時事記録 就職活動のために

11/11/2006

自然増収:法人減税か、借金減らしか 活用で対立激化

 景気回復で法人税などの税収が大幅に増えていることを受けて、その増収分を法人減税など経済活性化策の財源に活用するよう求める声が。ただ、足元の税収は好調でも国の借金(国債)が雪だるま式に増えている状況に変わりはなく、財務省や市場関係者の間には「自然増収頼みの減税は財政破たんにつながりかねない」との懸念も強い。本格化し始めた来年度予算編成と税制改正論議で「税収増を減税に回すか、借金減らしに充てるか」を巡る激しい攻防が繰り広げられる。

 ■“ボーナス”10兆円

 財務省は06年度の一般会計税収を45兆8780億円と見積もっている。だが、景気回復で05年度税収は当初見積もりより5兆円多い約49兆円に達した。06年度税収も、名目成長率が政府見通しの2%を実現すれば50兆円を突破する見込み。予算編成時の当初見積もりより決算時の税収が上回った“ボーナス”分は、05年度までの3年間で総額約10兆4000億円に及び、財政再建を優先させたい財務省が過去に発行した国債の償還や国債発行の減額に充ててきた。

 ただ、安倍晋三政権の経済チームは「経済活性化で税収が増えれば財政再建にもつながる」という「上げ潮」路線を志向しているため、“ボーナス”の使い道も今年は簡単に「借金返済」とはなりそうにもない。

 財政再建派だった政府税制調査会(首相の諮問機関)も、経済活性化を重視する本間正明新会長が「自然増収の一部を法人減税に充てる」との意向を表明するなど、逆に減税の旗振り役となりそう。与党内に「財政再建を急ぐ財務省が税収見積もりを必要以上に堅くしている」との批判も、「自然増収は法人減税に。」

 ■財政悪化に拍車も

 見積もりに比べて実際の税収がぶれる最大の要因は企業業績の変動だ。財務省は生産や消費などの統計をもとに業績を予測して税収を見積もるが、好況時は企業利益が消費や生産の統計を大幅に上回る伸びを示し、税収増が生じる。不況時は逆に、法人税を納めない赤字企業が急増して税収の落ち込みも深くなる。

 過去10年では、03?05年度で10兆円超のボーナスはあったが、金融システム不安が拡大した98年度などの大幅な下ぶれの影響で差し引き5兆円以上の税収不足というのが実態。市場関係者は「ボーナスが出た時はウハウハだが、足りない時の国債増発を考えれば喜んでばかりいられない」(外資系証券)と。

 安倍首相は就任時に来年度の新規国債発行額について、今年度(29兆9700億円)以下とする方針を打ち出し、財政再建路線を維持する。06、07年度で予想される税収増を国債残高や新規国債発行額の減額に活用し、財政再建に本格的に取り組むのか。それとも、法人減税や新規政策の財源に回し「上げ潮」路線を突き進むのか。