時事記録 就職活動のために

11/17/2006

和歌山知事逮捕 地方不信招いた責任は重い

 和歌山県発注の土木工事をめぐる談合事件で、辞職を表明している木村良樹知事が競売入札妨害の容疑で大阪地検特捜部に逮捕された。知事自身が選挙応援の見返りに談合を指示していたという疑いだ。福島県に続く「知事の犯罪」摘発は、地方自治への信頼を揺るがす重大事である。

 知事は04年に実施された県発注の下水道工事で、落札が予定されている共同企業体(JV)に同県海南市の土建会社を組み込ませるよう側近の元県出納長に指示した疑いが持たれている。元出納長が土建業界の談合の仕切り役に働きかけ、土建会社はJVに加わったとされる。

 土建会社は知事が再選された04年の知事選の際、選挙事務所を提供したり、演説会への動員をかけるなど、会社を挙げて知事を支援していた。対立候補を擁立しようとする動きもあったが、地元政界に顔の利く土建会社会長が知事への一本化に奔走したという。

 こういったことがすべて事実なら、2期目の知事の座を勝ち取るために利権を提供したとみられても仕方がない。

 直接選挙で選ばれる知事は、自治体で大きな権限を持つ。その特質を生かせば強力に改革を進めることができるが、悪用すれば今回のような不正につながる。

 大阪府出身で旧自治官僚の木村知事は和歌山県との関係が薄く、改革への期待は大きかった。

 実際に、知事は森林整備に都会から希望者を募って活用する「緑の雇用事業」などユニークな施策を相次いで打ち出し、工事予定価格の事前公表制度の導入など、入札制度の透明化にも取り組んできた。全国知事会道州制特別委員長として、道州制を推進する役割も演じてきた。

 そうした実績から「改革派」ともてはやされたが、地元の根強い談合体質にメスを入れることはできなかった。それどころか、現実には、既得権益を持つ勢力が自分たちに都合のいい首長を擁立して利権を守ろうという図式に組み込まれていたわけだ。

 90年代に入って、全国で続々と誕生した政党を頼みとしない無党派の改革派首長たちが、このところの地方分権論議をリードしてきた。だが、岐阜、福島、和歌山と続く不祥事で、多くの国民は「やはり地方には任せておけない」と思い始めているのではないか。時代を逆戻りさせてしまった責任は極めて大きい。

 政府は、国と地方の役割分担を見直すための地方分権改革推進法案を今国会に提出し、新たな改革論議が始まろうとしている。道州制もようやく具体的な政治テーマとなってきた。その中で、地方側の発言力低下は深刻な事態だ。

 地方を立て直すには、自治体の首長が談合などの不正を封じ込める方法や自らの行動規範を市民に具体的に示していくことだ。

 和歌山県の出直し知事選は今月30日に告示、来月17日に投開票される。候補者はこれらの点を明示して、有権者の審判を受けるべきである。