の範囲が広がり、情報が結合・集積されて利用される可能性がある??などと問題点を指摘した。

 その上で「行政機関で集積された情報が(住民票コードを使って)データマッチングや名寄せされ、住民の多くのプライバシー情報が本人の予期しない時に、予期しない範囲で行政機関に保有され、利用される具体的な危険がある」と判断。そして「同意しない原告に対する住基ネットの運用はプライバシー権を著しく侵害し、憲法13条に違反する」と結論付けた。

 原告側によると、住基ネットを巡る訴訟は、国などを相手取って全国の地高裁で係争中。金沢地裁が昨年5月、住民票コードを含む本人確認情報の削除を命じる判決を出し、その控訴審判決が12月11日、名古屋高裁金沢支部で言い渡される。

11/28/2006

エンジェル税制:対ベンチャー課税軽減措置、2年間延長へ

 政府は、ベンチャー企業向け投資の促進を目的とする「エンジェル税制」について、利便性を高めた上で、時限措置部分を2年間延長する方針を明らかにした。経済界から「適用条件が厳しく、利用しにくい」などとする批判が出ており、株式譲渡益が発生した場合の課税軽減措置の延長などの措置を取る。

 エンジェル税制は、投資した株式の売買で損失が出た場合は、最大4年間にわたって他の株式譲渡益から損失額を差し引いて課税を圧縮できるほか、譲渡益の課税対象額も半分に圧縮して課税を軽減できる。97年度に導入された後、制度は拡充されたが、譲渡益の課税軽減措置は今年度末で期限が切れるため、2年間延長する。

出張旅費:148万円払い過ぎの可能性 経産省

 経済産業省は27日、原子力安全・保安院などで今年度に出張旅費を計148万円払い過ぎていた可能性が高い、と発表した。単身赴任中の職員が出張で上京した際、東京都内の自宅に泊まったのに宿泊費を払ったり、出張期間前の週末に上京した際に交通費を払ったケースがあった。いずれも国家公務員の旅費規程を定めた旅費法によると、旅費は支給されない。同省は書類が残っている02年度まで調査し、旅費を受け取り過ぎていた職員には返還させる。

 11月上旬、外部からの指摘で調べたところ(1)全国21カ所の原子力保安検査官事務所の31人で58件、計144万円(2)地方経済産業局の2人で3件、計4万円??の旅費を払い過ぎた可能性が判明。同省は「規程の周知不足や審査ミスが原因」と説明している。

近未来通信:業務改善命令、刑事告発を検討 総務省

 近未来通信に対し、電気通信事業法に基づいて立ち入り検査をした総務省は28日、大橋秀行データ通信課長が会見し、「行政指導が必要であれば総合的に考えていく。刑事告発の準備はしていないが、可能性は排除しない」と述べ、業務改善命令や刑事告発を検討する考えを示した。

 さらに、電話の契約者数など同社からの報告内容を週内にも公表する方針を明らかにした。

 立ち入り検査は27日正午過ぎから28日未明まで行い、06年7月期の売上高と通信ネットワークの設備構成などを中心に報告を求めた。本社やデータセンターを検査した結果、現時点で通信サービスは提供されており、大きなトラブルはないという。ただし、資金繰りの面などから同社の通信サービスが停止される可能性について大橋課長は、「近い将来どうなるかの判断はまだできていない。」

民主党:高校までを義務教育化 基本政策に掲げる

 民主党が策定している基本政策の原案全文が28日、明らかになった。8分野の政策項目のうち教育を冒頭に据え、高校の義務教育化など「人づくり」重視を打ち出した。第2項目の社会保障では国民年金も含む年金の一元化を掲げるとともに、消費税率5%を維持したまま福祉目的税化し、すべてを年金財源に充てるとしている。外交・安全保障分野では集団的自衛権の行使を一部容認した。同党は原案を同日午後公表し、全所属議員の政策懇談会で議論したうえで年内に決定する方針。

 原案は(1)教育(2)社会保障(3)外交・安全保障(4)農業(5)環境(6)経済・中小企業(7)分権・自治(8)政治・行政改革??で構成。

 教育分野では国が「義務教育での財政責任と学ぶ権利の保障について最終責任を負う」としたうえで、教育委員会を廃止し、「学習内容や具体的な学校運営」は市町村の役割と規定した。高校の義務教育化に加え、5歳児の就学前教育の無償化を掲げ、保護者負担軽減を打ち出した。

 このほか、格差対策として雇用法制の基本を終身雇用とする方針を明記した。

11/26/2006

ジャーナリズムに危機感

 ニュースや情報を得る手段が多様化する現在、ジャーナリズムの分野で、放送とインターネットは媒体として、その役割を果たしているのか。テレビとネットそれぞれの世界で、“硬派路線”を歩む人たちによるパネルディスカッションがあった。新旧メディアの可能性や課題について活発な議論が繰り広げられ、特に「視聴率至上主義」などと批判も多いテレビには、一様に危機感を募らせ、奮起を強く求めた。

 パネルディスカッションは、千葉市の幕張メッセで開催された「国際放送機器展」(15?17日、電子情報技術産業協会主催)の一環。「放送とインターネット?ジャーナリズムの未来を担うものは誰か」と銘打ち、放送とネットで、報道やドキュメンタリーの経験豊かな人たちが登壇した。

 まず、ネットで映像ニュース専門局を運営する「日本ビデオニュース」の神保哲生社長が口火を切った。登録者の会費で運営するシステムが軌道に乗ったことを明かし、「広告費に依存した民放と異なり、外部の干渉を受けず、スポンサーや視聴率の問題もない。(民放)テレビは無理してイヤなこと(ジャーナリズム)をやらなくても結構」と挑発気味に話した。

 大胆な意見に、TBSの金平茂紀報道局長は「ネットは環境の変化をもたらしたが、ジャーナリズムの目指すべき方向は変わらない」ときっぱり。しかし、テレビの現状に憂慮も示し、「果たすべき役割を果たしていない。市民の利益や考え方と遊離している。在り方を問い直す必要がある」と自戒を込めた。TBSで社会派番組を手がけ、現在は番組プロダクション「現代センター」代表取締役の吉永春子氏は、「面白ければテレビでもネットでも構わない。現場に行って(ニュースの)確証をとってくる。それがジャーナリストの仕事」と強調した。

 ネットとテレビ、双方のメディアが抱える課題にも焦点を当てた。

 ネットについては、ブロードバンド普及、ネット関連企業の躍進もあり、「アクセス数」がニュース価値の尺度となっていることに、金平氏が「その考え方はビジネスのロジック(論理)。無思考、思考停止につながり、ジャーナリズムの質を低くする」と危機感を募らせた。また、殺到する書き込みなどに目立つ「匿名性」も重視。吉永氏は「ネット(の書き込み)は監視の力が強いが、品位や知性に欠け、まじめなジャーナリズムの足を引っ張ってしまう場合もある」と他メディアへの悪影響も懸念した。

 一方、テレビについては、ネット関連企業がキー局の買収を仕掛けた動きを受け、報道機関の使命から「公共性の担保」「市場の原理」が議論となった。神保氏は「上場を廃止し、本当に公共的なものに特化するか、それとも膨張路線で行くか」と二者択一で迫った。金平氏は市場性とは別の次元で、「公共的な部分は守らねば」と口にしたが、それより「今は(テレビ界が)病気。誰のためにこういう仕事をするのか立ち返るべきだ」と原点回帰の重要性を唱えた。

 ネット全盛の中、テレビ報道の“復権”を期待する声も出た。

 制作プロダクションの先駆け、テレビマンユニオン副会長の今野勉氏が「報道・ドキュメンタリー系の番組が不人気なのは、視聴者が必要を感じないから。置き去りのメディアという危機感が強い」と向けると、金平氏は「昭和二十八年生まれのテレビ放送は希望のメディアだったが、今は受け手(視聴者)との関係が変わり、お互い信じていない」と語った。吉永氏も「テレビはナメられている」と指摘し、一般市民は情報の発信や意見発表の機会を望んでいるのに、「テレビは一日中、同じような内容を繰り返して伝えるだけ」とニーズに応えていないことを批判。テレビの怠慢がネットの成長を促した一因でもあるようだ。

 「学生がテレビ業界に興味を示さない。ブランドとしては人気だが、マスメディアとしては不人気」と今野氏が嘆くと、神保氏は、日本メディアの構造的問題に立ち返り、「(既成メディアは)特権化し、ジャーナリズムの新規参入もできない。伝送路が多様化して実現したネットの可能性を摘むことをしてほしくない」と訴えた。

 未来への模索が続く中、吉永氏は「視聴率の呪縛(じゅばく)から解放され、新鮮な感性の人材がいれば素晴らしいテレビになる」と結んだ。

近未来通信:回線使用料を滞納 通信事業停止の可能性

 IP(インターネット・プロトコル)電話事業で投資家から多額の資金を集めていた「近未来通信」(東京都中央区)が、通信回線を借りているKDDIへの回線使用料を滞納し、来週にも主な通信事業を継続できなくなる。

 同社はKDDIの回線を借りて、プリペイドカードを用いたIP電話サービスを提供している。固定電話や公衆電話などから指定された「フリーダイヤル」に電話し、カードに記載されたID番号を入力するとIP電話が使える。

 しかし、今年9月以降、KDDIへの回線使用料の滞納が始まり、2000?3000万円程度の使用料が未払いになっているという。部分的には支払いはあるものの、月末までに全額の支払いがない場合は、KDDIは回線契約を打ち切ることを検討。

 近未来通信は24日、契約者数などを総務省に文書で報告した。総務省は、不十分な点について再度報告を求めるとともに、会社を立ち入り検査して事業実態を解明する方針。

いじめ:ゲームで防止「エンパワメント導入」大阪府教委

 大阪府教委は来年度から、大阪、堺両政令市を除く府内の公立小中学校約920校で、いじめ防止策として、暴力から身を守る力を引き出す教育プログラム「子供エンパワメント支援指導」を導入することを決めた。米国で生まれた「エンパワメント」(内なる力を引き出す)の考え方をもとに、ゲームやロールプレーイング(役割演技)などを通じて、暴力を防ぐコツを教える内容。府教委は今夏から、これを防犯用に導入したが、いじめにも有効と判断した。

 プログラムは、府教委がNPO法人「女性と子どものエンパワメント関西」(兵庫県宝塚市)などと共同開発した。内容は「所属感」「境界線」「感情」「力」の4要素で構成。例えば「境界線」では、2人1組になり、ゲームなどで人には互いに踏み越えてはならない心身の境界線があることを認識させ、不快に感じた場合は「嫌だ」と意思表示したり、相手の目をしっかり見るなど、暴力を防ぐコツを伝授する。

 一方、「感情」では、花が開くイメージで行う呼吸法などにより、怒りを鎮めて暴力として爆発させない方法を教え、加害者になることを防ぐ。また自分や同級生の良いところや異なる点を見つけ合い、一人ひとりが大切な存在だと気づかせることなど、いじめ防止に有効な内容も含まれているという。

 府教委小中学校課は「通常の授業にとどまらず、学活などでも使え、工夫次第で中学生にも応用できる」と期待している。

IC乗車券:JR東海が「TOICA」導入

 改札機に触れるだけで乗り降り出来るJR東海のIC乗車券「TOICA(トイカ)」が25日、名古屋エリアでスタートした。中部地区の鉄道としては初めて。

 IC乗車券は、内蔵の電子チップを改札機が読み取り、改札口を通過できる。定期券カードもあり、駅構内の券売機でチャージ(入金)すれば繰り返して使え、乗り越しも自動的に精算される。

 JR東日本の「Suica(スイカ)」(01年?、発行枚数約1800万枚)、JR西日本の「ICOCA(イコカ)」(03年?、同約260万枚)に次ぐ導入で、来年度に静岡地区までエリアを拡大、発行枚数は50万枚を想定。スイカ、イコカとの乗り入れ協議が進んでおり、3社のカードが共通化する可能性が高い。電子マネーの機能はなく、中部地区の私鉄・地下鉄との相互利用のメドはたっていない。

NATO:首脳会議開催へ 対露関係が悪化の可能性も

北大西洋条約機構(NATO)は28日からラトビアの首都リガで首脳会議を開き、NATOの東方拡大や、日本など非加盟国との対話強化を協議する。しかし、旧ソ連圏での初の首脳会議は、NATOの勢力拡大に神経をとがらせるロシアを刺激し、新たな対立を招く危険性もある。

 NATOのデホープスヘッフェル事務総長は24日、「NATOの扉は開かれている」と強調。加盟交渉中のクロアチアなどバルカン3国に加え、加盟交渉の前段階の対話が続く旧ソ連圏のグルジア、ウクライナなどに好意的な姿勢を示した。

 また事務総長は、NATOがアフガニスタンなど欧米外にも展開している現状を踏まえ、非加盟国との関係構築に向けた「柔軟な姿勢」を強調。アフガン復興に貢献する日本や豪州などを「パートナー」とし、首脳会議を機に対話を深める意向を示した。

 だが、会議ではNATO諸国のミサイル防衛構想などロシアを「仮想敵国」と見なす防衛構想も話し合う予定。結束を強めて影響力の拡大を狙うNATOへの警戒感はロシアに根深い。

 ロシア下院のザバルジン国防委員会委員長は24日、「下院の大多数がNATO拡大に反対だ」と発言。25日にはプーチン大統領派のココーシン下院議員が「NATO拡大はロシアとの関係悪化を意味し危険だ」と話すなど、会議を前にロシア側からの批判が強まっている。

ガザ停戦:イスラエルとパレスチナが合意

 イスラエル首相府は26日未明、イスラエル軍とパレスチナ武装勢力がガザ地区での戦闘を同日朝に停止することで、オルメルト首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長が合意したと発表。

 イスラエル軍は6月にイスラム原理主義組織ハマスなどによる兵士拉致事件が起きてから、ガザ地区で空爆や部分侵攻などの作戦を続けており、戦闘が停止すれば約5カ月ぶりとなる。停戦が持続すれば、拉致兵士の解放や両者の首脳会談実現に向けた協議に好影響を与えそうだ。

 首相府やパレスチナ当局者によると、議長が25日夜に首相に電話し、ハマスを含むパレスチナの全組織がロケット弾発射や武器密輸など、すべての攻撃的な行為の停止で合意したことを伝え、イスラエル軍の作戦停止とガザ撤退を要請。首相も同意し、パレスチナ側が攻撃をやめれば軍部隊の撤退を始めると表明。

 停戦合意に占領地のヨルダン川西岸は含まれないが、両首脳は今後、西岸への停戦拡大に向け協議を続けることで一致。

 イスラエル軍は11月8日にガザ北部の住宅地を誤って砲撃し19人が死亡、武装勢力側は報復としてイスラエル南部へのロケット弾攻撃を強め、イスラエル住民にも2人の死者が出ていた。ガザ地区では5カ月にわたる軍の攻撃で300人以上が死亡。

11/24/2006

狂犬病:比保健相が調査と対策の徹底通知

フィリピンで犬にかまれた日本人男性2人が狂犬病を発症し、1人が死亡したのを受け、フィリピンのデュッケ保健相は23日、政府の関係機関や地方自治体に徹底した事実関係の調査を命じた。

 また保健相は、地方自治体に対し、住民への狂犬病に関する???氓ニ、飼い犬の管理徹底を呼びかけるよう求めた。

ドコモ:FOMAのICカードで不正通話 中国などで6件

 NTTドコモは23日、解約した第3世代携帯電話「FOMA(フォーマ)」に内蔵されたICカードを別の携帯電話に差し込んで使った不正通話が中国などで6件あったと発表した。不正使用による通話料の被害は計約26万円だった。今年2月に、認証システム改良などの再発防止策をとって以降、不正通話は起きていないという。

 ドコモによると、昨年9月に利用者から「知人にかけたら、別人の外国人につながった」との問い合わせを受けて調査した結果、05年8月から06年2月までに中国、フィリピン、ガーナで計6件の不正通信。

 ドコモの携帯電話では、ICカードに15ケタの「認証番号」と、契約者ごとの「認証キー」がついている。通話しようとすると、認証番号と認証キーの情報が電話交換機に送られ、その二つで本人確認がなされると通話が可能な仕組み。

 しかし、海外の一部の携帯会社が認証キーによる確認をせず、認証番号だけで本人確認して通話を受け付けていた。さらにドコモが、解約された電話の認証番号を、6カ月後に新しい契約者に付与していたため、解約した電話のICカードを使っても、新たな契約者の利用だと認識され、その料金が新しい契約者に請求されるという事態に。

 ドコモは今年2月に認証番号の再利用をやめるとともに、海外の携帯会社からの通話接続があった際、ドコモ側で再度、認証番号と認証キーで本人確認をするシステムに改良。

路上生活者襲撃:類似被害さらに3件 合計7件に

 愛知県岡崎市の乙川河川敷でテントに住む無職、花岡美代子さん(69)が殺害された事件で、同川付近の一帯で今月に入ってから判明している4件の他に3件、路上生活者が襲われたり脅される事件があり、一部は警察をかたって脅すなど手口に共通点がみられることが23日、分かった。計7件のほぼすべてで金銭が要求されており、県警岡崎署捜査本部は、花岡さんも強盗被害に遭った可能性もあるとみて、各事件との関連を調べている。

 調べでは、20日午前4時ごろ殿橋北側河川敷で寝ていた男性(73)が4人組の男に起こされ「警察だ。麻薬売買の情報があったので荷物を見せろ」と脅された。男性が空の財布を見せると男らは逃走。暴行はなかった。16?18歳くらいの少年という。

 22日早朝に殿橋南側で男2人組に現金を奪われた警備員男性(39)は、19日午前1時半ごろ、同じ場所で男4人組に「警察だ。覚せい剤の取り締まりだ」などと脅され財布(約5000円入り)を奪われた。男性は同署に「1人は20歳ぐらい、3人は自分より年上に見えた。ほかに女1人の声も聞いた気がする」と証言。

 一方、今月6日未明には愛知環状鉄道・北岡崎駅周辺で男性が複数の若い男に顔などを殴られ財布(2000?3000円入り)を奪われた。「近くにいた別の男性も暴行を受けた」との証言もある。

 20日朝遺体で発見された花岡さんと、18日朝に同駅でけがをして見つかった男性(77)は現金被害が不明だが、他はすべて金銭の要求があった。花岡さんのテントからは袋に入った財布が見つかったが、中に現金はなかった。捜査本部は、抵抗する力が弱そうな路上生活者の現金を狙った連続襲撃事件の可能性。

 花岡さんが殺害される直前の今月18日、知人に「最近、『テントを撤去してやるぞ』などと頻繁に脅しに来る男がいて怖い」などと話していたことが23日、分かった。花岡さんの知人の男性らしく、少年ではなかったという。

弁護料詐欺:未公開株詐欺事件に便乗の3人逮捕 警視庁

 投資顧問会社「エンゼルキャピタル」(東京都中央区)の未公開株詐欺事件の被害者に「被害金を取り戻す」と偽り弁護料名目の現金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は24日、東京都墨田区江東橋2、無職、野近(のぢか)竜太郎容疑者(22)ら3人を詐欺容疑で逮捕。グループが管理する銀行口座には3000万円の入金があり、同課で被害の全容を調べている。

 ほかに逮捕されたのは、墨田区江東橋1、無職、鈴木拓摩(22)▽千葉県市川市市川南3、同、小林祐亮(22)の両容疑者。

 調べでは、野近容疑者らは今年7月、エンゼルキャピタルに約180万円を投資し回収不能になっていた千葉市の無職男性(80)の自宅に「被害金を回収します」と書いたパンフレットを郵送。電話で問い合わせてきた男性から約10回にわたり弁護士料などとして約240万円をだまし取った疑い。

 エンゼルキャピタルを巡っては、新規公開株の購入を勧誘し投資家から現金をだまし取ったとして元社長、大徳匠被告(38)が詐欺容疑で逮捕・起訴された。同社による被害は全国に450人、総額13億円。同課は野近容疑者らが同社社員から被害者名簿を入手したとみている。

11/22/2006

男女平等度:日本はG7で最下位 スイスの民間機関公表

スイスの民間研究機関・世界経済フォーラムは21日、世界115カ国での男女格差を指数化し、順位を付けた報告書を公表した。格差が少なく男女平等に最も近いと評価されたのはスウェーデン。ノルウェー、フィンランドの北欧ィが上位を占めた。日本は先進7カ国(G7)で最低の79位。政界・実業界での格差がG7で最悪レベル。

 指数はビジネスや政治で決定権を持つポストへの進出度や教育機会の均等、平均寿命など14分野について国連統計などを基に算出。日本は教育や健康分野で男女格差が小さかったが、多くの国が同様の傾向を示したため順位には大きな影響は出なかった模様。G7ではドイツ(5位)と英国(9位)がベスト10に。アジアでは各分野で男女格差が少ないと評価されたフィリピンの6位が最高。

 同フォーラムは昨年、主要58カ国の男女格差を比較した初の報告書を作成。首位はスウェーデン、日本は38位。

大手銀中決:6グループの最終利益1兆7352億円

 大手銀行6グループの06年9月中間連結決算が22日出そろった。融資先企業の業績が回復し、倒産などに備えて積み立てた貸し倒れ引当金の戻り益が生じ、6グループ合計の最終(当期)利益は前年同期比0.3%増の1兆7352億円と、過去最高を2年連続で更新した。好決算を受け、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が前期比4000円の増配を発表するなど、4グループが配当を増やす。

 みずほFG、りそなホールディングス、住友信託銀行、三井トラスト・ホールディングスの4グループの最終利益が過去最高だった。みずほは貸し倒れ引当金の戻り益が多く、前年同期比15.9%増。りそなは前払いした税金が戻るとみて資産計上する「繰り延べ税金資産」の計上期間を1年間から5年間に拡大した特殊要因で、同164.5%増だった。

 三菱UFJFGの最終利益は同28.7%減、三井住友FGは同37.9%減で、大幅減益だった。提携先の消費者金融がグレーゾーン金利による返還金請求に備えて大幅な赤字に転落し、利益を押し下げた。三井住友は金融派生商品の押し付け販売で金融庁から行政処分を受けたことも響いた。

 本業のもうけを示す業務純益は6グループ合計で同23.4%減の1兆5968億円だった。りそなを除く5グループが前年同期を下回り、収益力の弱さをのぞかせた。日銀のゼロ金利政策解除に伴い、国債などの運用環境が悪化した一方で、企業向け貸し出しの利ざやが伸び悩んだ。

 07年3月期の最終利益予想は6グループで2兆9600億円に上方修正されたが、過去最高益だった06年3月期の3兆1215億円を下回る。

11/20/2006

裁判員制度:事件ごと審理を分割する「部分判決」導入へ

 09年までに始まる裁判員制度で、複数の事件で起訴された被告の刑事裁判を、事件ごとに分割して審理する「部分判決制度」が導入されることになった。各事件で裁判員を入れ替え負担を軽くするためで、長勢甚遠法相が20日、要綱案を法制審議会に諮問した。法務省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出する。

 現行の刑事裁判は通常、複数の事件で起訴された被告の審理は一つの裁判所で一括して行う。国民が重大な刑事裁判に参加する裁判員制度でも、同様の手続きを維持すれば、仕事や家事を休む期間が長引くことも予想され、検討を重ねていた。

 その結果、要綱案は「円滑な選任を確保するため、特に必要があると認められるとき」は、裁判所が事件ごとに審理を分割する「区分審理決定」をすることにした。裁判所が職権で行うほか、検察官、被告、弁護人も請求できる。決定後は事件ごとに順次審理。部分判決により、事実認定や有罪・無罪の判断を行う。最後の事件を受け持つ裁判官と裁判員が、全事件の情状も踏まえて量刑を決め、最終的な判決を言い渡す。事件ごとに代わるのは裁判員だけで、裁判官は交代しない。

 ただ、要綱案は「犯罪の証明や被告の防御に支障を生じる恐れがある場合」については区分審理の対象外としている。仙台・筋弛緩(しかん)剤混入事件のように、複数の事件が相互に関連し多くの証拠が共通する場合、分割審理が困難なためだが、裁判員の負担が重くなるという問題は残る。

 同日の法制審には、法廷の証人尋問などを録画し、評議に活用できる制度も諮問された。

コンビニATM:三菱東京UFJ 手数料を平日昼間無料に

 三菱東京UFJ銀行は20日、同行に口座を持つ全顧客を対象に、コンビニエンスストアのATM(現金自動受払機)利用手数料を、来年3月中をめどに引き下げると発表した。顧客への利益還元策の一環で、平日昼間の入出金は無料になる。一部の顧客やコンビニATMを対象にした無料サービスを提供している大手行はあるが、一律無料とするのは初めて。

 対象となるのは、セブン?イレブンやローソン、ATM管理会社「イーネット」と提携しているコンビニの店内に設置された全国約2万2000台。現状は出入金の際に、平日午前8時45分?午後6時は105円、それ以外の時間帯と土日祝日は210円の手数料がかかるが、平日昼間は無料、その他は105円に引き下げる。

 同行は05年度に邦銀で初めて1兆円を超える最終(当期)利益を計上し、06年9月中間連結決算も好調だった。銀行への「もうけ過ぎ批判」を受け、利益の還元策として今年5月から自行の本支店間の振込手数料の一部を無料化。ATM手数料の引き下げの要望も高いことから今回の措置に踏み切った。

 ATM手数料を巡っては、他行の顧客を含めて無料ATMを展開する東京スター銀行に対し、三菱東京UFJ銀が異議を唱えており、銀行間手数料などの見直しを交渉中。だが、畔柳信雄頭取は「今回の対応は自行の顧客に対するもので、まったく関連性はない」と説明。

11/18/2006

裁判員:出頭せず辞退可能 最高裁が選任手続き案

 最高裁は17日、09年までに始まる裁判員制度での選任手続き案を公表した。国民から選ばれる裁判員の候補者に明らかな辞退理由がある場合、事前に行う2度の書面調査で候補者から除外する。裁判鰍ノ出頭せずに辞退が可能になり、国民の負担軽減となる。また、多忙でも日程調整しやすいよう、個別事件で裁判の始まる約6週間前には呼び出し状が送付されることも固まった。今後、法務省や日本弁護士連合会と協議し、来年夏に制定する最高裁規則で正式決定する。

 裁判員は有権者の中からくじで選ばれる。裁判員法では▽重い病気▽親族の介護▽極めて重要な仕事??などの理由があると各裁判所が認めた場合、辞退できるが、その判断時期や方法は最高裁が規則で定めることになっていた。

 手続き案によると、各裁判所は裁判員の候補者名簿を作成後、各候補者に調査票を送り、法定の理由で年間を通じて辞退を希望するか否かを調査。農繁期のような特定の時期だけ辞退を望むかどうかも聞く。

 個別事件の裁判日程が決まり、候補者に呼び出し状を送る際には「質問票」を同封し、辞退理由の有無を改めて調査。調査票や質問票の記載だけで明らかに理由があると判断した場合は辞退を認め、裁判所への呼び出しは行わないこととした。

11/17/2006

GDP速報 成長持続の決め手は賃上げ

 景気を見る時、過度の悲観も楽観も禁物である。データを客観的に読み判断を下すことが何より重要だ。それにより適切な政策も可能になる。この論理にしたがえば、今年7?9月期の国内総生産(GDP)速報からは、いま、日本経済で最も注目しなければならないのは個人消費であることが読み取れる。

 実質で前期比0・5%、年率換算で2%の成長はほぼ日本の実力である。名目成長率も前期比0・5%、年率1・9%と足元ではデフレも解消しつつあるように見える。この期の成長を引っ張ったのが輸出であることも数字からわかる。形の上では外需依存の成長ということである。

 ただ、内需全般が弱かったわけではない。企業の設備投資は依然高水準であり、住宅投資もプラスだ。内需の中で不振なのは公共投資と個人消費である。公共投資は予算改革の趣旨からも引き続き減少が続くのはやむを得ない。

 それに対して、GDPの約6割を占める個人消費の落ち込みがこの期にとどまらなければ景気押し下げ要因になる。企業設備投資にも影を落とすことになる。

 完全失業率が低下し、正規雇用も増加の兆しを見せている。しかし、定期給与は横ばい状態のままというように、所得環境は厳しい。それが消費者の財布のひもを固くしている。企業部門は大手を中心に引き続き業績好調である。

 マクロ的な安定成長実現のためには、企業はボーナスのみならず、定期給与の引き上げなどを行うべきである。これまで、大企業はリストラの過程で労働分配率を引き下げ、業績回復を図ったのだ。先々を見据えた安定成長に寄与することは企業のためでもある。

 今回の景気拡大は11月で58カ月に達し、いざなぎ景気を超えるが、景気動向指数や機械受注、鉱工業生産などの経済指標には先行きに対する不透明感が表れている。循環論的には04年半ばから05年初めまでのように、景気が踊り場的局面を経過し、再び拡大に転ずるのが最も望ましい。その決め手は家計が動き出すことであるのだ。

 また、日本経済の体質改善は確実に進んでいる。消費者物価指数の基準改定で経済全体の物価変動率であるGDPデフレーターは従来より拡大したものの、国内需要デフレーターに限れば、プラスになっている。銀行貸し出しも増加基調が続いている。企業の売上高経常利益率も最高水準にある。これに加えて、家計部門が強固になれば成長の土台は固まる。

 安倍晋三首相は成長重視の政策を展開しようとしている。経済活性化で成長率を引き上げようというのだ。中長期的には研究開発促進による技術革新が決め手ということになる。この方向は正しい。

 一方で、短期的には、金融政策に期待している。日本銀行に現状の超低金利を維持させるというのだが、これは間違いだ。短期の誘導金利は金融政策が働きうる水準まで徐々に引き上げるのが筋だ。異常事態を長引かせることはやってはならない。

基本法単独可決 教育の「百年の大計」が泣く

 自民、公明両党が15日夕、教育基本法改正案の委員会可決に踏み切った。これまで私たちは再三、「何のために改正するのか、原点が見えない」と指摘してきた。そんな疑問は解消されたと与党は言うのだろうか。急ぐ理由がまったく見当たらないのに、衆院特別委員会を野党が欠席する中、単独採決したことは将来に禍根を残すことになるだろう。

 改正案採決は一時、与党内でも週内に強行採決すれば、19日の沖縄県知事選に悪影響が出ると見て、来週に先送りする意見が出ていた。それが一転、単独採決に至ったのはなぜか。まだ明らかでない点も多いが、安倍晋三首相自身が腹をくくったことだけは間違いないだろう。

 改正案が提出されたのは先の通常国会だ。元々、小泉純一郎前首相はさしたる関心がなく、安倍首相(当時は官房長官)が熱意を示す法案だと言われてきた。教育目標に「我が国と郷土を愛する態度を養う」とうたった改正案は、当初から「占領軍に押しつけられた現行法を全面的に改正したい」との動機ばかりが優先しているのではないかとも指摘されてきた。

 実際、前国会以来、審議時間こそ費やされてきたが、改正すれば教育はどうよくなるのか、安倍首相らの説明を何回聞いても、結局、明確にはならなかった。

 加えて、今国会では、いじめ自殺や履修不足、タウンミーティングのやらせ質問と新たな問題が次々と発覚した。いじめや履修不足は今の教育のあり方の根幹にかかわる緊急課題だ。ところが、首相らは「基本法を改正すれば改善されるのか」という問いに答えることができず、「基本法とは別問題」とかわすだけだった。かえって基本法改正には緊急性がないことを認めたようなものである。

 採決を来週に先送りした場合、国会会期を延長しないと改正案の成立が難しくなるのは確かだ。首相就任直後の日中、日韓首脳会談再開を除けば、目に見える成果をあげていない安倍首相は、実績作りを急いだのかもしれない。しかし、それは首相の都合というものである。

 「与党の横暴」をアピールする民主党も決してほめられたものではない。民主党も独自の対案を提出していながら、それを成立させようという姿勢は感じられず、「時間をかけて審議を」と主張するのみだった。対案を出すということは「今の基本法は改正の必要がある」と党として判断したはずだ。ところが、改正の是非に関しては実は党内の意見は依然、まちまちだ。亀裂を回避するためには、与党が強引に採決してくれた方がありがたい。そんな計算があるのは既に国民も承知に違いない。

 政府・与党からすれば教育基本法改正は「百年の大計」だったはずだ。それが、国民の理解が深まらぬまま、こんな状況で衆院を通過しようとしている。今の基本法が「占領軍の押し付け」と過程を問題にするのなら、これもまた将来、「成立の仕方に疑義があった」とならないのか。

和歌山知事逮捕 地方不信招いた責任は重い

 和歌山県発注の土木工事をめぐる談合事件で、辞職を表明している木村良樹知事が競売入札妨害の容疑で大阪地検特捜部に逮捕された。知事自身が選挙応援の見返りに談合を指示していたという疑いだ。福島県に続く「知事の犯罪」摘発は、地方自治への信頼を揺るがす重大事である。

 知事は04年に実施された県発注の下水道工事で、落札が予定されている共同企業体(JV)に同県海南市の土建会社を組み込ませるよう側近の元県出納長に指示した疑いが持たれている。元出納長が土建業界の談合の仕切り役に働きかけ、土建会社はJVに加わったとされる。

 土建会社は知事が再選された04年の知事選の際、選挙事務所を提供したり、演説会への動員をかけるなど、会社を挙げて知事を支援していた。対立候補を擁立しようとする動きもあったが、地元政界に顔の利く土建会社会長が知事への一本化に奔走したという。

 こういったことがすべて事実なら、2期目の知事の座を勝ち取るために利権を提供したとみられても仕方がない。

 直接選挙で選ばれる知事は、自治体で大きな権限を持つ。その特質を生かせば強力に改革を進めることができるが、悪用すれば今回のような不正につながる。

 大阪府出身で旧自治官僚の木村知事は和歌山県との関係が薄く、改革への期待は大きかった。

 実際に、知事は森林整備に都会から希望者を募って活用する「緑の雇用事業」などユニークな施策を相次いで打ち出し、工事予定価格の事前公表制度の導入など、入札制度の透明化にも取り組んできた。全国知事会道州制特別委員長として、道州制を推進する役割も演じてきた。

 そうした実績から「改革派」ともてはやされたが、地元の根強い談合体質にメスを入れることはできなかった。それどころか、現実には、既得権益を持つ勢力が自分たちに都合のいい首長を擁立して利権を守ろうという図式に組み込まれていたわけだ。

 90年代に入って、全国で続々と誕生した政党を頼みとしない無党派の改革派首長たちが、このところの地方分権論議をリードしてきた。だが、岐阜、福島、和歌山と続く不祥事で、多くの国民は「やはり地方には任せておけない」と思い始めているのではないか。時代を逆戻りさせてしまった責任は極めて大きい。

 政府は、国と地方の役割分担を見直すための地方分権改革推進法案を今国会に提出し、新たな改革論議が始まろうとしている。道州制もようやく具体的な政治テーマとなってきた。その中で、地方側の発言力低下は深刻な事態だ。

 地方を立て直すには、自治体の首長が談合などの不正を封じ込める方法や自らの行動規範を市民に具体的に示していくことだ。

 和歌山県の出直し知事選は今月30日に告示、来月17日に投開票される。候補者はこれらの点を明示して、有権者の審判を受けるべきである。

改正JICA法 首相は援助の基本方針示せ

 国際協力機構(JICA)に政府開発援助(ODA)の実施機能を一本化する改正JICA法が成立した。08年10月に、有償資金協力(円借款)の実施を担っている国際協力銀行の旧海外経済協力基金部門をJICAに統合するとともに、外務省が担当している無償資金援助の実施業務も引き継ぐ。

 途上国への海外援助を巡っては、企画立案段階、実施段階のいずれにおいてもばらばらと批判されてきた。ODA大綱などで援助の戦略性を高めることが打ち出されてはいるが、十分な成果が出ているとは言い難い。

 実施体制の一本化は、首相をトップとした海外経済協力会議の創設に続くものだ。また、8月には外務省が経済協力局を地球規模問題も含めた幅広い援助や国際協力の戦略策定・企画立案を行う国際協力局として再編している。いずれも援助体制整備である。

 途上国への開発援助を効果的に進めていくためには、無償援助や技術協力を機能的に組み合わせることが重要である。これまでも、無償援助の実施ではJICAが大きな役割を果たしていた。

 名実ともに、JICAが援助の実施をになうことになれば、技術協力との連携を強めることが可能になる。改正法では外交政策の遂行上必要な案件は引き続き外務省に実施機能を残すことになっているが、これは極めて限定的にすべきである。

 また、円借款実施機能の統合も前向きの効果が期待できる。途上国でも経済発展が進んだ段階では、有償援助による開発が中心になっていく。無償や技術協力の段階からの実施実績は円借款の実施のみならず企画立案にも役立つ。

 その意味で、新JICAには有償、無償、技術協力の部門がそれぞれ相互乗り入れし、援助の一元化を本物にすることが求められている。国連も傘下の援助機関が個別に行っていた開発援助の一体化を検討している。

 援助現場での教訓を企画立案や戦略の構築に結び付けていくことも不可欠だ。日本は昨年のグレンイーグルズ・サミットでODA事業量を5年間で100億ドル増やすことを公約した。アフリカ援助の3年間での倍増も表明している。いずれも小泉純一郎政権の下でのことだが、安倍晋三首相もこれには縛られる。新JICA発足が決まったことを契機に、安倍政権としての援助方針を内外に表明することが必要である。

 鳴り物入りで4月に設置された海外経済協力会議だが、安倍内閣になってからは1度しか開かれていない。歳出歳入一体改革でODA予算も2?4%の削減が打ち出されている。欧米各国が援助予算を増額している中、国際公約達成をにらみ、どのような援助方針でのぞむのか。そのための予算をどうするのかなど、戦略そのものが問われている。同会議は突っ込んだ議論を行う必要がある。

 援助は重要な外交手段だ。ODA改革はそれを本物にするものでなければならない。

 来春の大統領選に向けたフランス社会党の公認候補を選ぶための党員投票で党選管は17日未明(日本時間同日朝)セゴレーヌ・ロワイヤル元家庭・児童担当相(53)が過半数を得て、党指名を獲得したと発表した。来年1月に指名を決める与党・国民運動連合の候補者との一騎打ちが予想され、ロワイヤル氏はフランス史上初の女性大統領と、12年ぶりの社会党政権奪還を目指す。

 党選管によると、最終得票率は、(1)ロワイヤル氏60.6%(2)ストロスカーン元財務相(57)20.8%(3)ファビウス元首相(60)18.5%??で、投票率は82%だった。26日の党大会で正式に大統領候補となる。

 予想外の圧勝を受けて、ロワイヤル氏は「体中で幸福感を表現したい気持ちだ。フランスは歴史のページを書き始める。共に予想外の何かを築き上げよう。この国は変化を求めており、それを実現させたい」と勝利の第一声を上げた。

 ファビウス陣営のバルトロン選挙参謀は「こうした結果となれば、ロワイヤル氏の指名を認め、打倒右派に向け全党員が団結すべきだ」と敗北を認め、大統領選への党内団結を訴えた。

 ロワイヤル氏は当初、既存政治家にない新鮮さを打ち出すイメージ戦略で高支持率を得たが、テレビ討論会での発言のあいまいさに批判が出るなど、終盤で支持がやや伸び悩んだ。しかし、党員数は今年に入って7万人も増えており、これが同氏支持の基礎票になったともみられる。

 一方、与党・国民運動連合の大統領候補は、来年1月党大会でのサルコジ内相(51)指名が有力視されているが、党内で対立するドビルパン首相(53)、アリヨマリ国防相(60)の立候補も予想される。さらに、昨秋の郊外暴動以来支持率が低迷しているシラク大統領(73)も、ベルナデット夫人が週刊誌でシラク氏の3選出馬を強く示唆し、波乱要因となっている。

 ◇右派的発言で高い支持

 セゴレーヌ・ロワイヤル氏 53年9月、フランス統治下のセネガル首都ダカール生まれ。エリート校の仏国立行政学院(ENA)卒業後、行政裁判所判事、国民議会(下院)議員などを経て、ミッテラン政権(社会党)下の92年に初入閣。環境相、家庭・児童担当相などを歴任した。現在は、ポワトゥー・シャラント地域圏議会議長。今年6月には、罪を犯した16歳以上を収容する「軍隊式学校を設立して矯正すべきだ」と右派的発言をし直後の世論調査で高い支持を得た。

造反組復党:現職の無所属衆院議員を先行検討

 自民党の中川秀直幹事長は17日午前の記者会見で、郵政民営化法案に反対した造反組の復党問題について「当面は現職の復党希望を考えるのが自然な姿だ」と述べ、現職の無所属衆院議員12人についての検討を先行させ、落選組はその後に調整する考えを示した。

 中川氏は落選組が安倍晋三首相の首相指名選挙で投票していないことを指摘し、「所信表明を支持する投票行動をしていない。」

 また、「いつまでも憶測が飛ぶようなことはしたくない。期限を切って決着をつけていかなければならない」と述べ、19日の沖縄県知事選後、早期に結論を出す。

 復党の条件については(1)政権公約の順守(2)所信表明の順守(3)国民の理解??の3点を改めて強調。「(復党希望者は)何らかの形で自身の言葉で国民にも語りかけることも必要だ。」

 造反組の無所属衆院議員らは17日午前、国会内の平沼赳夫元経済産業相の事務所で会合を開き、平沼氏に対応を一任する。出席者によると造反組10人が参加。落選組も含めた一括復党を求める意見が出た。

大学受験料:割引導入の大学増加、早大も参入

 「大学全入時代」の到来を迎え、各大学が受験生の確保に躍起となる中、受験料の割引制度を導入する大学が増えている。早稲田大学(東京都新宿区)が来年度入試で初めて導入するほか、拓殖大学(文京区)は1回よりも2回受けた方が受験料が安いという新制度を設ける。大手予備校によると、全国の大学の半数近くが割引制度を取り入れている。「そもそも受験料自体が高い」声も、価格破壊はさらに進みそうだ。

 早大は来年度の5学部の入試で割引制度を初めて導入する。一般入試に加え、大学センター試験の成績を加味した入試を併願する場合、一般3万5000円とセンター3万円で計6万5000円となるところを、1万円割り引いて計5万5000円(スポーツ科学部は6万円が5万円に)とする。早大広報室は「これまで1回の試験で2回分の受験料を取っていたが、受験生の負担が大きいと考えた」と話す。

 早大では89年度に約16万人いた志願者が少子化に伴って減少し、近年は約10?11万人台で推移。大手予備校・代々木ゼミナールの坂口幸世入試情報センター本部長は「受験料割引は早慶上智クラスではこれまでなかった。志願者を増やして、学生の質を維持しようとしているのではないか」と分析。

 拓大は一般入試を1回受けると3万5000円、2回で7万円を、1回分よりも安い3万円、3回なら4万円などと大幅に割り引く制度を導入。拓大も志願者は減少傾向に、拓大入学課は「複数回の受験生を優遇したいと考えた。志願者が増えれば、優秀な学生が入学する可能性が高まるのでは。」

 大手予備校・河合塾によると、受験料割引を導入する大学は90年代半ばから増え始めた。06年度入試では、河合塾が調べた529大学中、何らかの形で割引を取り入れたのは268大学。ユニークな制度では、英検2級以上を持つ受験生は無料(LEC東京リーガルマインド大)▽オープンキャンパス参加者は5000円割引く(神戸国際大)など。

 河合塾の神戸悟・教育研究部チーフは「受験料割引で直接志願者が増えることはないが、少しでも受験生の便宜を図りたいと考えているのでは。価格破壊が進んでいるとはいえるが、河合塾の模擬試験は1回約4000円。それと比べても3万5000円などの受験料はまだ高すぎる。」

11/15/2006

教育基本法:改正案を衆院特別委が可決 与党単独で

 教育基本法改正案は15日夕、衆院教育基本法特別委員会で自民、公明両党が与党単独の採決に踏み切り、民主、共産、社民、国民新の野党4党が欠席したまま賛成多数で可決された。与党は改正案を16日午後の衆院本会議で与党単独で可決、参院に送付する構えだ。野党は採決に激しく反発しており今後、衆参両院ですべての国会審議を拒否し対抗することにしており、与野党の対立が一気に強まっている。

 与党は単独採決は19日投開票の沖縄県知事選に影響しかねないとの判断から、国会の小幅延長も視野に週内の委員会採決を見送る方針にいったんは傾いていた。だが、安倍晋三首相らが早期採決で譲らず、野党が採決に応じる見通しが立たないうえ、特別委の審議時間が昨年の郵政民営化関連法案に迫る約106時間に達したことなどから、採決に踏み切った。採決では自民、公明両党に加え、無所属の保利耕輔元文相も賛成した。採決に先立ち、特別委は15日午前に中央公聴会を開催。同午後の締めくくり総括質疑は、野党が「採決を前提とした質疑には応じられない」と欠席したため、与党単独で行った。野党の質問時間に入ったところで特別委の森山真弓委員長と与党筆頭理事の町村信孝前外相が河野洋平衆院議長を訪れ経過を報告、採決方針を伝えた。

 これに先立ち衆院議院運営委員会は理事会を開き、逢沢一郎委員長が職権で16日午後の本会議開催を決めた。野党が審議拒否を続けた場合、参院での単独審議も視野に対応する。

 一方、野党4党は国対委員長らが与党の単独採決について河野議長に抗議を申し入れた。民主党の高木義明国対委員長は記者団に「いじめや未履修、タウンミーティングのやらせなど、多くの問題を未解決のままに、国会の信頼を傷つける行為だ」と批判。15日午後の幹事長・書記局長会談で、衆院の全面審議拒否を確認。参院側も野党4党の国対委員長が会談し、参考人質疑などを除く全委員会の審議拒否を決めた。

 改正案は政府が今年4月に国会に提出。愛国心をめぐる表現について「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」と明記している。今国会で成立すれば、47年の教育基本法制定以来、初の改正となる。民主党は対案を提出しているが、この日の特別委で採決されなかった。

 ■教育基本法改正案のポイント■

・伝統と文化を尊重、我が国と郷土を愛する態度を養う
・教員は、絶えず研究と修養に励み、職責の遂行に努める
・国及び地方公共団体は義務教育の実施に責任を負う
・父母その他の保護者は子の教育の第一義的責任を有する
・教育は、法律の定めるところにより行われる

11/14/2006

GDP速報:年率換算2.0%増 7?9月期予想上回る

 内閣府が14日発表した06年7?9月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は前期(4?6月期)比0.5%増、年率換算では2.0%増となった。プラス成長は7期連続。1?3月期(年率換算3.2%増)までの伸びよりは低いものの、民間予測平均(年率0.9%)を上回った。

 生活実感に近い名目GDPは0.5%増(年率換算1.9%増)だった。実質0.5%増のうち、国内と海外の影響の内訳を示す寄与度は、内需が0.1%、外需が0.4%で外需(輸出)主導の回復となった。

 内需の寄与度は、景気が踊り場状態にあった04年10?12月期以来の低さ。特に個人消費は0.7%減と2四半期ぶりに減少。設備投資の伸びも前期の3.5%増から2.9%増に鈍化するなど、先行きへの不安を残した。

 逆に、前期は0.9%増と低い伸びだった輸出は、円安の追い風を受けて、2.7%増と大幅に増加。他方、輸入は内需の低下などにより0.1%減と3期ぶりに減少したため、輸出から輸入を差し引いた外需の寄与度が上がった。

 一方、物価の総合的な動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.8%の下落。マイナス幅は前期(1.2%下落)より縮小し、デフレ脱却に向かっていることを裏付けた。

 また、4?6月期のGDP成長率は8月の速報発表時には、名目値が実質値を上回り、デフレ脱却期待が高まったが、その後の消費者物価指数の下方改定も踏まえ、過去にさかのぼって再計算した結果、実質成長率は0.4%増、名目成長率は0.2%増となり、再び名目値が実質値を下回った。

 ■解説 個人消費と設備投資が減速

 7?9月期の国内総生産(GDP)が年率換算で2.0%増となり、02年2月に始まった今回の景気回復が持続。ただ、今回は円安による輸出増など外需に支えられた面が強い。内需は、個人消費が減少に転じたほか、これまでけん引役を果たしてきた設備投資もやや減速。外需頼みの傾向が強まると、減速感が出ている米国経済の影響をより受けやすく、不安定さが増す。

 個人消費が悪化した背景としては、所得の伸びの鈍化や、ガソリン・生鮮食品の値上がり、天候不順、サッカー・ワールドカップの反動で薄型テレビの売れ行きが鈍ったことなど挙げられる。このうち所得は、通常の景気回復だと、企業業績の改善を受けて増加するが、今回はリストラや非正規雇用を伴った回復であるため、本格的な所得改善が起きず、消費の活発化につながっていない。企業が過去最高の利益を出す一方で、家計には景気回復の恩恵が届いていない形だ。

 大田弘子経済財政担当相は14日会見で「1人当たりの賃金が伸びていないという点に大変注意が必要。」

朝日放送:セクハラで男性アナ3人処分

 朝日放送(大阪市北区)は14日、同社の男性アナウンサー3人にそれぞれ別のセクハラ行為があったとして、2人を停職3カ月、1人をけん責処分にしたと発表した。3人それぞれのセクハラ行為については被害女性の意向もあり、時期や被害者ら詳細は公表しないと説明。同社広報部は「被害者、視聴者の信頼を損なったことをおわびするとともに、社員教育を徹底する」とのコメントを出した。

イラク:武装集団が教育関係者襲い、100人拉致

 イラク内務省当局者によると、首都バグダッドで14日、高等教育省の建物を武装集団が襲撃、同省付属研究機関の幹部や研究員ら約100人を拉致し逃走した。襲撃した男らは内務省特殊部隊の制服を着pしていたが、背後関係は不明。

 イラクでは、イスラム教シーア派民兵らが民間人を拉致し殺害する事件が多発しているが、一度に100人規模の教育関係者が標的となるのは極めて異例。AP通信によると、アジリ高等教育相は、研究者や教職員が「これ以上殺害されるのを座視できない」首都の治安が改善されるまで各大学を閉鎖。

 一連の拉致では、シーア派とスンニ派のイスラム教宗派間対立を原因とした襲撃のほか、身代金目的とみられる事件も多い。最近では著名スポーツ選手や大学教授らが拉致の対象と。

 APなどによると、襲撃グループは約80人。車約20台で同省に乗り付け、研究員や職員らのうち男性だけを車に乗せて連れ去った。

11/11/2006

すき家:アルバイトが労組結成 牛丼チェーン

 外食産業大手・ゼンショー(東京都港区)が経営する牛丼チェーン「すき家」で働くアルバイトが8日、労働組合の結成を発表。マクドナルドなどファストフードチェーン店では労組の結成が相次ぐが、アルバイトが結成したのは珍しく、不払いだった残業代の割増賃金を獲得するなどの成果を出している。

 結成したのは、若いフリーターらが個人加盟する首都圏青年ユニオン(伊藤和巳委員長)に加入した同チェーンのアルバイト6人。いずれも20歳代で、東京・渋谷の店舗に勤務していたが、リニューアルを理由に突然解雇された。事前通告もない解雇に納得できず、組合に入り会社側と交渉。この結果、会社側は解雇を撤回し、不払いの割増賃金計約40万円も支払った。ゼンショーは「割り増し不払いは事務手続きのミス。労組には誠実に対応する。」

 労基法によると、残業した場合は25%の割増賃金の支払いが義務づけられている。しかし同社は割り増し分について条件をつけ、支払わないケースが多かったという。組合員の男子大学生(24)は「5年間働き、仕事に誇りをもっているのに、アルバイトだからと法を無視した対応をされ納得できなかった。ユニオンが他のアルバイトの力になれば。」

 同ユニオンによると、アルバイトの場合、こうして割り増し分が支払われるケースは少ないという。河添誠書記長は「労基法さえ守られない厳しい状況が若い人の労働条件を切り下げている。アルバイト全体の改善につなげたい。」

和歌山談合:知事から任意聴取 丸山組会長ら3人逮捕

 和歌山県の木村良樹知事(54)関与の疑いが強い県発注の下水道工事を巡る談合事件で、大阪地検特捜部は9日、前回知事選(04年8月)で木村知事を熱心に応援したとされる同県海南市の土建会社「丸山組」会長、田渕利都(としくに)容疑者(79)ら同社役員3人を競売入札妨害容疑で逮捕。選挙戦では、利都容疑者が親しい元有力県議を通じて地方議員らに活動資金を提供して木村知事支持を求めたり、利都容疑者自身が懇意の議員に応援要請したことが、関係者の話で新たに判明。特捜部は、受注は選挙戦の「論功行賞」とみて、9日に家宅捜索した知事公舎内で木村知事から任意聴取。

 逮捕されたのはほかに、同社社長、田渕利幸容疑者(51)と、専務、久保利夫容疑者(59)。田渕利都、利幸の両容疑者は容疑を認め、久保容疑者は否認。また、木村知事は同日、「捜索の当事者なのでコメントできない。」

 3容疑者は04年11月10日に実施された「紀の川中流流域下水道那賀幹線シールド工事」(同県岩出市)の入札で、元県出納長の水谷聡明容疑者(60)=競売入札妨害容疑で再逮捕=や関西の土木工事の談合を差配していた大林組元顧問の日沖九功被告(64)=競売入札妨害罪で在宅起訴=らと共謀。丸山組が参加する共同企業体(JV)が落札できるよう調整し、公正な入札を妨害した疑い。

 関係者によると、丸山組は前回知事選で、海南事務所やその用地提供、社員による団体回りのほか、普段から積極的に支援していた国会議員や県議に協力を要請。一方で、利都容疑者が親密な付き合いをしていた元有力県議に依頼し、県議や県内の市町村議員らに選挙活動の資金を提供。

 また、田渕利都、利幸両容疑者は木村知事関連の2政治団体に約170万円献金。

やらせ質問:タウンミーティングの開催、当面見送り

 小泉内閣時代に開かれた教育改革に関する8回のタウンミーティングのうち、5回で「やらせ質問」が判明したのを受け、塩崎恭久官房長官は9日の記者会見で他のテーマで開かれた166回についても調査し、結果が出るまではタウンミーティングの開催を見合わせる。また文部科学省の結城章夫事務次官は同日の会見で、関係者の処分を検討する。

 安倍晋三首相は同夜、記者団に対し「(国民との)信頼関係を危うく、大変残念で遺憾だ。しっかり調査し、体制を作ってタウンミーティングを再開したい。」安倍首相が小泉内閣で官房長官を務めた当時「やらせ」には、「もちろん知っていなかった。」

 また塩崎氏は会見で「現場の行き過ぎとはいえ、大変遺憾だ。決してどちらか一方に(世論を)引っ張っていこうというつもりはなかった」と世論誘導の意図を否定。「早急に点検し、二度と今回のようなことがないよう新しい運営の仕方を考える。」調査範囲に安倍首相ら当時の官房長官も含まれるかとの質問には「総点検すると言っている。」含まれるとの認識を示した。

国連:途上国援助一体化を勧告…諮問機関、報告書提出へ

 国連事務総長の諮問機関「ハイレベル委員会」は9日、これまで国連の各援助機関が個別に進めていた途上国援助を一体化して実施するように勧告する報告書をまとめ、アナン事務総長に提出。事業の重複や無駄を省き、効率化を進める狙い。人道援助や環境分野では国連の機能強化も求めている。

 報告書は「1カ国に1人のリーダー、一つの計画、一つの予算」の確立を求め、複数の援助機関による事業の統合や常駐の担当官による指揮を勧告した。07年までに5カ国を対象にモデル事業を実施し、12年までに適切な事業すべてを新方式に移行するよう提言。

 現在5000以上の援助事業を実施している国連開発計画(UNDP)の役割を計画立案、調整機能に特化させ、開発調整官を新設することを提案。また、援助事業の監督機関や事業の重複をなくすための特別作業チームの設置などを求めた。

 一方、津波や地震など大規模災害などでの人道援助に対応するため、昨年12月に設立が決まった国連中央緊急対応基金(CERF)の整備、強化を求めているほか、地球規模の環境問題に対応するため、国連環境計画(UNEP)の機能を強化する必要性を強調。

 報告書の内容は国連総会で論議され、承認されれば実施に移される。「ハイレベル委員会」は今年2月に設立され、パキスタン、モザンビーク、ノルウェーの首相を共同議長に、日本の武見敬三参院議員ら15人の委員で構成。

国連開発計画:「人間開発指数」日本7位に浮上

 国連開発計画(UNDP)は9日,06年版の「人間開発報告」を発表。「人間的な生活の度合い」を測定する人間開発指数は、昨年11位だった日本が7位に上昇した。日本経済の回復が好材料に。

 指数は、データ入手可能177カ国・地域で、所得水準や平均寿命、教育水準を数値化して算出した。トップは6年連続でノルウェー。2位アイスランド、3位オーストラリアも昨年と同じ順位。アジアでは香港22位、シンガポール25位、韓国26位など。経済成長続く中国とインドはそれぞれ81位、126位。

78歳女性絞殺:ヘルパーを窃盗未遂で逮捕 警視庁

 東京都大田区の無職、田中綾子さん(78)が自宅で絞殺された事件で、田中さんのキャッシュカードで銀行預金を引き出そうとして警視庁蒲田署捜査本部が東京都西東京市緑町3、ホームヘルパー、村山美智子容疑者(61)を窃盗未遂容疑で逮捕した。村山容疑者は数回、ヘルパーとして田中さん宅を訪れていた。カードは田中さん方から盗み出したとみられ、捜査本部は殺害への関与を追及。

 村山容疑者は先月29日午後1時5分ごろ、豊島区南池袋1の銀行のATM(現金自動受払機)で、田中さんのキャッシュカードを使い、預金を引き出そうとした。10万円を引き出そうとしたが暗証番号が違って未遂に。村山容疑者は6月に破産宣告を受け100万円以上の借金が。「生活の金がほしかった」と供述。

 田中さんは先月29日、自宅で首絞殺害された。バッグや現金、キャッシュカードがなくなる一方、室内に争った跡はなく、捜査本部は顔見知りによる金目当ての犯行とみて捜査。

無精子症:良好な精子細胞選び出産率アップ 北九州の医院

 受精するのに十分な精子を作れない無精子症の男性から取り出した精子細胞(精子になる手前の細胞)の組織を、酵素でバラバラにほぐした状態で凍結し、顕微授精させると、従来数%とされていた出産率が約25%に上がることが、北九州市のセントマザー産婦人科医院(田中温院長)の治療成績で分かった。

 日本の成人男性のほぼ100人に1人が無精子症。中でも精子が少なく深刻な「非閉塞性無精子症」の男性が子どもを望む場合、精巣の組織を手術で採取し精子や精子細胞を見つける。だが、この方法で見つかった精子などによる出産率は低く、数%程度。組織を塊のまま観察していたため状態の良い精子などを選ぶことが難しかったほか、塊のまま凍結すると不均一な状態になり、解凍後に精子などが壊れやすいのが原因。

 同医院は、精子より精子細胞の方が形態異常などの比率が低いうえ、凍結・解凍後も壊れにくいため、妊娠・出産率が高くなる性質に注目。精巣の組織を酵素を混ぜた液体に浸し、細胞一つ一つをバラバラに。液体をそのまま凍結して解凍後、状態の良い精子細胞だけを選び出し、卵子と体外で顕微授精。その結果、00年1月から06年8月までの間に、623組の夫婦のうち158組が出産に成功。

 田中院長は「状態の良い精子細胞を上手に選び、バラバラにした状態で凍結することで妊娠・出産率が大幅に上がった。夫の精子での出産をあきらめて第三者の精子を使うしかなかった夫婦にとっては希望をつなぐ治療方法。無精子症で出産をあきらめた人の3?4割は、もう一度チャレンジできると思う。」

 【無精子症】男性の精液中に精子が存在しない状態で、不妊症の原因。精子は精巣で正常に作られるが、排出経路が邪魔されて精液中に出ない「閉塞性無精子症」のほか、精巣で精子を作れない「非閉塞性無精子症。」非閉塞性無精子症は遺伝的な要因のほか、薬や病気による精巣障害で起きることもあり、手術で精巣から精子を採取しないと受精ができない。

自然増収:法人減税か、借金減らしか 活用で対立激化

 景気回復で法人税などの税収が大幅に増えていることを受けて、その増収分を法人減税など経済活性化策の財源に活用するよう求める声が。ただ、足元の税収は好調でも国の借金(国債)が雪だるま式に増えている状況に変わりはなく、財務省や市場関係者の間には「自然増収頼みの減税は財政破たんにつながりかねない」との懸念も強い。本格化し始めた来年度予算編成と税制改正論議で「税収増を減税に回すか、借金減らしに充てるか」を巡る激しい攻防が繰り広げられる。

 ■“ボーナス”10兆円

 財務省は06年度の一般会計税収を45兆8780億円と見積もっている。だが、景気回復で05年度税収は当初見積もりより5兆円多い約49兆円に達した。06年度税収も、名目成長率が政府見通しの2%を実現すれば50兆円を突破する見込み。予算編成時の当初見積もりより決算時の税収が上回った“ボーナス”分は、05年度までの3年間で総額約10兆4000億円に及び、財政再建を優先させたい財務省が過去に発行した国債の償還や国債発行の減額に充ててきた。

 ただ、安倍晋三政権の経済チームは「経済活性化で税収が増えれば財政再建にもつながる」という「上げ潮」路線を志向しているため、“ボーナス”の使い道も今年は簡単に「借金返済」とはなりそうにもない。

 財政再建派だった政府税制調査会(首相の諮問機関)も、経済活性化を重視する本間正明新会長が「自然増収の一部を法人減税に充てる」との意向を表明するなど、逆に減税の旗振り役となりそう。与党内に「財政再建を急ぐ財務省が税収見積もりを必要以上に堅くしている」との批判も、「自然増収は法人減税に。」

 ■財政悪化に拍車も

 見積もりに比べて実際の税収がぶれる最大の要因は企業業績の変動だ。財務省は生産や消費などの統計をもとに業績を予測して税収を見積もるが、好況時は企業利益が消費や生産の統計を大幅に上回る伸びを示し、税収増が生じる。不況時は逆に、法人税を納めない赤字企業が急増して税収の落ち込みも深くなる。

 過去10年では、03?05年度で10兆円超のボーナスはあったが、金融システム不安が拡大した98年度などの大幅な下ぶれの影響で差し引き5兆円以上の税収不足というのが実態。市場関係者は「ボーナスが出た時はウハウハだが、足りない時の国債増発を考えれば喜んでばかりいられない」(外資系証券)と。

 安倍首相は就任時に来年度の新規国債発行額について、今年度(29兆9700億円)以下とする方針を打ち出し、財政再建路線を維持する。06、07年度で予想される税収増を国債残高や新規国債発行額の減額に活用し、財政再建に本格的に取り組むのか。それとも、法人減税や新規政策の財源に回し「上げ潮」路線を突き進むのか。

11/08/2006

名古屋談合:大手ゼネコンの支店元顧問ら5人逮捕

 名古屋市発注の下水道工事で談合をしていたとして、名古屋地検特捜部は8日、大手ゼネコン・大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏容疑者(70)、同支店元副支店長の小林恵二被告(58)=別の談合罪で公判中=ら5人を談合の疑いで逮捕した。柴田容疑者は東海地方のゼネコンに絶大な影響力を持っていたといい、長年にわたって、この地域の談合を仕切った。

 調べでは、5人は共謀し、05年3月9日、名古屋市内に支店を置く19社が参加して入札が行われた「服部南部準幹線下水道築造工事」(同市中川区)で、新井組名古屋支店が落札出来るように談合した疑い。

 同工事は、新井組と地崎工業などが受注を巡って競り合ったが、各社の調整の結果、最終的に新井組を落札業者に決定。3億5580万円の予定価格に対し、3億4500万円(落札率96.96%)で落札した。一方、地崎工業は入札の参加自体を見合わせ、同市に報告しないまま新井組と共同企業体(JV)を組んで工事に参加。

 特捜部は9月以降、大手の鹿島や清水建設、準大手の前田建設工業やハザマ、中堅の奥村組などを相次いで捜索し、四十数社の営業担当者らから事情を聴いていた。一部の営業担当者は「柴田容疑者を頂点とする談合組織が存在し、受注調整が行われていた。」

米産牛肉:輸出許可ない「胸腺」混入 政府「単純ミス」

厚生労働省と農林水産省は8日、米食肉大手スイフト社のグリーリー工場(コロラド州)が日本に出荷した牛肉の中に、同社が対日輸出を認められていない部位の「胸腺」が交じっていたと発表した。両省は同工場からの輸入を当面停止することを決めた。貨物の仕分け作業中の単純ミスが原因だとして、全面輸入停止などの厳しい措置は取らない。

 問題の部位は10月27日に大阪港に着いた貨物760箱(11トン)のうちの1箱で、9キロ。輸入業者から30日、動物検疫所大阪出張所へ届け出があった。

 胸腺そのものは対日輸出が可能な部位だが、日米政府の取り決めでは、施設ごとに対日輸出する部位の承認を受けることになっている。日本に輸出可能な米食肉処理施設は35あるが、現時点で胸腺の輸出を認められた施設はない。

 米政府の説明によると、加工済みの肉が入った箱を出荷先ごとに仕分けする際、作業員のチェックが不十分で日本向け貨物に交じってしまったという。厚労省は「1月に起きた背骨混入とは性格が違う」として、重大な違反ではないとの見解を示した。

 両省は一緒に到着した760箱すべての輸入も止めた。米政府に原因の詳細な調査と再発防止策を求めており、工場の現地調査などで問題がなくなったと確認するまで輸入を認めない方針だ。

税金還付詐欺:被害は11都県、総額6000万円に

 支払い過ぎた税金の還付を装い、逆に現金をだまし取る振り込め詐欺が急増していることが分かった。国税庁によると、被害は今春以降、11都県に広がり、総額約6000万円に達する。振り込みにATM(現金自動受払機)を利用するのが特徴で、国税当局は「還付にATMを使用することは絶対にない」と注意を呼び掛けている。

 先月までは電話による被害がほとんどだったが、今月になって文書を使う手口が目立ち始めた。「平成16年度納税ご返金のお知らせ」との表題の手紙を送りつけ、差出人は実在しない「収税課」。過払い分返金のため電話をかけるよう記載されており、6日に千葉県の女性が電話したところ、ATMの前に移動するよう誘導され、キャッシュカードの挿入や数字の入力を次々と指示された。従ったところ、自分の口座から約30万円を振り込んでしまった。電話による被害も、ほぼ同様の手口だという。

 東京国税局によると、偽文書に関する問い合わせは8日までの3日間で814件に達した。消印から先週末、東京都内で一斉に投かんされたとみられ千葉県各地や東京都目黒区に郵送されていた。同国税局は「ATM操作に不慣れな高齢者を狙った手口」と警戒を呼び掛けている。

11/07/2006

やらせ質問:内閣府 関与認める調査結果を報告、陳謝

 政府が9月に開いた教育基本法改正に関するタウンミーティングで改正賛成の質問をするよう参加者に依頼していた問題で、内閣府は7日、「やらせ質問」への関与を認める調査結果を衆院教育基本法特別委員会の理事会に報告し、陳謝した。これを受け与党は13日に特別委で、14日に衆院本会議で同改正案を採決する日程を提示したが、野党は「調査が不十分」として受け入れなかった。

 調査によると、内閣府や開催地の青森県教委は「時代に対応すべく基本法を見直すべきだ」などの質問案3案を、あらかじめ決まっていた質問者に提示した。「対話のきっかけを作るため」(内閣府)だったという。やらせ質問が発覚した同県八戸市以外のタウンミーティングでも同様の働きかけがなかったか、9日に改めて報告する。

 この問題は、先月31日の特別委で高橋千鶴子氏(共産党)が指摘。青森県教委が地元の中学校長らに対し賛成の立場から質問するよう文書で働きかけていたことが発覚した。

スーフリ報道判決:雑誌「噂の真相」などに賠償命令

 早大生らのサークル「スーパーフリー」の集団婦女暴行事件(03年)に関与したかのような報道で名誉を傷つけられたとして、男性会社員がメールマガジン発行者や雑誌「噂の真相」(休刊)編集人らに計990万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は7日、計605万円の支払いを命じた。綿引穣(ゆたか)裁判長は「関与を取材した事情はうかがえず、明らかに名誉を傷つけた」と述べた。

 賠償額は、メールマガジン「サイバッチ」発行者が220万円▽インターネット掲示板「2ちゃんねる」管理者が220万円▽噂の真相と編集人が165万円。2ちゃんねる管理者には書き込みの削除も命じた。

 判決によると、サイバッチは03年6?7月、会社員の実名や勤務先を公開。2ちゃんねるや噂の真相03年10月号とともに、サークルの元代表(32)=懲役14年が確定=の「盟友」で、事件に関与したかのように記述した。

自殺予告:子供たちから同情や憤りなどさまざまな声

 「伊吹文明様。僕はいじめが原因で自殺することを証明します」??。文部科学省トップを動かした自殺予告の手紙を読んだ専門家は7日、自殺を思いとどまるよう訴えた。

 ▽「ヤンキー先生」の愛称で親しまれる教育再生会議のメンバー、義家弘介さんの話 難しい漢字を使う一方で簡単な漢字をひらがなで書き、言葉の表記も不統一だ。訴えの信ぴょう性について、現時点で正確なことは言えない。ただ、手紙の主がいじめを受け、本気で死を考えている可能性は否定できない。文科相が「生きていて」と呼び掛けた判断は正しい。そのために同種の手紙が今後、山ほど寄せられるとしても、だ。

 文面から精神の混乱もうかがえる。いじめへの絶望感と、親や担任、学校長、教育委員会など誰にも受け止めてもらえない苦悩から「自殺する」と思い詰めているようだが、裏には「生きたい」という叫びがある。本当に生に絶望していれば、こんな予告文など送らないだろう。

 「いじめは絶対に許さない」と強調する。許さないのなら生き延びろ、と言いたい。生きて、自分を苦しめるものと闘わなければならない。そして、大人も本気でともに闘う姿勢を示さなければ、いじめは解決しない。「大丈夫」「がんばれ」という口先だけの同情はいらない。小手先で解決を図れば、かえって事態は悪化する。

 いじめに死をもって復讐(ふくしゅう)する連鎖は、何としても食い止めなければならない。いま苦しんでいるすべてのみなさんと、私はともに闘いたい。

11/05/2006

フセイン元大統領 死刑判決 シーア派住民殺害事件で

 反体制派の弾圧・迫害で人道に対する罪などに問われたイラクのフセイン元大統領(69)の判決公判が5日、バグダッドのイラク高等法廷で開かれ、アブドルラフマン裁判長が求刑通り死刑(絞首刑)を言い渡した。イラク戦争での政権崩壊まで24年にわたりイラクを独裁支配した元大統領への判決は初めて。イラク政府は判決を機に反米武装勢力の封じ込めを図りたい考えだが、武装勢力が攻撃の手を弱める可能性は望めず、旧政権を支えたイスラム教スンニ派と弾圧の標的となったシーア派の宗派間抗争に判決が拍車をかける恐れもある。

 判決が出たのはイラク中部ドジャイルで82年に起きたイスラム教シーア派住民殺害事件(ドジャイル事件)。同事件ではフセイン元大統領暗殺未遂への報復として148人が殺害されたとされる。起訴された8被告中、元大統領、イブラヒム元ジュネーブ国連代表部大使、バンダル元革命裁判所長官の3被告が死刑判決を受けた。

 元大統領は裁判長から絞首刑が宣告されると人さし指を立てた右手を高く掲げ、「神は偉大なり」「イラク国民万歳」と繰り返した。さらに裁判長に向かって「貴様は人道の敵だ」と声を張り上げ、「侵略者に死を」「スパイに死を」「国家の敵に死を」と叫んだ。

 イラク高等法廷は2審制。死刑または終身刑判決の場合は自動的に控訴審が開かれ、1審判決の妥当性が審理される。控訴審が1審判決を妥当と判断すれば30日以内に刑が執行される。だが、イラク北部クルド人居住区で18万人が虐殺されたとされるアンファル作戦(88年)の審理が継続中の上、さらに10件での追起訴が見込まれており、刑の確定・執行には時間を要するとみられる。

 国家元首の戦争犯罪などを審理する法廷は故ミロシェビッチ元ユーゴスラビア大統領を裁いた旧ユーゴ国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)など特別国際法廷を設置するのが一般的だが、フセイン元大統領の場合はイラク人が自らの手で裁く形を取った。国内法廷となった背景には、国際刑事裁判所の規定に署名していない米政府や、旧政権幹部を厳罰に処したいイスラム教シーア派、クルド人勢力の意向などがあったとされる。

 フセイン元大統領の弁護団は判決公判が米中間選挙の投票2日前にあたることから延期を求めていた。AP通信によると、イラクのマリキ首相は4日、「犯罪に見合った判決」を望むと極刑への期待を表明。イラク政府は判決公判を妨害するテロなどを警戒し、5日、バグダッドなどに外出禁止令を発令した。

 ◇イラク高等法廷が言い渡した各被告に対する判決

フセイン元大統領=死刑(絞首刑)▽イブラヒム元ジュネーブ国連代表部大使=死刑(絞首刑)▽バンダル元革命裁判所長官=死刑(絞首刑)▽ラマダン元副大統領=終身刑▽アブドラ・カディム・ルワイエド、マズハル・アブドラ・ルワイエド、アリ・ダイーフ・アリの元バース党員3被告=禁固15年▽モハメド・アザウィ・アリ元バース党員=無罪(証拠不十分)

 ◇イラク高等法廷 イラクの旧フセイン政権の犯罪を裁くため03年12月に米英占領当局とイラク統治評議会によって「特別法廷」として設置され、後に名称が「高等法廷」に変更された。イラク国内法に基づき5人の判事によって審理が進められ、2審制。04年7月に予備的な審理が開始され、05年10月にドジャイル事件の初公判を開いた。米英占領下で設置されたためフセイン元大統領や弁護団は法廷の正当性に異議を唱えている。

 ◇サダム・フセイン元大統領 1937年4月、イラク中部ティクリート近郊生まれ。57年、アラブ統一を掲げる「バース党」入党。一時、同党を追放されたが、68年のクーデターで指導的役割を果たし、翌69年11月、革命指導評議会(RCC)副議長に就任。政敵を次々に倒し、79年7月にはバクル大統領を辞任に追い込んで大統領兼RCC議長となり、独裁体制を完成させた。03年4月9日、イラク戦争で政権が崩壊。同年12月13日、米軍に拘束された。

11/04/2006

CO2固定化 利用可能へ 廃棄物議定書会議で決定

 廃棄物の海洋投棄について定めたロンドン条約に基づく議定書の締約国会議が2日(日本時間3日)、英国のロンドンで開かれ、海底下の地中(海底下地層)に投棄可能な廃棄物に二酸化炭素(CO2)を追加する議案を採択した。CO2を地中に封じ込めて固定化する技術が国際法上、利用可能となる。政府は来年の通常国会に関係法令の改正案を提出する。

 CO2の地中固定化技術は国内外で研究・開発が進み、本格的に普及すれば、大気中に放出されるCO2を大幅に削減できると期待されている。しかし、地中からの「漏れ」や、それによる生態系への影響など、安全性の評価を中心に不明な点も多く、慎重な議論を求める声も強い。

 6日にナイロビで開幕する京都議定書第2回締約国会議(COP/MOP2)でも議論される見通し。地中投棄した分をCO2の削減とみなし、クリーン開発メカニズム(CDM)などの国際的な排出権取引の中で認めるかどうかが焦点となっている。

医療ネット 公開する60項目 病院に届け出義務 厚労省

 厚生労働省は、改正医療法に基づいて医療機関が都道府県へ届け出る情報の具体的内容を決めた。病院の場合、所在地や診療科目などの基本情報に加え、▽医師や看護師、助産師の数▽対応可能な疾患▽障害者への配慮状況▽院内感染対策など約60項目に上る(診療所は約50項目になる見込み)。これらの情報は都道府県が原則として07年4月からインターネットで順次公開する。患者が医療機関を選択する指標を手軽に入手できるようになる。

 届け出情報のうち、治療結果に関する情報は、死亡率や再入院率、疾患別・治療行為別の平均在院日数などの公開の有無など。在宅医療や介護保険サービスの内容も対象になっている。

 また、セカンドオピニオンを得るための診療の可否や、学会による認定医や専門医の数なども届け出る。さらに、医療相談窓口の有無や入院食の情報、対応可能な外国語、院内販売店の情報、受動喫煙防止対策、クレジットカード払いの可否など、院内サービス面も含まれる。

 同省は今月中に意見募集(パブリックコメント)を行い、年内に省令などを改正する。都道府県に対しては、遅くとも08年度中に、すべての情報が公表できるインターネットのシステムを運用するよう義務付ける。

 改正医療法は、今年6月に成立。国と自治体は、患者が病院など医療機関の選択に関して、必要な情報を容易に得られるように努めなければならないと規定。病院などの管理者は、厚労省令で定める事項を都道府県知事に報告し、知事はその内容を公表しなければならないと定めた。

疾患腎移植 病院側が初会見「院長が了承していた」

 愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で病気のために摘出した腎臓を別の患者に移植する11件の手術が行われた問題で、同病院側が4日、この問題発覚後に初めて会見した。貞島博通院長(54)と泌尿器科部長、万波誠医師(66)が出席。貞島院長は「病院として11件の移植を認識し、院長が了承していた」としたが、この中には手術後に報告を受けたケースがあることを認めた。万波医師は「捨てる腎臓があれば連絡してほしいと友人(の医師)に頼んでいた」と話したが、「初めから移植を計画していたわけではない」とし、移植が可能な腎臓が出てきた段階での「出合い頭」の手術だったと説明した。

 会見によると、移植手術が行われたのは04年9月?06年9月。ドナー(臓器提供者)の疾患は尿管狭さく3件、腎がん3件、動脈瘤(りゅう)2件、良性腫瘍(しゅよう)2件、ネフローゼ1件。このうち6件については、宇和島徳洲会病院で摘出手術も行ったという。

 レシピエント(移植を受けた患者)は10人で、1人はいったん移植した腎臓を手術後に取り出して、計2件の移植を受けていた。大半は宇和島市内に住んでおり、ドナーが発生後、腎臓を移植に使えるよう保存できる3日の間に移植に関する説明をしたという。

 レシピエントとドナーの間に面識はなかったといい、万波医師は両者の間で臓器提供を巡り、「(金銭授受などは)ないはずだ」と話した。

 ドナーの同意については、他の病院では同意書を取ったケースもあるとしたが、宇和島徳洲会病院で腎臓を摘出した6件については、「(摘出した腎臓が)使えるなら、(移植に)使わせてほしい」と話して口頭で了解を取ったものの、同意書はいずれも取っていない、という。

 レシピエントに対しては「がんの腎臓でも(移植して)大丈夫か」と話して了承を得たと説明。しかし、当時、同病院に移植に関する倫理委員会はなく、10人全員から同意書も取っていなかった。

 万波医師は11件すべてについて、ドナーとレシピエントは親子以外の関係だったと話し、「1件は親子間だった」とする病院の発表を訂正した。

 病院側は11件について外部の医師らを交えて移植が適性だったかを検討し、同意書がなかったケースについては、弁護士らがドナー、レシピエント双方の患者側の意志を確認する、とした。

乳児院 3割が「虐待」で入所 10年で10ポイント増加

 乳幼児が乳児院に入所する理由に「虐待」(準ずる行為も含む)が占める割合が、05年度は過去最多を更新し、3割近くに達したことが全国乳児福祉協議会の調べで分かった。95年度は16%で10ポイント以上伸びており、虐待が改めて深刻な事態であることを裏付ける結果となった。厚生労働省は07年度から、保健師らが生後4カ月までの乳児がいる家庭を訪問する新規事業「こんにちは赤ちゃん事業」を計画しており、子育て相談の充実などを通じ、虐待の未然防止に力を注ぐ方針だ。

 乳児院は児童福祉法に基づく施設で、家庭の事情などから一緒に暮らせない0?3歳児くらいが入所している。同協議会は乳児院全120施設を対象に調査を実施し、119施設から回答を得た。

 05年度中に新規入所した乳幼児は3209人。入所理由は身体的な虐待だけでなく、「養育拒否」や「父母不明(遺棄)」などを含めた広義の「虐待」で合計すると926人、全体の28.9%を占めた。「虐待」は最近10年をみるとほぼ毎年増加し、04年度は27.5%だった。

 心身の状況から「虐待」が分かる乳幼児は584人。虐待の種類で最も多いのが「怠惰」で379人。一方、虐待をする者は実母が356人で圧倒的だった。また、2番目の「身体的虐待」の166人でも、虐待者は実母の94人が一番多かった。

 こうした事態を受け、厚労省は「こんにちは赤ちゃん事業」を来年度からスタートさせたい考えだ。母親が出産直後でノイローゼになりやすい生後4カ月までの乳児がいる家庭に保健師らを派遣し、子育て支援をする方針。ただ、実際に実施するのは自治体で、予算や人材の不足からどこまで普及できるか課題も多い。

うつ病 時効後に労災認定 発症5年後請求で 川崎の男性

過重労働でうつ病になった川崎市の元会社員の男性(42)が、症状の発症から5年後に労災を請求し、今年8月末に業務上の認定を受けていたことが分かった。労災は2年が時効で、回復まで長引くケースもあるうつ病では、時間の経過で請求をあきらめるケースも多い。だが、症状が継続して治療を受けている場合、業務上の認定が認められれば、時効以降でも補償が受けられる。男性の請求を支援した神奈川労災職業病センターは「請求可能なのだが、あまり知られておらず、認定されたのは非常にまれなケース」と話している。【東海林智】

 男性は00年6月から、東京都港区の外資系の情報通信会社で市場調査などの仕事を担当していた。月160時間を超える残業が続き、約2カ月半後、仕事帰りに倒れた。その後、朝、起きることができず、頭痛やめまいが続いた。病院では「高脂血症、痛風」と診断されたが、働くことができず、01年5月に解雇を通告された。

 労基署に不当解雇だと相談したが門前払いされ、その後も働けない状態が続いた。この間、うつ病とは分からず、04年9月にうつ病の診断を受け治療を始めた。05年8月に「00年の過重労働が原因の労災」と請求。男性は、手帳に仕事で使ったパソコンの起動時間と終了時間を毎日記載しており、月間の残業時間が160時間を超えていることなどから、約1年後に認定された。今回のケースでは、04年9月からの療養補償と休業補償が受けられる。

 一方、同センターによると、「労災は2年で時効」と考え、請求をあきらめるケースは多いという。東北地方在住の会社員(40)の場合、管理職となった5年前、仕事の変化と長時間労働が続く中、うつ病となった。3年間休職と職場復帰を繰り返したが、うつ病は良くならず、今年3月に解雇された。休職中は会社ともめることを恐れて労災請求できず、解雇後も請求をあきらめ仕事のない中で療養を続けている。

 認定を受けた男性は「過重労働によるうつ病なのに請求をあきらめ絶望している人は大勢いる。時間がたっても労災請求できるということを知ってほしい」と話している。

 ◆うつ病での労災認定

 過労自殺を含むうつ病などの心の病による労災補償の請求は、増加の一途をたどり、05年度では過去最多の656件の請求があり、127件が認定された。

11/02/2006

漢字能力検定 2級の問題、試験前日にネット掲示板に

 10月29日に実施された「第2回日本漢字能力検定」2級の問題の一部が、試験前日に、インターネット上の掲示板「2ちゃんねる」に掲載。主催する財団法人日本漢字能力検定協会(京都市)は、流出部分の得点を無効にしたうえで、来年2月実施の次回検定を無料で再受検できる措置を決めた。また調査委員会を設置し、流出の経緯などを調べている。

 流出したのは四字熟語を完成させる設問(配点20点)で、28日、実際に出題された10問が掲示板に書き込まれた。出題順も同じだったことから、同協会は「問題を事前入手した人物が書き込んだ」と判断。満点(規定は200点)を180点とし、合否発表時に約3万5000人の受検者全員にこうした措置を通知。

 2級は高校までに学習する常用漢字を出題範囲とし、合格率は約20%。国語の単位の一部として認定する高校もある。29日の試験は全国約2000会場で実施。

 ◇検定ブームで受験者も急増

 75年から始まった漢字能力検定は、92年に文部省(当時)の認定資格になり、生涯学習や検定ブームにも乗って、受験者が同年度の約12万人から昨年度は約240万人に増加した。1級から10級までの12クラスの合格率平均は約5割だが、最も難しい1級では1?2割の狭き門。入試や単位認定で同検定を取り入れている大学や高校は1000校を超えている。

98円ペットボトル セブン?イレブンが21日から発売

 コンビニエンスストア最大手のセブン?イレブン・ジャパンは、小売価格98円(税込み)の500ミリリットルペットボトル入りのお茶を自主開発して、21日から北海道を除く全国で発売する。低価格商品を投入して、格安商品を扱うスーパーやドラッグストアに対抗。

 発売するのは緑茶、ウーロン茶、麦茶の3品目。通常147円で販売している大手メーカー製より利益が小さいため、実際に販売するかは各店のオーナーの判断に委ねる。北海道では既に、同じグループの大手スーパー、イトーヨーカ堂ブランドの商品を92円で販売。

 ペットボトル入りのお茶はコンビニの売れ筋商品だが、一部のスーパーなどが50?60円台の独自調達商品を投入したため、顧客が奪われつつあった。コンビニ他社では、100円を切る水を既に販売しているほか、80円台の紙パック入りのお茶も販売。ただ、ペットボトル入りで100円を切るお茶の全国展開は初めてで、セブン?イレブンの売れ行き次第で追随する可能性も。

11/01/2006

自閉症提訴 倉庫に閉じ込められ負傷 賠償2千万円求める

 東京都小金井市の市立小学校で04年、心身障害児学級に通う自閉症の男児(10)が担任の男性教諭に倉庫に閉じ込められ負傷した事故で、男児と両親は1日、市と当時の校長らを相手取り、約2000万円の賠償と市広報への謝罪文掲載を求めて東京地裁八王子支部に提訴した。男児側は「学校側に自閉症への理解がなく事故後の対応も不誠実だった。」

 訴状によると、04年11月、体育の授業中に体育館隣の倉庫に入った当時小学3年生の男児に対し、男性教諭が「そんなに入っていたいなら、しばらくそこにいなさい」としかって閉じ込めた。男児はパニック状態になり、2階の窓から5メートル下の地面に落下、大けがを負った。

 会見した母親は「経緯をありのまま話してほしかったが、先生や校長、市教委は息子が話せないのをいいことに自分たちの都合のいい説明を繰り返した。」

ソフトバンク 携帯電話の割安広告修正へ 公取指摘も考慮

 ソフトバンクモバイルは1日、10月26日に始めた携帯電話の新料金プランの割安感を強調する広告宣伝を今週末に修正する方針を明らかにした。同社の広告宣伝をめぐっては、公正取引委員会が景品表示法違反(有利誤認)の疑いがあるとして調査していた。

 問題の新聞広告やテレビCMで、ソフトバンクは「通話料、メール代0円」を強調。しかし「0円」は端末の購入を分割払いにすることが前提になっているほか、夜間の通話時間には制限があり、時間帯によっては通話料などが発生する。広告では、これらの条件が小さい文字で書かれていたため、大きな字で記載するなどして分かりやすくする。同社は「公取の指摘も考慮して判断した」と話している。

 同社は顧客管理システムのトラブルなどで28、29日の2日間、契約手続きの停止に追い込まれ、利用者などから批判が高まっていた。

ソフトバンク 携帯電話の割安広告修正へ 公取指摘も考慮

 ソフトバンクモバイルは1日、10月26日に始めた携帯電話の新料金プランの割安感を強調する広告宣伝を今週末に修正する方針を明らかにした。同社の広告宣伝をめぐっては、公正取引委員会が景品表示法違反(有利誤認)の疑いがあるとして調査していた。

 問題の新聞広告やテレビCMで、ソフトバンクは「通話料、メール代0円」を強調。しかし「0円」は端末の購入を分割払いにすることが前提になっているほか、夜間の通話時間には制限があり、時間帯によっては通話料などが発生する。広告では、これらの条件が小さい文字で書かれていたため、大きな字で記載するなどして分かりやすくする。同社は「公取の指摘も考慮して判断した」と話している。

 同社は顧客管理システムのトラブルなどで28、29日の2日間、契約手続きの停止に追い込まれ、利用者などから批判が高まっていた。

履修不足 政府・与党、救済策で合意

 政府・与党は1日、高校の履修単位不足問題で、未履修の生徒に課す補習の上限を70コマ(1コマは50分授業1回)とする当初案を一部緩和し、履修不足が1科目70コマの生徒に限り、50コマ程度の補習で卒業できる救済策で合意した。補習50コマに該当する生徒は7割超を占め、一層の負担軽減を求めていた公明党も同意した。文部科学省は2日、都道府県知事や教育委員会、大学にこうした措置の実施を通知する。

 1日までの文科省の実態調査で、必修科目の履修不足があったのは全国の国公私立高校全5408校(うち私立2校は未回答)のうち540校(10.0%)で、高校3年生の生徒数では8万3743人(7.0%)となる。

 救済策は履修不足が70コマの場合、病気や災害で通学が困難になっても、出席日数が規定の3分の2あれば認められるという単位認定の一般的なルールを援用。学校教育法に基づく校長の卒業認定権を弾力運用し、補習を50コマ程度まで削減することを認める。対象者は未履修者全体の73%に当たる6万1352人。

 また、未履修が70コマを超える場合は、70コマの枠内で、履修していない必修科目の授業をそれぞれ受けた上で、校長がリポートなどを通じ、習熟度に応じて修了を認定する。対象者は同27%に当たる2万2391人。

 最も未履修科目の多い350コマの場合、未履修科目を70コマに振り分けて補習を受け、各科目に関するリポート提出など追加の学習を行う。

 加えて、履修不足のまま卒業し、既に進学や就職などしている既卒者の卒業資格の扱いに関しては「重大な過失がない限り資格は停止できない」(伊吹文明文科相)ことから、見直しはしない方針が正式に固まった。

 文科省は当初、70コマの補修を2?3学期に30コマ、冬休みに20コマ、春休みに20コマに分けて消化するモデル案を与党に提示。これに対し公明党が「受験直前の冬休みの補習は負担が重い」と見直すよう求めた。政府の救済策が固まったことで、各校で平日や土曜日を使った補習授業が本格化しそうだ。

 与党は1日、教育再生検討会(座長・大島理森元文相)などを通じて救済案を断続的に協議。「未履修が1科目しかない生徒より2科目以上の生徒にメリットが大きい」との疑問も出たため、伊吹氏が50コマ程度に補習を削減する緩和策を提示し、決着。

郵政造反組 復党問題、沖縄知事選後に結論 自民党紀委

 自民党は1日、党本部で党紀委員会(笹川尭委員長)を開き、郵政民営化造反組の復党問題について、執行部から審査要請があれば早急に結論を出す方針を決めた。終了後、笹川委員長は記者団に、沖縄県知事選(19日投開票)の結果を見たうえで、来月15日の国会会期末までに結論を出すとの見通しを示した。

 党紀委では先に参院議員を辞職した竹中平蔵前総務相の離党を了承した。