時事記録 就職活動のために

11/20/2006

裁判員制度:事件ごと審理を分割する「部分判決」導入へ

 09年までに始まる裁判員制度で、複数の事件で起訴された被告の刑事裁判を、事件ごとに分割して審理する「部分判決制度」が導入されることになった。各事件で裁判員を入れ替え負担を軽くするためで、長勢甚遠法相が20日、要綱案を法制審議会に諮問した。法務省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出する。

 現行の刑事裁判は通常、複数の事件で起訴された被告の審理は一つの裁判所で一括して行う。国民が重大な刑事裁判に参加する裁判員制度でも、同様の手続きを維持すれば、仕事や家事を休む期間が長引くことも予想され、検討を重ねていた。

 その結果、要綱案は「円滑な選任を確保するため、特に必要があると認められるとき」は、裁判所が事件ごとに審理を分割する「区分審理決定」をすることにした。裁判所が職権で行うほか、検察官、被告、弁護人も請求できる。決定後は事件ごとに順次審理。部分判決により、事実認定や有罪・無罪の判断を行う。最後の事件を受け持つ裁判官と裁判員が、全事件の情状も踏まえて量刑を決め、最終的な判決を言い渡す。事件ごとに代わるのは裁判員だけで、裁判官は交代しない。

 ただ、要綱案は「犯罪の証明や被告の防御に支障を生じる恐れがある場合」については区分審理の対象外としている。仙台・筋弛緩(しかん)剤混入事件のように、複数の事件が相互に関連し多くの証拠が共通する場合、分割審理が困難なためだが、裁判員の負担が重くなるという問題は残る。

 同日の法制審には、法廷の証人尋問などを録画し、評議に活用できる制度も諮問された。